永田 |
お疲れさまでしたーー! |
糸井 |
お疲れさまでした! |
西本 |
お疲れさまでしたっ! |
糸井 |
もいっちょ! |
永田 |
お疲れさまでした! |
西本 |
お疲れさまでした! |
糸井 |
いやあ〜。 |
永田 |
ふーーー。 |
西本 |
ええ‥‥。 |
糸井 |
‥‥‥‥。 |
永田 |
‥‥‥‥。 |
西本 |
‥‥‥‥。 |
糸井 |
あ〜‥‥これ、食べる? |
永田 |
なんですか? |
糸井 |
ぼくからの差し入れ。 |
西本 |
おお、メロンパン。 |
永田 |
いただきます。 |
糸井 |
どうぞどうぞ。 |
西本 |
‥‥うめえ。 |
永田 |
うまいですね。どこのお店ですか。 |
糸井 |
代官山です。 |
西本 |
代官山ですか。 |
永田 |
‥‥思えば、この連載の第1回目は、
落花生を食べながらはじめましたね。 |
糸井 |
ああ、そうでしたかね。 |
西本 |
むしゃむしゃ‥‥。 |
永田 |
むしゃむしゃ‥‥。 |
糸井 |
むしゃむしゃ‥‥。 |
(沈黙) |
永田 |
‥‥あのぅ〜。 |
糸井 |
言いたいことはわかりますよ。 |
西本 |
しゃべらなきゃいけないんですよね。 |
永田 |
けど、なんですよね。
どうしたもんですかね。
もう、空っぽですよ。 |
西本 |
よかったに決まってますし。 |
ふたり |
よかったに決まってますよ。 |
永田 |
かといって、ありがとうと言って
終わりにするわけにもいきません。 |
糸井 |
なんかさあ、解説だの評論だのって
途中で遊ぶものだよね。
終わってしまったところで
これはああだ、あそこはこうだとしゃべっても
井戸端会議にならないよね。 |
永田 |
山ほど届いているメールもそうですよね。
解説や分析みたいなものは
ほとんどなくって、挨拶ばかりです。 |
糸井 |
いや、ぼくも挨拶ならいくらでもできます。
ただねえ‥‥。 |
西本 |
そうッスねえ‥‥。 |
永田 |
ものすごい余韻のなかにいますからねえ‥‥。 |
(沈黙) |
西本 |
テープ、とめましょうか? |
永田 |
「沈黙」ばっかりの回になるよ。 |
糸井 |
じゃあ、まあ、無理矢理に、
搾り出すようにしゃべるとすれば、
最終回がこういう話だということは
知ってたじゃないですか。 |
西本 |
ええ。 |
糸井 |
そういうなかではね、
ことばの選びかたといい、
人々の出方といい‥‥。 |
永田 |
落とし前のつけかたといい。 |
糸井 |
落とし前のつけかたね。
落とし前は永田さんが
特別に好きなわけですけど、
今回、ぼくがいいなと思ったのは
近藤のコルクですね。
あの、ずっと持ってたコルクをね、
名もない兵に、ポーンと捨てられてね、
それっきりになってしまう。
近藤が「なにをする!」って
怒るわけでもなんでもなく、
ただただ転がる、コルク。
あそこはよかったなぁ。 |
永田 |
すごいことですよね、あれは。
だって、第1回から出てきて、
近藤とトシの絆の象徴でもあるコルクですよ?
なにか、ふつうなら、
意味や意義をつけたくなるでしょう。 |
糸井 |
なかなかできないことですよね、あれは。
あとは、その、近藤の揺らがない感じ。
なんか、いろいろ思い出すね。 |
西本 |
いろいろ、思い出しますね。 |
永田 |
いろいろあったなあ‥‥。 |
糸井 |
‥‥‥‥。 |
(沈黙) |
西本 |
テープ、とめましょうか? |
永田 |
あははははは、どうしましょうかね、これ。 |
糸井 |
なんか、せめて雑談から。 |
永田 |
あ、じゃあ、あれだ。
礼儀として、にしもっちゃんに質問しよう。
「薩摩はどうでした?」 |
糸井 |
おお、それがあった! |
西本 |
こうなるとあれですね、
薩摩に行っておいてよかったですね。 |
永田 |
どういうことですか。 |
西本 |
だって、しゃべることが
なくなるところでしたよ。 |
糸井 |
いえてる(笑)。 |
永田 |
ぜひ、薩摩ネタをお願いします。 |
西本 |
ま、先に報告しておきますと、
鹿児島までわざわざ観に行った
サッカーの試合は、
ぼくの応援するFC東京が6対3で勝って
気分よくホテルに戻ったんですね。 |
糸井 |
あなたは、クラブチーム世界一とかには
興味がないんですか? |
永田 |
トヨタカップですね。
なんだかすごい試合だったようですよ。 |
西本 |
今回に関しては
まったく興味がありませんでした。
とくにヨーロッパのチャンピオンチームは
チャンピオンになったときとは
別もののチームなんですよ。 |
糸井 |
詳しすぎる解説は望みません。 |
西本 |
ぼくもそれは本意ではありません。
とにかくまあ、
気分よくホテルに戻ったわけです。
で、展望風呂に入って、ご飯を食べて、
『新選組!』を見て、余韻にひたりながら、
夜の街へくりだしました。 |
ふたり |
夜の街へくり出しましたか! |
西本 |
このままホテルで過ごすのもどうかと思って、
行きましたよ。鹿児島イチの歓楽街、
天文館へひとり、くり出しましたよ。
とはいうものの、ひとりぼっちですから
とにかくしゃべれるバーに行こうと。 |
糸井 |
それはなに?
『新選組!』の話をしようとしてたの? |
西本 |
ええ、もちろんです。
「どこか『新選組!』の話が
できるようなバーはないか?」と思って。 |
永田 |
絶対、オレ、できないわ(笑)。 |
西本 |
まず一軒目のバーはダイニングバーで
ぜんぜん、オレの相手をしてくれないんですよ。
だから、そこは早々に立ち去りまして‥‥。 |
糸井 |
ごめん、そういうときってさ、
何を食って何を飲んだりするの?
その、相手にされてないときは。 |
西本 |
そういうときは
被害を最小限に食い止めるために
ジントニックとミックスナッツしか頼みません。
こりゃダメだなと思ったらつぎの店です。 |
ふたり |
はっはぁ〜。 |
西本 |
つぎに入った店はほぼ満員だったんですけど
カウンターの席に座ってマティーニをオーダー。
そしたらお店の人が
「うちは初めてですよね」と。
「ええ。初めてです」と。
「どちらから?」「東京からです」と。 |
糸井 |
ま、ほんとうは九州なんですけどね。 |
永田 |
そういうときは「東京から」って言うんだ? |
西本 |
もちろんです。過剰に標準語ですよ。
その店はすごくオシャレなバーなんですけど
店員からお客さんまでみんな
有馬みたいな喋りをしてます。 |
糸井 |
ほんとかよ(笑)。 |
西本 |
ほんとです。 |
永田 |
「敵ながらあっぱれち
言わないきもはんな」 |
糸井 |
「マティーニを出すわけには
いきもはん」 |
永田 |
「マティーニは
おいにまかせてくいやんせ」 |
西本 |
そんな感じです。 |
ふたり |
ほんとかよ。 |
西本 |
で、その会話の流れのまま
「今日は『新選組!』が最終回だったので
いてもたってもいられなくなって
飲みに来ました」と、
お店の人に告げたところ‥‥。 |
糸井 |
言えないよ、それは、なかなか。 |
永田 |
でもこの人、東京を出るときから
こういう展開にもっていくって
決めてますからね。 |
糸井 |
あ、なるほどね。 |
西本 |
そのことばを投げ掛けた瞬間、
隣の席で岩波新書を読みながら
酒をちびりちびりやっていた
おっさんがいきなり
「勝海舟は悪いね!」と
オレの話に入ってきたわけです! |
ふたり |
おおお(笑)! |
西本 |
でも、勝さんを演じる野田秀樹さんの演技は
見どころ満載じゃないですか、と反論すると、
「いや、勝は悪い」と。 |
永田 |
つまり、「のってきたぁ」ってことだ。 |
西本 |
ええ。 |
糸井 |
悪いやつだなあ(笑)。 |
西本 |
おっさん、いわく、
「鹿児島に住んでるから言うわけじゃないけど
西郷どんには罪はないね」と。
「悪いのは勝だ」の一点張り。
やっぱ、西郷のホーム、
勝海舟にとってはアウェーなんですよ。 |
永田 |
なるほどね(笑)。 |
糸井 |
それはさすがに薩摩ですね。
つまり、近藤は「敵ながらあっぱれ」で、
「黒幕は勝だ」と。 |
西本 |
ええ、そのとおりです。 |
永田 |
そこですかさず反論して
勝海舟を擁護したわけですか。 |
西本 |
いやいや、薩摩はぼくにとっても
アウェーの地ですからね。
最終的には一緒になって
「勝は悪いですね!」と。 |
ふたり |
えーっ、そういう展開! |
西本 |
そのままそのおっさんと
もう一軒はしごしましたよ。
おっさんは鹿児島大学の先生かなんかで。 |
糸井 |
何歳くらい? |
西本 |
40か50くらいじゃないですかね。
「いっさく」さんって言うんですけどね。
「勝が悪い!」って言ってね。 |
糸井 |
「いっさく」さん(笑)。 |
西本 |
そっからはふたりで
『新選組!』について語りまくりで‥‥。 |
永田 |
にしもっちゃん、にしもっちゃん、
ひとこと言っていい? |
西本 |
なんスか? |
永田 |
記憶、ないんでしょ? |
西本 |
なんも覚えてませんわ。 |
糸井 |
泥酔(笑)。 |
永田 |
泥酔(笑)。 |
西本 |
ええ(笑)。 |
永田 |
だってさあ、さっきから
「勝が悪い」しか言ってないんだもん。 |
西本 |
ホテルまでどうやって帰ったのかな‥‥。 |
永田 |
またそのパターンか。 |
西本 |
あ、でも、翌日空港の近くで、
西郷公園というのを見たのは覚えてますよ。
みんな浴衣姿に犬を連れて散歩してましたよ。 |
永田 |
うそつけ。 |
糸井 |
ところで小耳にはさんだんですが、
西本さんは、とうとう、最終回を観て、
鹿児島で泣いたそうじゃないですか。 |
西本 |
ええ、泣きました。 |
永田 |
えっ、なにそれ!
そういうことを言いなさいよ。
マティーニとか言ってないでさ。 |
西本 |
ホテルでひとりで観てたら、泣きました。
思えばひとりで『新選組!』を観るのは
はじめてのことでした。 |
永田 |
どこで泣いたの? |
西本 |
勇が刑場に向かうシーンです。野際さんが
「近藤勇! よく、戦いました!」
と叫んで、みんなが
「よくやった!」と口々に‥‥。 |
永田 |
ああ、もう、ダメだわ、あそこ‥‥。 |
糸井 |
くるねー、あそこはねー。 |
西本 |
あのあたりで一気に。
まあ、ベタ過ぎる展開だと思ったんですけど、
あそこまでベタだと、かえって泣けました。 |
糸井 |
ベタ、いいじゃないですか! |
永田 |
ベタのなにが悪いんですか! |
西本 |
そうッスよね! |
糸井 |
胸に迫るのは、やっぱりベタですよ。 |
永田 |
「ベタ・カモン!」ですよ。 |
糸井 |
「ウエルカム・ベタ!」 |
西本 |
「ウイ・ラブ・ベタ!」 |
永田 |
「ウイ・アー・ベタ!」 |
糸井 |
「アイ・アム・ア・ベタ!」 |
ふたり |
「アイ・アム・ア・ベタ」(笑)。 |
糸井 |
心地よきかな、ベタっていうことですよ。 |
永田 |
そうッスよ。だいたい、あのドラマを観て、
泣いて、そんでこのページを
読んでくださってる人なんて、
ベタが好きに決まってますよ。
ベタのベタによるベタのためのページが
この「ほぼ日テレビガイド」なんですよ。 |
糸井 |
というか、もう、オレは
ベタ以外のものは嫌いだね! |
永田 |
それはちょっと。 |
西本 |
それはちょっと。 |
糸井 |
まじめな話、今回は、演じる役者さんたちが
気持ちよさそうだったねえ。もう、全員が!
土方なんか、つっつーと泣いてたでしょ。
あれは、観ていても気持ちよかった。
あれはベタの快感ですね。 |
西本 |
あの、海原雄山みたいなお兄さんと
向かい合っているあたりですね。 |
永田 |
そういや土方の髪型も
山岡さんっぽかったな。 |
糸井 |
なんていうのかな、
三谷さんのベタっていうのは、
気持ちがいいよなあ。 |
永田 |
一発逆に振るから気持ちいいんですよ。
「え、そっち行くの?」って
ちょっと思わせておいて、
ドーーーンってくるから。 |
糸井 |
そうですね。顕著な例があいつですよ。
照英が「馴染めない人だった」って言う‥‥。 |
永田 |
尾形! |
糸井 |
あいつ、いつからいたっけ? |
西本 |
いつからいましたっけ? |
永田 |
いつからいましたっけ? |
糸井 |
まあ、ともかく、あの人はよかったですね。
隊を離れて、「馴染めない人だ」ということで
それこそいったん逆に振っておいて‥‥。 |
西本 |
最後の、とびきりの笑顔! |
永田 |
そのまえに山南さんのことばを
持ち出してくるあたりも効くんですよね。 |
糸井 |
もう、なに?
アンダースローのピッチャーだけど
ストレートが速い、みたいなもんですよね。 |
永田 |
一球、外へスライダーで外しておいて、
胸元へ真っ直ぐがドーンっと。 |
西本 |
お孝もそうでしたよ。
一回、うざい感じにしておいて。 |
糸井 |
「うざい」はないだろう。 |
永田 |
「うざい」はないでしょう。 |
西本 |
え、そこにツッコミますか! |
糸井 |
まあともかく。 |
西本 |
まあともかく、身体をはって
沖田をかばうわけですからね。
意外な直球でしたよ。 |
永田 |
あそこも泣いたなあ。ぼくは、
沖田に見せ場をつくってくれたというか、
沖田に剣を抜かせてくれたということが
ほんとうにうれしい。
あそこもまさにベタの快感です。
剣を投げてもらって、受け取って、
スラーーっと抜くじゃないですか。
ずっと抜きたかっただろうなあと思って。
悲しいシーンだったけれど、
剣士沖田が復活したのは溜飲が下がりました。
三人目を斬ったあと、こう、
身体を斜にして見下ろす
沖田の身体の線のキレイだったこと。 |
糸井 |
ぼくがうなったのは、
「徳川に対する恨みを近藤勇が一身に受ける」
という解釈ですね。
それができるのは近藤だけだという
コンセプトはほんとうにおもしろい。 |
永田 |
ああ、たしかに。あんな考えを
最後に持ってくるとは思わなかった。 |
糸井 |
でも、あれがなかったら
途中は描けないだろうから、
あのコンセプトはものすごく早くから
あったわけだよね。それは驚くよね。
つまり、捨助は仇を討ってやるって言ってるし、
土方も大きな意味では
その後も仇を討とうとしたわけですよ。
かっちゃんの意志はそこにはないから
函館に行くわけですよね。
みんなが一泡吹かせるとか
同一の平面で語っているときに
近藤勇だけを天上に昇る人として
つくっていっているわけでしょ。
しかも、すごいのは、
近藤勇自身にはそんなことを
ひと言も言わせずに表現したこと。 |
永田 |
言ってないですよね。
「その恨みはオレが受け止める」
みたいなことを言わないどころか、
本人は思ってもみないという雰囲気で。 |
糸井 |
目の前にあるものを助けてるだけなんだよね。
今回で言えば捨助を助け、
子どもの笑顔を見たら、
そこではじめて未来に対して、
限りない愛情を表現してみたり。
あれをことばじゃないところで
醸し出しているところが
香取慎吾のすごさですけど。
演出だけじゃどうしようもない次元だろうから。
本人のなかにあの感じがないと。 |
永田 |
とくに、前回、今回と、
そういうのが多かったですね。 |
糸井 |
役者のなかに込められているドラマというのが
どんどんにじみ出してるという感じで
よかったよねえ。 |
西本 |
ぼくのポイントでいうと、
やっぱり、「完」のあとの
カーテンコールがすばらしかったですね。 |
糸井 |
圧倒的でしたね。
とくに最初に観たときは、
どうしようもなかったな。
つらくて、でも、
つらいけど明るいじゃないですか。 |
西本 |
これからまたなにか新しいものが
はじまりそうだという
雰囲気がうれしかったですね。 |
糸井 |
続きがあったから
俺たちが生きているわけだからさ。 |
永田 |
土方のお兄さんも
「100年後、200年後の人が決めればいい」
と言ってました。 |
糸井 |
そうだねえ‥‥‥‥。
まあ、そういうことばが、
メールにもたくさん書いてあって、つまり、
「ここのセリフがオレに響いた」
ということだらけでしたね。
だから‥‥それをぼくらがここで
いちいち言っていくのも‥‥。
まあ、わかってることだしね‥‥‥‥。 |
永田 |
‥‥‥‥。 |
西本 |
‥‥‥‥。 |
(沈黙) |
糸井 |
また、黙っちゃいましたね。 |
永田 |
ええ(笑)。 |
西本 |
いや、総括なんてムリでしょう。 |
糸井 |
しかし、あれだね?
ぼくらも、知らなかったときは
よくしゃべったね(笑)。 |
永田 |
そうですねえ(笑)。 |
西本 |
きっと、知らなかったころだったら、
今回のを観てもべらべらしゃべってますよ。
「木戸が食している
アメリカンブレックファーストは
いかがなものか?」
っていうだけで盛り上がってましたよ。 |
永田 |
いえてるね。おまさのおっぱいがどうだとかね。 |
糸井 |
絶対、言いますよね(笑)。 |
西本 |
「はしのえみ、乳輪でかっ!」とか。 |
糸井 |
そういうことをしゃべってたんだろうなあ、
ということをしゃべるしかないんですかね? |
永田 |
そうですねえ‥‥。 |
糸井 |
思えば、ぼくらが3人そろって
観だしたころっていうのは、
芹沢鴨暗殺のときでしょう? |
永田 |
ええ、「新選組誕生」の回です。 |
糸井 |
最終的には、第1回からぜんぶ観たわけだけど、
あそこを入口にしたというのはすごいね。
いきなり、フルスピードじゃないですか。 |
西本 |
あそこから池田屋までは
一気に行きましたからね。 |
糸井 |
水着を買ったら、いきなり真夏日が来た、
みたいなもんだよね。 |
永田 |
そりゃ、わけもわからず
ざぶざぶ泳ぎますよ。 |
西本 |
いまはプールの隅々まで、
味わいつくしたあとですからね。 |
(沈黙) |
糸井 |
土曜日のスマステ、観た? |
西本 |
観ました。 |
永田 |
最終回が終わったあとに
観ようと思ってたんですけど、
こらえきれずに観ちゃいました。
最終回の映像がチラッとでも映ろうもんなら
テレビを叩き割るくらいのつもりで
リモコンを握りしめつつ観ました。 |
糸井 |
あいかわらず厳しいですね。 |
永田 |
でも、大丈夫でした。たのしかったです。 |
糸井 |
でもオレ、もっと期待しちゃってた。
無限に期待してたみたいね。
そんなにいろいろあるわけないじゃないね。 |
西本 |
十分でしたよ。
ナイスな予告編でしたよ。 |
永田 |
あれ観て、京都行っておいて
よかったなあと思いましたね。 |
糸井 |
よかったね。 |
西本 |
今日のスマスマでは、
『新選組!』のコントがあるらしいですよ。 |
糸井 |
‥‥観なきゃね。 |
永田 |
‥‥観なきゃ。 |
西本 |
‥‥ええ。 |
糸井 |
‥‥‥‥。 |
永田 |
‥‥‥‥。 |
西本 |
‥‥‥‥。 |
永田 |
‥‥最後のセリフとか、
やっぱり、触れておいたほうが
いいんじゃないですかね。 |
糸井 |
うん。「トシ‥‥」ね。 |
永田 |
どうでしたか? |
西本 |
どうでしたかって‥‥‥‥
いいに決まってるじゃないですか!
泣けたに決まってるじゃないですか! |
永田 |
いいに決まってるんだけどさ!
泣けたに決まってるんだけどさ! |
糸井 |
だから、もう、いっそ誰かに
反対にしてほしい気がしますね!
「トシ‥‥」っていうのは
オレは反対だな! という人がいれば、
それに対して「あれがいいんだよ!」
って言いたいよね。 |
西本 |
じゃあ、いったんオレが反対しましょうか。 |
永田 |
そういう問題じゃないだろう。 |
糸井 |
はあああああ、なんだかもう、
終わっちゃったんだなあということだよね。 |
西本 |
もいっぺん、カーテンコールでも観ますか? |
永田 |
あ、カーテンコールって言えばさ、
まいどさんがすっげえいい笑顔で
映ってたのが印象的だった。 |
糸井 |
ああ、そうそう(笑)。 |
西本 |
土方の「待たせたな!」の後ろで、
ニカッと決めてましたよ。 |
糸井 |
いいだろ! |
西本 |
まいどさん、再評価ですよ。 |
糸井 |
だからオレがあんなに言ったじゃないか。
このコンテンツでの自分のエポックは、
まいどさんについて語った、あの回だね! |
永田 |
ああ、あったなあ(笑)。 |
西本 |
あれには参った。 |
糸井 |
最終的には意義があったじゃないか。 |
永田 |
そういや、こないだメールが来てましたよ。
「男子部のみなさん、お疲れさまでした」
っていう文面のなかに、
「まいどさんについて
糸井さんが延々語ってる回を
読んでいるときには
どうなることかと思いましたが」って。 |
ふたり |
わはははははははは。 |
永田 |
だって、あの回、約1000ライン中、
500ラインくらいが、
まいどさんの話でしたからね。 |
西本 |
掲載の直後に、まいどさんの事務所から
お礼の電話があったくらいです。 |
糸井 |
だからね、ぼくが「まいど」というときは、
全員が入ってるんですよ。 |
永田 |
もうわかりましたよ、その話は。 |
糸井 |
あっ! だから、そういうことだよ! |
ふたり |
どういうことですか。 |
糸井 |
勇が「トシ‥‥」と言ったあのセリフには、
ぜんぶが入るんだよ。
観る人にとっての、友だちとか、妻とか、
ぜんぶの名前が入るんだよ。
それがなぜいまわかったかというと
オレが「まいど」って言うときは、
新選組の隊士全員が入ってるんだよ。
これが「トシ‥‥」のすごさだよ。 |
永田 |
はっはぁ、そう来ましたか。 |
糸井 |
これはいいでしょう。
あのときのぼくの「まいど論」が、
最終回で見事に結実したわけですよ。 |
永田 |
つまり、三谷さんが、
「『寺田屋大騒動』を観るまえに、
『婚礼の日』を観ておいてくれ」
とメールしてくださったように‥‥。 |
糸井 |
そうです、そうです! |
西本 |
今回の「ほぼ日テレビガイド」を読むまえに、
「まいどさんについて語った回」を
読んでおいてくださいね、と。 |
糸井 |
そそそそそ(笑)。 |
永田 |
どう思う? |
西本 |
結果論ですね。 |
糸井 |
いや、でも、まじめな話、
あの「まいど論」は、
『新選組!』そのものとも言えるんです。
この世界の中で
ひとりひとりがつくっているものが
重なりあってなにかになっているという、
そのひとつのシンボルが、
まいどさん演じる谷三十郎なんですよ。 |
永田 |
群像劇の醍醐味に通ずる、と。 |
糸井 |
そうです。ひいては世の中ぜんぶに通ずる。 |
西本 |
そういえばいろんな人が出てたわけですもんね。
なんか、思い出すと、びっくりしますよ。
永倉が最後まで出てましたけど
相方の平畠さんが
出てた時期があったわけですから。 |
糸井 |
ああ、あったねえ(笑)。 |
永田 |
うわっ、完全に忘れてたわ。 |
西本 |
うちの事務所にも来たことがある
カラテカの矢部くんも出てましたよ。 |
糸井 |
いたなあ、病弱でね。
カラテカは元気になったんだっけ? |
永田 |
ゴホゴホしながら田舎に帰っていきましたよ。
彼がなんのために出てきたかというと
労咳の菌をふりまきに出てきたわけですよ。 |
西本 |
あいつさえいなければ、沖田は! |
糸井 |
あのメールの指摘は見事だったなあ(笑)。
ああいうメールがくると、
大勢で観てるのはおもしろいって思えるよね。 |
永田 |
読者の方からの指摘には
多いに助けられました。 |
西本 |
専門的なことなんかも
教えてもらいましたしね。 |
糸井 |
くり返して悪いけどさあ‥‥。 |
永田 |
それこそが「まいど論」だと? |
糸井 |
そうです。思い出すんですが、
勘定方の河合だけで1本やった、
「ある隊士の切腹」という
傑作の回があったじゃないですか。 |
西本 |
ありましたねえ。京都で観た回。 |
永田 |
あれはほんとに哀しかったなあ。 |
糸井 |
つまり、あそこでは、
「河合=ある隊士」なわけですよね。
で、「ある隊士=友」なんですよ。
「友」といえば「いずこへ」というわけです。
そういうことを、三谷さんは
表現したかったというわけなんですよ。
わかりますか? |
ふたり |
わかりません。 |
糸井 |
そう言うと思いましたけど、
オレ的な伏線としてはね、
あそこでまいどさんを語ったということは
ひじょうに意味がありますよ。我ながら。 |
永田 |
ともあれ、カーテンコールの
まいどさんの笑顔はよかったです。 |
西本 |
もうひとついえるのは、
どんな雑誌を読んでも、まいどさんについて、
あれほどきっちり語っているものはありません。
たぶん、ウチだけですよ。 |
永田 |
しかし、最終回まで、こんなに
まいどさんが出てくるとは‥‥。 |
糸井 |
そういや、女子部が
「まいどさんが立ってる姿が
テレビの音声さんみたいだ」って
うまいこと言ってたなあ。 |
西本 |
斬られるまでの時間が短すぎるという
話もありました。隊士のなかで、
最短記録ではないかと。 |
糸井 |
甲子太郎なんかも、懐かしいだろう。
つい、こないだまでいたのに。 |
永田 |
清河八郎を佐々木サマが斬ったりしてましたよ。 |
西本 |
あと、柔術の松原なんかもいました。 |
糸井 |
ウエポンお梅とかね。 |
永田 |
鴨が桂小五郎に文句をつけて、
逆にやり込められるシーンとか
よかったなあ。 |
西本 |
久坂玄瑞もいましたよ。 |
糸井 |
周平つれて逃げようとしたのは誰だっけ? |
永田 |
浅野? かな? |
西本 |
西本願寺の寺侍とか。 |
糸井 |
新見錦もよかったねえ。 |
永田 |
あ、上総介! |
西本 |
象山先生! |
糸井 |
それぞれがすべて、
「まいどさん」なんです! |
永田 |
うわあ(笑)。 |
西本 |
ま、いいんじゃないですか(笑)。 |
永田 |
なんだか、本質的なことが
ちっとも語れていないような気がしますが。 |
糸井 |
そんなもん、語れやしないですよ。 |
西本 |
ええ。いつもこんな感じでしたし。 |
永田 |
そういやそうかも。
じゃあ、最後の挨拶をお願いします! |
糸井 |
‥‥うーーーん、あとでメールするわ。 |
永田 |
なんだそりゃ! |
西本 |
じゃあ、各自メールでということで。 |
永田 |
ええええ。 |
糸井 |
いまは、これ以上、ムリ。 |
西本 |
ちょっとぼく、ウンコしてきます。 |
永田 |
また、ウンコで終わりか! |