ほぼ日テレビガイドシリーズ  春の連ドラチェック2014  あややとふたりのプロフェッショナル  春の特別コンパクト版ほぼ日テレビガイドシリーズ  秋の連ドラチェック2014  あややとふたりのプロフェッショナル
話題のドラマ2本が同じ時間帯に! ヒロインが決め手のドラマ3本を。
あやや さあ、つぎです。
森下さん、気になるドラマを挙げてください。
森下 ええとね、じゃあ、これ。
『ファースト・クラス』と
『きょうは会社休みます。』のガチ対決。
あやや あー、これ、同じ時間なんだ!
森下 「マウンティング女子」対「こじらせ女子」
という、逆ベクトルの女性ドラマの戦いですね。
あやや うわー、すごいですね。
── (ひそひそ声で)
‥‥「マウンティング女子」って、なんスか?
荒井 自分のほうが相手よりも格が上だと
アピールし合うような女子のことです。
── (ひそひそ声で)
‥‥「こじらせ女子」ってのは、
女子っぽくなくて、卑屈になってる女性、
みたいな感じでいいですか?
荒井 それでいいと思います。
あやや どっちから行きましょうか。
森下 じゃ、『ファースト・クラス』から。
あやや
ファーストクラス フジテレビ系●水曜日午前10時
あやや 沢尻エリカさんが女性誌の編集長を
演じたドラマの第2弾ですね。
今回はファッションブランドの
デザイナーに転身して、
そこでもまた女どうしのバトルが
くり広げられるという‥‥。
森下 けっこう話題になるんじゃないかなぁ。
いま、どっちかというと、
悪女とか不倫とか、
「女の悪」をテーマにしたドラマが
注目されている感じだから。
あやや あー、なるほど。
みんなそっちに舵切ってますか。
森下 つくるほうも、ちょっと前から
ドドっと動いたなという感じがすごいしてて。
あやや そもそもNHKからはじめましたもんね。
森下 そうそう、悪女的な流れをね。
あやや 『セカンドバージン』とか、はしりですよね。
カジュウはもう完全にそっち系統。
── カジュウ?
あやや あ、火曜10時で「火10」です。
NHKは「ドラマ10」って言ってますけど、
すいません、つい枠の通称で。
── 「火10」かぁ。
荒井 ちなみにこのドラマの第1弾って観ました?
あやや 観ました、観ました。
荒井 第1話を観たときに、
ちょっとあのマウンティングの世界が
きついなーと思って。
女性受けはよさそうですけど、男には、
あの世界を受け入れがたい感じもあったり。
あやや あー、なるほど。
荒井 まぁ、そういうドラマなんですけど、
女どうしのすっごくギスギスした感じを
わざと出してますよね。
森下 あれはもう、ギャグとして観るんでしょうね。
荒井 ギャグなのかぁ。
あやや そうですねー。
「現在のマウンティングランキングは‥‥」
って、毎回、格付けが出るのも、
やっぱりギャグでしょう。
森下 「新たな女帝」とか「ゴッドマザー」とか、
格闘家みたいなキャッチフレーズも、
ギャグだと思うんですよ。
まぁ、ギャグとまではいわなくても、
企画としてのおもしろみを狙ってるわけで。
だから、本来は、それをたのしむものですよね。
荒井 いや、わかるんですけどねぇ。
どうしても、観てるとげんなりしちゃって。
あやや これって、早い話が、
沢尻エリカさまをおもしろがる
ドラマだという気もするんですよ。
それこそ、プライベートの、
「別に‥‥」騒動のあたりのことも、
観てるほうが勝手に役に混ぜながら、
重ねてたのしむことを前提にしているというか。
森下 うん、うん。
荒井 なるほど。
あやや 「別に‥‥」を思い浮かべつつ、
目をうるうるさせながら
「いい子」を演じてるエリカさまを観て、
ドラマのなかのギャップを
「リアルのおかしみ」としてとらえるというか。
「ザ・芸能」みたいな感じを。
荒井 あー、そうですね。
「たいしたやつだ」っていうね。
わかるんですけどね。
個人的には、たのしめるかどうか‥‥。
今回は続編っていうことで、
ランキングされるキャラクターも増やして、
もう、争わせる気満々ですね、これ。
あやや ギスギスさせる気満々ですよ!
年齢も性格もさまざまなタイプの
美女がそろってます!
森下 木村佳乃さん、手強そうですねぇ。
あやや シシド・カフカさんも出るんですね。
どうでもいいですけど、
シシド・カフカさんってすごい名前ですよね。
どう思いますか、シシド・カフカさんって。
自分の名前がシシド・カフカだったら
どうですか、ながたやすひろさん。
── オレの名前と並べるなよ。
あやや ある朝、ながたやすひろが
なにか気がかりな夢から目をさますと
自分が寝床のなかで
一匹のシシド・カフカに
変わっているのを発見した。
── やかましい。
あやや なんか、定期的に、こういう
「名前、カタカナにしました」
みたいな人が登場しますよね。
「カヒミ・カリィ」とか。
「きゃりーぱみゅぱみゅ」とか。
── 「きゃりーぱみゅぱみゅ」はひらがなだ。
あやや (無視して)
私、思うんですけど、こういう、
ちょっと印象的な名前をつける人って、
自分の芸能生活をどんなふうに
見通してらっしゃるんでしょう?
荒井 どういうことですか。
あやや 60歳とか70歳とかになったとき、
バランスが悪いな、とかは思わないんですかね。
本人よりも、事務所の人とかが。
「芸能生活50周年記念パーティー」のときに
ちょっと困るぞこれは、みたいな。
── ちなみにあやちゃんは
「あやや」を後悔してるでしょ?
あやや そーなーんですよーー。
「ほぼ日」に入った15年前は
ここまで長くつき合う
名前だとは思わなかったから、
「ハイハイ、なんでもどうぞ」って感じで。
‥‥ハッ! ということは、
カフカさんも、カリィさんもぱみゅぱみゅさんも
「ハイハイ、なんでもどうぞ」で
決まっちゃったのかも!
── 知らんがな。
あやや
きょうは会社休みます。 日本テレビ系●水曜日午後10時
あやや で! その『ファーストクラス』の裏の、
『きょうは会社休みます。』、
行ってみましょう。
森下 最初にどうでもいい話をしておくとね、
今日、この座談会があるから、
うちでテレビ雑誌を読んでたんですよ。
で、そばにいたうちの娘に
「どのドラマが観たい?」って聞いてみたの。
── 小2にして、お母さんといっしょに、
連ドラをふつうに観てるという娘さんですね。
荒井 おお、連ドラサラブレッド。
森下 そしたら、娘はなぜか、
「『きょうは会社休みます。』が観たい」と。
あやや どうして?
森下 それがね、
「会社を休む理由が知りたい」って。
あやや かわいいーーー。
荒井 かわいいー。
── かわいいーー。
森下 かなり、かわいい答えが返ってきた(笑)。
あやや そんな、子どもの目にとまった
キャッチャーなタイトル、
『きょうは会社休みます。』、
主演は、綾瀬はるかちゃんです!
『ホタルノヒカリ』、私は好きでした。
荒井 そっち系ですよね、これも。
森下 いわゆる「干物女」的なやつ。
あやや そうそう、恋愛にうとい、
ダメダメな女の子がいつしか‥‥という。
かなり似てますよね、設定は。
あの、『ホタルノヒカリ』のときに
思ったんですけど、綾瀬はるかちゃん、
すっごくかわいいじゃないですか。
どう見てもかわいいんだけど、
ダメダメな役も見事に演じますよね。
森下 そうそう。
あやや よく我々がこの場で言う、
「香里奈さんみたいな人が
 ずっと彼氏ができない
 冴えない女性の役をやると、
 ドラマとはいえ、
 さすがにリアリティーないよ」
みたいな感じがないのがすごい。
荒井 そうなんですよねぇ。
あやや 綾瀬はるかさん、いうまでもなく、
いまを代表する若手女優さんなのに、
「あ、干物女なんだなぁ」みたいな、
「めんどくさがりなんだろうなぁ」
みたいな雰囲気の人をすっと演じますよね。
森下 予告見たんですけど、
ちゃんと「イケてない感じ」に見えました。
あやや そう、ちゃんと「イケてない」の。
綾瀬はるかちゃんって、そこがすごいですよね。
SK-IIのCMもやりながら、
「イケてない」もできる。
森下 つまり、美人でかわいいのに、
全国の30歳くらいのOLが
自然に共感できる女優さん。
荒井 演技がうまいってことなんでしょうね。
モテない役をやると、
モテないっぽく見えちゃうんですね。
あやや でも、実際はモテないことないですよね。
荒井 そりゃそうでしょう。モテモテですよ。
森下 なにせ、芸能人だけで結成される
「綾瀬はるかファンクラブ」が
あるらしいですから。
あやや しかも胸が大きいでしょ。
上戸彩ちゃんもそうなんですよね。
森下 あれは、びっくりしたねー、
『昼顔』のときねー。
荒井 つくり手は完全に意識してましたよね。
なんで、自転車に乗りながら
あんなに揺らしてるんだ!
森下 なにその怒り方(笑)。
荒井 けしからん! よくやった!
あやや 完全に脱線ですけど、
綾瀬はるかさんとか上戸彩さんとか、
セクシー路線で打ち出してない
女優さんの胸が揺れるほうが、
ある意味、米倉サマやエリカさまより
エロティックかもしれないですよね。
荒井 サブリミナル的にくるんですよ。
まったく、けしからんことです。
そして、ありがとうございます。
森下 『昼顔』でも、吉瀬美智子さんは、
ばんばん肌を露出してて、
圧倒的に色っぽく描かれているんだけど、
観てる人が生々しく色っぽさを感じるのは、
上戸彩さんのほうな気もするなぁ。
あやや 100パーセントそうでした。
荒井 それはちゃんとつくり手もわかってますよね。
あやや なんでしょうね、そういう色気って。
スタイルとか肌の露出だけじゃないでしょ。
森下 うん。吉瀬美智子さんとか米倉涼子さんって、
たとえ裸になったとしても、
あんまりいやらしい感じがしないと思うんだよ。
あやや わかります、わかります、
なんかこう、彫刻みたいで。
森下 そうそう、
だから、前に江角マキコさんが脱いだときも、
裸を見てもドキドキはしなくて、
なんか、もう、「拝まなきゃいけない」
みたいな気持ちになった。
あやや わかります(笑)。
荒井 うーーん、スタイリッシュで
脱いだとき拝みたくなるタイプと、
揺れるだけでけしからんタイプがあるのか。
森下 あるあるある。
まぁ、どっちもありがたい話ですけどねぇ。
あやや それ、さっそく分類はじめていいッスか。
やっぱ、おっぱいが‥‥。
── おっぱいの話はそれぐらいにして
ドラマの話に戻らんか、おまえら。
あやや はーい。
森下 はーい。
荒井 ええと、なんでしたっけ、
『きょうは会社休みます。』ですね。
あやや 森下さんちのお子さんじゃないですけど、
これ、どうして会社休むんでしょうね?
森下 わかんない、彼氏できたからかな?
あやや 毎回違うのかな。
── 毎回違う!
なにそれ、どういうドラマなの(笑)。
あやや 1話完結で毎回会社を休む理由が違う、
みたいな。
荒井 はははははは。
森下 なるほど! それ、おもしろい。
── 1クール、全回、会社休むんだ。
あやちゃん、そのドラマ、おもしろい。
森下 今週は「彼氏ができました」とか、
来週は「はじめて風邪の看病をしてみました」
みたいな。
あやや そうそうそう(笑)。
森下 恋愛の進行とシンクロさせながら、
いろんな理由で会社休んでいくのかな。
「浮気されました」とか、
「家に入れませんでした」とか。
彼氏がそう言う回もあるのかなぁ。
── おお、脚本家の発想が広がってる。
あやや っていうか、そういうドラマじゃないの?
荒井 違うでしょ。
あやや でも、やっぱり、綾瀬はるかさんだから、
いろいろ想像できちゃうんですよね。
どういう展開でどういう役だったとしても、
まあ、それならそれで、って感じがするから。
森下 でも、さすがに『ファーストクラス』の
上から目線でキツいこと言う綾瀬さんは
ちょっと想像しにくいかもよ。
あやや あーー、たしかに。
しかし、『きょうは会社休みます。』と
『ファーストクラス』が同じ時間帯ってのは
ほんとにおもしろいですね。
森下 そう、この2本を並べてみると
ほんと、おもしろい。
荒井 テイストがまったく逆ですもんね。
ギスギスした感じと、
ふわっとした感じと。
── じゃ、3人に質問です。
録画できないとしたら、
この時間帯、個人的にはどっちを観ますか?
あやや うーーーん、『きょうは会社休みます。』
荒井 うん、おなじく。
森下 どっちかなぁ‥‥。
『ファーストクラス』を観そうな気がする。
あやや ほんとは、『会社休みます』を観て、
『ファーストクラス』を録画かな。
森下 そうだね。まとめて観たいかも!
『ファーストクラス』は。
荒井 視聴率はどうだろうなぁ、
いい勝負かもしれないなぁ。
『ファーストクラス』が録画されるぶん、
『会社休みます』のほうが高いかな。
森下 ちょっと、たのしみですね。
あやや
ディア・シスター フジテレビ系●木曜日午後10時
あやや 女性もの続きでもう1本行きましょうか。
『ディア・シスター』。
荒井 フジテレビの木曜10時。
けっこう大きい枠ですね、ここは。
でも、いまひとつ、話題になってないような。
あやや ジャンルとしてはラブコメディー。
『昼顔』のあとですからねぇ、
ちょっとインパクトが弱いのかな。
森下 でも、本来の木10の雰囲気を考えると、
『昼顔』がめずらしかったのであって、
もともとこの枠はこういう路線ですよね。
『最後から二番目の恋』とか、
『ラスト・シンデレラ』とか。
あやや ああー、篠原涼子さんの
『ラスト・シンデレラ』だ!
たしかにここはラブコメディー枠ですね。
荒井 説明によると、
「凸凹姉妹のラブコメディー」らしいんですが、
どうでしょう‥‥なんかピンと来ないような。
あやや 主演は、松下奈緒さんと、石原さとみさん。
姉妹の役なんですね。
あの、すみません、個人的な感覚なんですけど、
私的には、このキャスティング、
ちょっと違和感があるんですよ。
違和感というか、私のなかの文脈には、
このふたりを組み合わせる感覚がない。
森下 あー、ちょっとわかる。
あやや なぜ、この二人? みたいな。
どっちかが主演するのは、
ぜんぜんいいんですけど。
そして、またしても、
ああ、またしてもルームシェア!
なぜ、なぜ、どうして、
フジテレビはいつもルームシェア!
森下 そうそう、必ず一緒に暮らすの。
あやや 友だちどうしが、テラスハウス的な。
その話、前にもしましたよね。
‥‥ハッ! 思い出した!
このドラマのプロデューサーは‥‥。
森下 そう、中野利幸さんなんです。
『ラスト・フレンズ』と同じ。
『私が恋愛できない理由』や
『結婚しない』と同じ。
あやや ルームシェアするドラマばっかり!
おもしろい傾向ですねぇ。
中野さんのドラマだけじゃなく、
フジテレビはルームシェア率が高いんですよね。
荒井 でも、『ラスト・フレンズ』もよかったし、
ルームシェアじゃないですけど、
同じ枠で同じプロデューサーの
『ラスト・シンデレラ』が当たったってことは、
このドラマも当たる可能性が。
あやや そうですね。
ただ、さっきも言ったように、
どうしても主役のふたりの組み合わせがなぁ。
荒井 たしかに組み合わせとしては、
なんとなくピンと来ないですね。
あやや シスターを取り巻く男性陣も、
田辺誠一さん、平山浩行さん、岩田剛典さん。
これも、それぞれに魅力的なんですけど、
なんというか、「グワッ!」と
つかまれる感じじゃないんですよね。
肩の力が抜けてるっていうか、
数字取りに行くぞ、っていう
貪欲さみたいなものがぜんぜん感じられない。
荒井 あーー、たしかにねぇ。
森下 でも、わかんないですよ。
『昼顔』だって、はじめ聞いたときは、
肩の力抜けてる企画っぽかったもん。
あやや ああ、そうか、そうか。
森下 肩の力が入りまくってた『若者たち』が
評判がイマイチだったり、
お気楽に入って行った
『昼顔』がいちばんおもしろかったり、
そのへんってほんと、悲しいかな、
フタを開けるまでわからない。
『昼顔』もへんに期待してなかったぶん、
観ててすごくラクだったから
よかったんじゃないかと思って。
あやや ああー、たしかに。
じゃあ、案外、これも
数字とっちゃったりするかもしれない。
荒井 可能性はありますよね。
あやや それにしても、なんでだろう。
松下奈緒さんと、石原さとみさん‥‥
なんでこのふたりなんでしょうね。
やっぱり、ひっかかるなあ。
荒井 イマイチ、姉妹っぽく見えないって
ことなのかなぁ。
森下 これは‥‥ひょっとしたら、
百合の路線を狙ってるんじゃないですかね。
あやや ゆり?
森下 百合っぽくないですか。
あやや ゆり?
荒井 ああ、じゃあ、この姉妹が
じつは血はつながってなくて、とか。
あやや えっ、どういうこと?
荒井 女どうしの恋愛ってことですよ。
あやや わーー、なにそれ!
森下 ほら、このメインのビジュアル、
女どうしのラブだとすると、
ぴったり来ませんか?
しかも、タイトルが
『ディア・シスター』だよ?
あやや あー、ぴったり来る! ピンと来る!
ああー、そうか!
森下 きっと、お話が進むにつれて、
シリアスな、秘めた恋が展開して‥‥。
あやや 女どうしの禁断の‥‥。
荒井 でもこれ、コメディーっスよ。
あやや え?
森下 え?
荒井 最初に言ったじゃないですか。
「凸凹姉妹のラブコメディー」って。
森下 あ、じゃあ、違うわ。
ふつうに姉妹のドラマなんだわ、これ。
あやや なーーんや、それ!


(つづきます)

 2014-10-23-THU
 


 


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