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新井さんのしずかな誘導で、 一歩ずつ森を進む、われわれです。 長靴の底からどっしりと、 森そのものが伝わってくる感覚が。 やわらかくて、湿り気があって、 生命感がみなぎっていて。 ああ‥‥この時間が いつまでも続けばいいのに。 |
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まるでエメラルドのように きれいな物体とひょっこり遭遇。 これもやっぱりきのこの一種? ‥‥子実体というのだそうです。 子実体。 調べてみました。
【子実体】 菌類の菌糸が密に集合してできた、 胞子形成のための塊状のもの。 大型のものを、きのこと呼ぶ。
なるほど。 これは小型だから きのこと呼ばれないだけで やはり菌類なのですね。 |
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秋に森を歩いていると、 当たり前のように、 緑青色に染まった倒木を見かけます。 これが、 ロクショウグサレキンに侵された状態。 しばらくすると、同じ緑青色した、 小さな小さな、 らっぱのような皿のような 子実体が出現します。
何でも、ヨーロッパあたりでは、 この緑青色を活かして 染色が行われるらしく、 布がとても優しい 青緑色に染まるのだろうことは、 想像に難くありません。 ロクショウグサレキン染めTシャツ、 欲しい!
それにしても、しかし、まあ、 何というネーミングでしょうか。 「緑青」はいいとして 「腐れ菌」ですからねえ……。
他にも、 センボンクズタケ なんて名のきのこもありますが、 誰が、何の事情で、 こういう名前をつけたのでしょう? たまたま命名者の 虫の居所が悪かっただけですかね。
(写真/新井文彦) |
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ここでは紹介しきれないほど次から次に、 いろいろなきのこがみつかります。
新井さんがおっしゃいました。 「ムラサキゴムタケではないかと」
ゴム‥‥。 たしかにゴムっぽい。 あと、イカっぽくないですか? スルメイカ。
形や質感がすごいコレですが、 色もすごいですよねー。 自然界って、ときどきびっくりする色を まとってますよね。 この色のTシャツ着たいもんね。 「新色! ムラサキゴムタケ色」 なんて、ほとんどのひとが、 わからないけど。 かわいいなぁ。 |
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涼しくなってくるとよく見かけるきのこ。 茶色と紫を混ぜたような色は同じものの、 茶碗みたいだったり、波打っていたりと、 形は多種多様です。
けっこう近似種があるようで、 正確な同定は顕微鏡などを 使う必要があります。
インターネットや図鑑などを見て、 知識を増やしていくのも大切ですが、 やはり、自然の中で生きている生物は、 自然の状態で観察するのがいちばん。
いわゆるデスクワークだけではなく、 とはいえ、 フィールドワークばかりだけでもなく、 多角的にきのこを楽しみたいものです。
(写真/新井文彦) |
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よ! ! いい写真を撮ったね! きのこにびしっとピンがきている。 きれい! きれいでかわいい!
ナイスヘッド!! いいヅラしてるね、君! |
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ヒメスギタケの幼菌は、 小さいし、傘の棘状の鱗片が、 冬虫夏草によくある イボイボにも見えるので、 最初に見つけたときには、 すわ、冬虫夏草か! と色めき立ってしまいました。 実際には違ったわけですが。
このヒメスギタケが生えている、 川沿いの森の大きなカツラ?の倒木は、 きのこ、粘菌好きにとっては「宝の山」。
アラゲコベニチャワンタケや、 ムキタケや、 ムラサキゴムタケや、スギタケなどなど、 たくさんの種類のきのこや、 はたまた、たくさんの粘菌が、 この倒木に、現れては消え、 生まれては死んでいきます。
そう、冬虫夏草の、 サビイロクビオレタケも、 毎年、この倒木で、 いくつも見つかるので、 川沿いの森へ出かけたときには、 要チェックです。
ちなみに、ヒメスギタケを取り囲む、 白い物体は、粘菌のシロウツボホコリです。
(写真/新井文彦) |
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歩いている場所は、 川沿いの森なので、 歩いてみると「山歩き」とまでは 行かないけれども、 それなりの高低差があります。
雨がふった後なので、 そこここにツルツルポイントがあり、 しかも、歩き慣れていない長靴なので、 よそ見をしていると、 あぶない目にもあいます。
新井さん曰く、 「ここは、まだいいほうですよ。 僕らがきのこをさがすときは、 時に『登山』です。 そういうきのこ狩りでしたら、 体を鍛えておかないといけませんね。」 と。
どんなハードなきのこ狩りなんでしょうか‥‥。 現在のワタクシどもには、 このくらいの高低差で充分満喫です! |
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そういえば地面ばかりだな、 とおもって、 ふと上をみあげてみました。
阿寒の森は このくらい樹木の葉っぱが うっそうとしています。
しかし、長々と眺めていると キャラバンが先にすすんでしまって 孤独になるので、要注意。
ああ〜、ゆーなちゃんまって〜〜! |
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訊いても彼女は教えてくれない。 「ふふふ」と意味ありげに微笑むだけ。
木の枝に引っかかって危ないぞ。
なんだろう、あれは。 彼女はなにを「仕込んで」きたのか?
‥‥にやり。 |
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ツガサルノコシカケの、 とくに若い個体は 内側から水分が滲み出すのだそうです。 「その理由はわかんないんですよ」 と新井さんはおっしゃいます。 イトイさんが、 「山下さんがなめてみればいいと思う」 と言うので、せっかくですし、なめました。 「‥‥無味です」 と報告すれば、「なあんだ」という反応。 か、からだの張りがいがない!
サルノコシカケに水滴、 結局わたしは、慎重派なので、 最後までなめることはありませんでした。
あとで、写真をみると、 なめてみればネタになったのに、 と思うことがありますね。
「サルノコシカケからさー、 水分がでてくるらしいんだよ、 で、それをなめてみたんだけどね‥‥。」 という話をどこかで できるじゃないですか。 |
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この日は湿度がとても高くて、 そして、すでに涼しい気候でしたが、 森の中をあるいていると やっぱり汗をかきます。
サルノコシカケから出る水分を ぺろぺろ舐めるのは 効率がよくないし、 ともすると危険だったりするので、 人間は、ふつうに水を持っていくと いいと思いました。
さんは いままさに、リュックにはいっている 水をだそうとしているところです。 それを見て自分も水を飲んだようで、 水を飲んでいるシーンが 写っていないのが悔やまれます。 悔やまれるっていうか、 「取材」する人間としては うっかりがすぎました! |
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突然目の前に現れた 倒木のカーテン。
なんだこりゃ! 全員、そう思ったと思います。 まるで舞台装置のような、 なんだろう、この胸騒ぎ。
思わずが上に駆け上がります。 駆け上がる背中は、ちょっと おさるさんのようでもあります。 ということは、本人には伝えていません。
気になるものを見つけたら すかさず飛び込む。 おさ・・、いや、猿飛佐助のように!
森に癒されすぎて、 そういう姿勢忘れてかけてました。 これは仕事だ! 自分はメインキャメラマンだ!
このときのは、 ほんとに早かった! ステージのようだ、と思うやいなや、 ひょいひょいひょい、と。 「登らないわけにはいかない衝動」が イトイさんに去来したのだと思います。 とにかく、この場所の迫力はすごかった。 |
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そして登りきったところで、 ポーーーーーーズ。 何イメージのポーズなんでしょうか。 「みなさん、僕のステージへ ようこそおいでくださいました」的な? 「みなさま、わたくしの右手に見えますのが、 森です。 そして、左側に見えますのが、 森です。 こんばんわ、森進一です。 おふくろぉさぁぁぁん〜〜〜」的な?
ほんと、この森は どこを切り取っても、絵になります。 迫力満点。
このときのイトイさんの うれしそうな顔、きっと忘れないなあ。 で、それをみているぼくらも かなりうれしそうだったはず。 それはたぶん、子どもの顔。 |
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あはは、 イトイさんもぼくらのことを撮ってる。 ぼくらはどんなふうに写っているんだろう? |
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この写真はさんが撮ったもの。 けっこう高いですね。
あれ? さっき合流したばかりの安井稜さんが 見当たりません。 たぶん、きのこでも探しに 行ってるんでしょうねー。
さんの写真は、 「気まぐれカメら」で みることができますが、 それにアップされていない写真は ほとんどみたことがありませんでした。 今回、「阿寒で取った写真をください。」 といって、まとめてもらったので、 なんか新鮮でした。
へー、こういうふうにわれわれは うつっていたのね〜。
(適度に自由なぼくたちの探検は まだまだつづきます!) |
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