卓さんのプレゼンテーション(前編)
佐藤

今日、初めてたかしまさんに
お会いして
改めて聞くのもなんなのですが、
たかしまさん、
この本のデザインは
これでよろしかったでしょうか(笑)。
今日はなにしろ
そのことだけは直接お聞きしたかった。

たかしま

(笑)突然、なにを。
いいに決まってるじゃないですか!
僕自身もどんな装丁がいいのかっていうのは、
ずっとサンプルを作ってみたりして
いろいろ考えていたんですけれども、
やっぱりこのブタフィーヌさんの絵ですから、
シンプルがいいという意識はあったんです。
でも、やっぱり自分でサンプルを作ると、
いわゆる漫画の中のままの
ブタフィーヌさんをドンと持ってくとか、
そういう方向に行ってしまってて。
見本をいくつか見せていただいたときに、
何ていうか、想像つかなかった範疇に
ピョンと跳びだして行った感じがして
衝撃的に嬉しかったですね。
こんなふうになるんだっていう。

佐藤

そう思っていただけて
私も本当にうれしいです。
今日はたかしまさんや糸井さんに
プレゼンテーションをしたときの案を
持ってきました。
これを見ながらお話をしていきませんか。
私とデザイナーの日下部とで
AからH案まで出しました。

糸井

こういう機会はなかなかないですね。
それじゃ、それぞれの案で
卓さんがどういうことを考えたのか
改めて教えてもらえますか?

佐藤

それじゃ、一番最初に
考え始めたことからいきますと
まず、本が発売されて書店に並んだ時に
本棚でどのように見えるかということを
当然、考えていきます。
ブタフィーヌさんのような
巻数を重ねていくシリーズの場合は
特に重要ですよね。
まず一番最初に悩んだのは
連載でも使われている
ブタフィーヌさんの手書きのロゴ。

クリックで拡大します

これを背表紙に
使うべきか使わないべきか。
まずはここで悩みました。
ここではロゴを
縦組みに入れてみましたが
たかしまさんは縦組みにしたことは?

たかしま

なかったですね。

佐藤

そうですね。
ですから、それも
「怒られるかなあ」って
ドキドキしながら縦組みにしてみました。

たかしま

怒るはずないじゃないですか(笑)。
とんでもないです。

佐藤

いやいやいや(笑)。
なにしろ作者自身が作ったロゴです。
勝手にいじるっていうのは
やっぱり特別なんですよ。
縦にしながら、
「これ怒られるかもしれないな」
と思いつつも作った案です(笑)。
背中のブタフィーヌの文字の色が
巻を重ねるにつれて
いろいろ変わっていきます。
ブタフィーヌさんの顔のところは、
箔押っていう装丁です。
シルバーのいわゆるマットの箔押です。

クリックで拡大します
たかしま

これもすごい好きでした。

佐藤

これは
薄い色がちょっと入ってますが
布張りの装丁はどうでしょう。
という案ですね。
布が張ってあるものを
紙でプレゼンテーションすることは
実は不可能なんですけども、
口デザインっていいますか(笑)、
「ここは布が張ってある予定です」と。
口では何でも言えるわけです。

クリックで拡大します

これも布張りに
ツヤを抑えた金色の箔押で
ブタフィーヌさんをギュッと箔押。
金箔とか銀箔とかを熱処理でギュッと押えると
表面がギュッとへこむんですね。
布に箔押なんかすると
よかったりするわけですけど。

クリックで拡大します

これは右に数字をおいてますが
表紙レイアウトというのは
センター合わせ、
つまり、左右対称のものと
そうでないものに分けることができます。
これは後者のパターンですが
かなり、動きのあるデザインです。
ここでは手書きのロゴは
使わないという考え方です。

これは数字に対してブタフィーヌさんが
何かストーリーを作ってるというものです。
ブタフィーヌさんのロゴは手書きを使ってます。

クリックで拡大します
たかしま

ビックリしたんですけど、
この使っていただいてるブタフィーの絵って
コマの中で実際に描かれてる線を
持ってきていただいてるんですね。
こういうポーズも。

佐藤

そうです、そうです。

たかしま

あとから探しちゃいましたもん。
どのお話の中の
ブタフィーヌさんを使ってくれたんだろうとか。

佐藤

これはデザイナーの日下部が
ブタフィーヌさんの連載を全て
読み込んで探したものですね。
男性のぼくとは違い、
彼女が女性の目で選んだブタフィーヌさんです。
チョイスがやっぱり違うんですよ。

たかしま

これなんて……(笑)。

クリックで拡大します
糸井

普通選ばないですよね。

たかしま

ビックリしましたね(笑)。

糸井

顔正面向いてない。
後ろ向いてるんですよ。

たかしま

両方とも顔見えてない(笑)。
でも、かわいい。

<つづきます>
2007-03-12-MON
前へ 戻る 次へ