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永田 純(ながた じゅん)

音楽エージェント/ プロデューサー。
1958年東京生まれで、愛称はどんべい。
70年代中頃よりコンサート制作にかかわり、
79-80年、YMO のワールド・ツアーに同行。
84年坂本龍一アシスタント・マネージャーを経て、
85年以降、矢野顕子、たま、大貫妙子、マイア・バルー、
金子飛鳥らをマネージメント、細野晴臣、友部正人、
三宅純、テイ・トウワ、野宮真貴らを代理した。
プロデューサーとしては 東京メトロ、六本木ヒルズ、
東急文化村、J-WAVE、世田谷文化財団等の主催公演、
NHK「みんなのうた」、スタジオジブリ
「ホーホケキョ となりの山田くん」 サウンドトラック、
「セサミストリート/ 日本版」等に関わる。
また、オーディオ代理店、
シュタイナー教育関連コーディネイト、音楽出版などを手がけ、
2011年設立された
「すべてのミュージシャンのためのパブリックサービスを目指す」
一般社団法人ミュージック・クリエイターズ・エージェント 代表理事。
有限会社スタマック代表。
2013年の春より、京都精華大学教員就任予定。

一般社団法人
ミュージック・クリエイターズ・エージェントのホームページ

第1回 CD出さなきゃミュージシャンじゃない?

ほぼ日 ごぶさたしてました、どんべいさん。
「Beautiful Songs」のときに知り合って、
その後コンテンツにも登場いただいて。
どんべい 「大村憲司を知ってるかい?」
一緒につくらせていただきましたね。
ずいぶんごぶさたしてました。
ほぼ日 あれが2001年だから‥‥
もう10年以上も前なんですね。
そのころ、どんべいさんは
音楽業界でも有名なマネージャーとして
活躍なさっていました。
そのマネージメントの経験の集大成として、
今回、
『次世代ミュージシャンのための
 セルフマネージメント・バイブル』

出されたのだと思って読んでみたら‥‥
予想以上のおもしろさで!
これから世に出ようという
若いミュージシャンだけでなく、
「クリエイティブで飯を食いたい」
と思っている人すべてへの、
エールのような本だと思えて
わくわくしたんです。
どんべい ありがとうございます。
タイトルからして、
実際にこの本を手にとるのは
音楽が仕事になりかけている人が
多いと思うんですけど。
ほぼ日 「なりかけている」人。
どんべい ぼく自身は、
音楽で認められはじめたような人たちはもちろん、
その一歩手前の段階の人、
たとえば、高校生とか大学生とかで、
クリエイティブなことに興味があって
「それでご飯が食べていけたらいいなぁ」って
思っている人にも、
読んでもらいたいと思っているんです。
ほぼ日 そういう人にとって、この本は
すごくうれしいんじゃないかなぁと思えました。
たとえば、
いま活躍しているクリエイティブな人たちを見ていると、
といっても編集者が多いんですが、
『石ノ森章太郎のマンガ家入門』とか
早川義夫さんの『ぼくは本屋のおやじさん』、
高橋章子さんの『編集者ってタフで知的な雑役係』など、
すごく身近な感じで
行く先を照らしてくれるような本と、
出会ったという人が多いんですよ。
でも、考えてみれば、
ミュージシャンのためのバイブルって
今までなかったなぁ、と。
どんべい なかったかもしれませんね。
ほぼ日 ミュージシャンって、
行き当たりばったりで
たまたまラッキーな人が
デビューして成功しているイメージがあります。
才能と幸運と
スター性、カリスマ性みたいなものを
兼ね備えたスーパースターがするお仕事だと。
どんべい うんうん。
ほぼ日 音楽で生きていくなんて言ったら
親が殴って止めるくらいの‥‥。
どんべい うんうん、まず話を聞いてくれませんよね。
世の中そんな甘いもんじゃないぞって。
ほぼ日 音楽に限らず
絵描きだって、小説家だって、
そういう職業に就きたいという希望に対して、
親は反対するものでした。
堅い職業に就け、と。
どんべいさんの目には、
現代において音楽で生きていこうとすることは、
どう映っていますか?
どんべい 今の世の中は、昔と比べて、
音楽でご飯を食べていけるようになる可能性が
十分にあるように思いますね。
ほぼ日 おぉーー!
どんべい 昔はCDを出さなきゃ
ミュージシャンじゃなかったけれど、
今はインターネット上で
いつでも、誰でも作品を発表できる時代です。
ただ、今話していることって、
「プロ」か「アマ」かっていう
二元論が前提にありますよね。
ほぼ日 そうですね、
無意識に「プロ」か「アマ」か、
この2つで考えていました。
どんべい 今は、その二元論が
あまり意味をなしていない時代だともいえるんです。
ほぼ日 と、いうと??
どんべい ぼくは、「プロ」と「アマ」の境目が、
現代ではもうなくなっていると思っていて、
「アマ」も「プロ」も同じ一直線上にある、
というイメージなんです。
ほぼ日 「アマ」も「プロ」も同じ一直線上にある‥‥。
どんべい そうです。
「プロ」か「アマ」かというのは、
一直線上の両端でしかなく、
その間に位置する人がたくさんいるんです。
この関係がわかりやすくなるよう、
この本では
「アマ」を「日曜音楽家」、
「プロ」を「完全プロ志向」と表現しています。
ほぼ日 なるほど‥‥。
それって、音楽に限らず
あらゆるクリエイティブの世界でも
同じことがいえますよね。
専業主婦で子育てを題材したブログで
エッセイマンガを描いている人が
とんでもなくおもしろい視点を見つけて
出版にこぎつけ、そして、
そのまま「完全プロ志向」として生きていく人もいれば、
「わたしは子育てが一番大事だから
 別にマンガでご飯を食べてこうって思ってないから
 マンガはほどほどに」っていう
「日曜マンガ家」の人だっているわけで。
どんべい そうそう、そうなんですよ!
ぼくの活動では、やっぱり音楽業界から
問い合わせを受けることが多いんですけど、
「ほぼ日刊イトイ新聞」っていう、
音楽サイトじゃないところから
興味をもってもらえたことがとってもうれしくて。
ほぼ日 はじめにもいいましたが、
本を読んだとき、ワクワクしましたから。
どんべい うん、そういうことを含めて
ぼくの考えをまとめると、
この本には、2つの可能性を
感じてもらえるんだなって思いました。
ほぼ日 2つの可能性。
どんべい まず1つ目は、
巷では音楽業界って
CDがそんなに売れなくなって
ほとんど先が見えないと捉えられがちなんだけど、
ミュージシャン中心にものを見ていくと、
インターネットをはじめ、
たくさんの可能性が秘められていて、
もっともっとおもしろいことができる状況に
なってきていたんだ、ということ。
ほぼ日 はい。
どんべい 2つ目は、さっきのマンガ家の例のように、
ミュージシャンに限った話ではなく、
クリエイティブなものを作りながら、
自分の責任で、この世界でちゃんと自立して
生きていこうって人にも、
何らかの希望や視点を共有できるんだということ。
ほぼ日 うんうん。
では、それらの可能性を広げてくれる
セルフマネージメントについて、
伺わせてください。
どんべい はい、もちろんです!
(つづきます)
2012-11-09-FRI

『次世代ミュージシャンのための
 セルフマネージメント・バイブル
 自分を作る・売る・守る!』

リットーミュージック

誰もが自分で作品をつくり、発表できる時代で
どのようにセルフマネージメントしていくのか、
永田純さんの30年以上の経験がつまった本。
マネージメントのノウハウ、というよりも、
「考え方」や「視点」がぎっしりとつまっており、
ミュージシャンだけでなく、
これからなにかはじめようという人たちにとっても
バイブルとなる1冊です。

Amazonでの購入はこちら。

YOAKE MUSIC SCENE 2013

「リスナー、ミュージシャン、学生、業界人‥‥
 ジャンルも世代も超えて、
 みんなで音楽を楽しみ、語り、考えよう」
というコンセプトのもと、
社長やプロデューサー、ブロガー、漫画家などの
プロフェッショナルたちによる「パネルディスカッション」や、
新たなメディアやサービスの「プレゼンテーション」、
これまでの枠にとらわれない活動をしている
ミュージシャンによる「ライプ」が行われるイベントです。
音楽シーンを通して、新たな世代の「夜明け」が
見えるようなイベントになりそうです。

日程 2012年11月17日(土)
時間 13:00~21:30(出入り自由)
会場 恵比寿 ザ・ガーデンルーム
東京都目黒区三田1-13-2
出演 ●パネルディスカッション
荒川祐二、壹貫田剛史、ジェイ・コウガミ、
佐藤秀峰、高野修平、谷口元、ドミニク・チェン、
虎岩正樹、牧村憲一、カズワタベ ほか

●ニューメディア・プレゼンテーション
FizzKicks,tixee, TUNECORE JAPAN ほか

●ライブ
高田漣 with 中島ノブユキ、Predawn、
田中茉裕、レ・ロマネスク、日比谷カタン、
mishmash*Julie Watai、
DJみそしるとMCごはん ほか
料金 ¥2,500(前売)/ ¥1,500(学割)/ ¥3,000(当日)
チケット tixee
ホームページ http://www.yoake2013.jp/