第一回 「土曜日のドレッシング」を
    「ほぼ日」で売ることになりました。

昨日の長野出張は、イタリアンレストランに、
食事をしに行くという、
みんなにうらやましがられる種類のものでした。
ランチの時間に行って、食事をいただいて、
軽くお願いごとをするという予定でしたが、
ずっとお客さんがひっきりなしに訪れて、
お店のご夫妻の手があいたのが、午後4時過ぎでした。
『阿弥陀堂だより』という映画のロケで、
カグチヒナコさんが知ったというお店なのです。
いまだと雪のなか、
とてもわかりにくい場所にあるんですが
ぼくらのいた間、ずっと満席でした。
このお店に、どんなお願いごとをしてきたか、
今月中旬までに、発表できるようにします。
(──3月1日の「今日のdarling」より──)

ほぼにちわ! シェフです。
(あ、そのイタリアンレストランのシェフではなくて
 「ほぼ日」のシェフです。
 ややこしいですね、すみません。)

みなさま、上記の「今日のdarling」、
おぼえておいででしょうか。
ここで予告した「お願いごと」が、実現いたしました。
予告どおり3月中旬のきょう、
そのニュースを、お伝えしますね。

すごく簡単に言うと、こういうことです。

「夫婦ふたりでやっているちいさなレストランの、
 ふしぎでおいしい手作りのドレッシングを
 ゆずっていただくことになりました。
 ごく少ない人数(50名)ですが、
 シェアしましょう!」


──最近の「ほぼ日ストア」にはなかった
小ロットの通信販売となります。

申し込みの受付は、あす(3/15)午前11時から、
3/18の午前11時まで。
抽選ですので、あわてなくて大丈夫です。

今日は、この販売にいたる背景のものがたりを、
説明してまいりましょう。
はらをすかして、読んでください。

樋口可南子さんのみつけた、
長野のちいさなイタリアンレストラン。

そのちょっとふしぎな名前のレストランを知ったのは、
カグチヒナコさんこと樋口可南子さんから、
糸井重里を通して、でした。
最初に聞いたのはこういうはなしです。

「阿弥陀堂だより」
という映画のロケで
長野に逗留したさい、何度も行った店がある。
店の名は「土曜日はイタリアン」といって、
夫婦ふたりでやっている。

「あの、『阿弥陀堂だより』の風景の場所に、
 そんなイタリアンレストランがあるの?!」

このことが、家族の食卓で、
ずいぶん話題になったらしいです。

「で、うまいの?」と夫(糸井重里)。
「うん、おいしい」と妻(樋口さん)。
「どううまいの?」と夫。
「けっこう、ふつうにおいしい」と妻。
「なにがおいしいの?」と夫。
「ドレッシングとか?」と妻。

このはなしを聞いて、
樋口さんが「ふつうにおいしい」と言うなら、
それは「そうとう、おいしい」という意味ではないかと、
また聞きしたぼくらは、感じました。
そして、そんな店があるんだ、という興味とともに
樋口さんの言う「ドレッシング」が
とても気になりました。

食べてみたい!

しかし「土曜日はイタリアン」は
通信販売をしていないといいます。
そのドレッシングは、
お客さまのリクエストがあったときだけ、
空き瓶にちょっと詰めてお分けする、というていどでしか、
外ではたべることができないものだったんです。

そのとき、ぼくらが長野まで
「えいやーっ」と食べに行ってしまえば
話はもうちょっと短かったかもしれません。
でもそのことに思い至らなかったぼくらは、
「送ってもらえませんか」と、樋口さん経由で、
お店に、お願いをしてしまったんでした。
かなり例外で乱暴なことをしました。ごめんなさい。

そのドレッシングは、
2本で1セットだった!

ほどなく、ドレッシングが
樋口さん経由で届きました。
ペットボトルの空き瓶に入った、2本のドレッシング。
2本です。それも、色がちがう2本。
1本は、いわゆるイタリアンドレッシングっぽい、
赤い色をした、半透明のドレッシング。
もう1本は、白濁した、シーザーサラダ用みたいな、
クリーミーなものでした。
樋口さんのメモによると、

ということでした。

両方かけて食べる!
へえ! 面白いなあ!
最初っからまざってなくて、
食べるときに、「カフェオレ」みたいにまぜるなんて。

せっかくだからみんなで食べようと、
明るいビルで試食会をひらきました。
隣のピーコックで野菜をたっぷり買ってきて、
ゆでただけの温野菜をひと皿、
洗って水を切っただけの生野菜をひと皿。
あ、永田先生のとこの野菜がちょっとあるね、入れよう。
えーっと、赤いほうをかけてから、
白いほうをかけたほうがキレイかな?
赤を多めにしたほうがいいって聞いたぞ。

──できました。


↑ゆで野菜に、温かいまま、かけてみました。

↑こちらは生野菜。

「あ‥‥うまい。これおいしい!!」

結果は大好評でした。

しみじみ、おいしい。

まとめて言うとこうなります。

●酸味、甘み、塩味なんかが強すぎない。尖ってない。

●つい「おかわり」をする人続出。野菜が足りなくなった。

●キライだ、という人がいない! みんなばくばく食べた。

●どうやってつくったのか、すごく不思議な味。
 レシピは秘密らしいけど、
 複雑にいろんなものが入っていることは、わかる。

●でも、化学調味料的な味では、いっさい、ないよね。

「食べたことのないうまさ」とは違うんです。
名店と呼ばれるフレンチレストランで味わうような、
「勝負!!!」 みたいな感動とはちがいます。
じんわりとからだにしみこんで、
おもわずにこにこしちゃうような、おいしさ。
たとえば、ともだちの家に行ったら、
おかあさんでも、おくさんでも、おばあちゃんでも、
パパでもなんでも、おうちの人が、
「心をこめて」出してくれたごはんのおいしさ、
ってあるでしょ?
ひさしぶりに帰省して味わう
「おうちの味」ってあるでしょ?
なにがどうおいしいか、というんじゃないけど、
こころにしみる味。
なんだか、そんな感じがしたんです。
「すごくおいしい水」を飲んだときの感動、というかな?

これは、野菜がすごくおいしく
食べられるドレッシングなんだなー。

ドレッシングを食べている、というんじゃなくて、
野菜をたっぷり食べたなー、という感動が残る。
そして、また食べたいなー、と思う!

これってすばらしいことじゃないかな??

(じつはその日余ったドレッシングを、ぼく、
 持って帰り、家で、もう一度食べてみました。
 そのレポートはこちらをどうぞ。)

このドレッシング、
うちで手伝ってみようか?!

翌日、糸井重里がこう言いました。

「な、このドレッシング、『ほぼ日』で手伝って、
 売ってみないか?」

ああ、そういい出すと思ってました社長。

「たぶん、たくさんつくることは、できないと思うんだ。
 なにしろ、夫婦ふたりでやっているお店だし、
 ぼくらが余計なことをすることで、
 かえって、迷惑をかけてしまうことがあるかもしれない。
 だから、お店のできる範囲で、
 不可能じゃないことを考えて、やってみないか?
 ずっと売り続ける、ということじゃなくて、
 まずは、一度、やってみましょう、ということだよね。
 そうだ、その交渉をしに、長野まで行ってみようよ。
 誰が儲かって嬉しい、
 という仕事にはならないだろうけれど、
 こういうふうに、大量生産はできなくても、
 ほんとうにいいものを、商品として流通させてみたい、
 その存在を、知らせたい、
 というのは、ぼくらのこれからの仕事として、
 大事なことだという気がするんだよ」

おお、社長、そのとおりです。
よござんす、行きましょう、やってみましょう!
というわけで、2月の最後の日、ぼくらは新幹線に乗って
一路長野をめざすことになったのでした。


‥‥って、さあここからが長いんです。
うまいもののことになると長くなる。ごめんなさい。
「もっと読んであげよう」というひとは
ここをクリックしておすすみください。
「男4人長野へ編」
「何を食ったか編」
がお読みいただけますよ。


──なんだかじらしてるみたいですが、
先に答えを言ってしまうと、
「土曜日はイタリアン」の阿部さんご夫妻とのお話は
とてもうまくいきました。そして、
「お店の休みの日を使って、50人ぶん100本、
 なんとかがんばってつくりましょう!」
ということで、
「ほぼ日」を通じての販売を、
行なうことになりました!

「で、すぐ買えるの?」というみなさま、
明日までお待ちくださいね。
なぜなら
明日(3/15)から4日間の予定で、
抽選販売の申し込みを受け付ける

予定だからです!
先着順ではありませんからご安心を〜!



土曜日はイタリアンのホームページはこちらです。

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2005-03-14-MON


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