Lesson971
依存の入り口
2020-06-17
「依存症」について考えていた。
先週ある芸能人が全番組降板したのをきっかけに、
依存症を克服した人の体験記を読んで思う、
「強いストレスを、
悪いカタチ(人を傷つける)で発散する、
常習になる、頼る、それなしには生きられなくなる、
そんな状態は本当に不自由だ。」
悪いカタチで出たストレスには
向き合わなければならない。
1回ごとに、自分が何を恐れ、何を求めているのか。
そんな矢先、
電話がかかってきた、家賃催促の。
私は払っていた。家賃仲介業者のミスだった。
イライラした。
電話を切っても腹立たしさが収まらず、
「よし、電話して2度とこういうことがないよう、
忠告しよう」、と電話に手を伸ばした、
その時、心の声がした、
「この1回が常習性への入り口。
依存症への1歩だと思って、
踏みとどまって考えなければダメ!
自分が何を恐れているか、何を求めているか。」
たった1回でオーバーな、と笑う人もいるだろう。
でも部下を虐げることで強烈なプレッシャーから
逃れ続けている上司も、たった1回から始まったのだ。
上司は、
重い責任とプレッシャーで押しつぶされそうになり、
その日、初めて部下をディスった。
みんなの前で、わかるかわからないかくらい小さく。
部下は怒ってないか、周りは自分を嫌うだろうかと、
ヒヤヒヤどきどきした。でもそのスリルと引き換えに、
すーーっ、と快感が走る。
瞬間、重責もプレッシャーも嫌なこと全部忘れられた。
部下はヘラヘラして周りも何とも思ってない。
上司は、次の機会に、もっとはっきり部下をディスった。
すーーっ、と快感が走り、嫌なことを忘れる。
部下イジリが常習になり、頼り、
やらずにはいてもたってもいられない体になり、
やればやるほど快感に慣れ、快感は薄れ、
もっと、もっと、と、より強い刺激に駆り立てられる。
ディスりは、イビリに、やがて虐げに。
部下は体調を崩し、周りも恐怖に萎縮し、
本人もやめたくてしかながないのにやめられない。
こんなループは地獄だ。
それも最初の、たった1回、から始まったのだ。
「あの最初の1回に戻りたい、戻って踏みとどまりたい」
と上司は、痛恨の極みだろう。
依存症になってしまったら医療の力がないと
抜け出せない、完治しない場合もある。
「だからそうなる前の、この1回なんだ! 私。」
業者に電話してクレームを言って、
マウントとったり、吐き出したりしたとして、もしも、
すーーっ、と快感になったらどうすんの、私?
頼るよ、この先、依存になるよ。
でもそれ逃げだから、
本当に心が求めてるものじゃないから、
ゼッタイ満たされないから、私。
私は胸に手を当てて考えてみた。
「コワかったんだよね、私。
昔、この業者にキツイ催促された人が、
ネットに口コミを書いてて、恐怖で、電話がかかった時、
ビクッとしたよね、私。
自分もそうされたらどうしようと。」
「そもそもコロナ禍で思うように、
日々の課題がこなせない、
その苛立ちが潜在的にあるよね、私。」
自分はどうしたいか、何を求めているか?
「まず、安心がほしい。」
これは、家賃振り込み記録が銀行にあるから
大丈夫! 自分が安心すればいいだけのこと。
「小さくても日々の課題をこなしたい。」
これは、クレームの電話したって満たされないよ。
いますぐ立って、やることやりなよ、私。
そこからは、1つ、1つ、
自分が次に何をしたいか、2つ候補があるときは、
どっちに自分の心が向いているのか、
丁寧に胸に問い、確認しながら、その日を生きた。
久々に気持ちよく働けて、満たされた日になった。
ストレスが悪いカタチで出てしまった人、
この1回が常習性への入り口だと思って、
この1回が依存症への1歩だと思って、
「自分が何を恐れ、何を求めているのか。」
心の声を聴いて。今なら引き返せる。
【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。
宣伝会議 表現力養成コース
編集・ライター養成講座20周年記念講座
山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く
山田ズーニーです。
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『おかんの昼ごはん』について話しました!
録音版をぜひお聞きください。
●「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
(MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
または、iTunesからのダウンロードとなります。
ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!
▲『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!
『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
――山田ズーニー。
▲『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。
『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!
▲文庫版でました!
あなたの表現がここからはじまる!
『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/
おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。
「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!
『考えるシート』文庫版、出ました。
『話すチカラをつくる本』
三笠書房
NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。
『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫
自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社
『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書
内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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