Lesson1016
見守る眼 2
2021-09-08
「見守る」、それがどれほど骨の折れることか。
私は、高齢の母に、
すこしでも、おいしいものを食べさせたいし、
すこしでも、いい条件で過ごしてほしい。
それで、ついつい、
口を出し、お節介をしてしまう。
でも、気を利かし、先回りして、
やってあげること、
それはいいことなんだろうか?
先週の「見守る眼」に、
読者から、心揺さぶる反響が届いた!
………………………………………………
<息子に「うっせーな!」と怒鳴られ>
息子は、中学3年生になって、
発達障害と診断されました。
私は、
それまで息子について抱えてきた不安を、
学校にも、夫にも、だれにも理解されない
と思ってきたので、
「息子の抱える生きづらさについて、
やっと理解を深めることができるかもしれない」
「母親として自分にできることをしよう」
と決意しました。
何冊もの本を読んで発達障害について学び、
社会に出るまでに本人に身につけさせたい
スキルについて調べました。
息子の生活習慣リズムを整えよう。
息子が時間や課題の提出期限を
守れるように促そう。
ゲームなどをやりすぎないように。
家庭は安心できる場所にしよう。
環境を整え、息子をサポートしよう。
その結果、
初めて息子に「うっせーな!」
と怒鳴られてしまいました。
私の「良かれと思って」の言動は、
息子の気持ちを尊重していないどころか、
息子の行動を否定ばかりしている。
これでは、息子が苛立ってしまうのも当然。
家庭が戦場になってしまう。
息子は、
発達障害と診断されるまで、
自分はどこか人と違うと感じながら、
人知れず、自分なりの作戦で、
障害と露呈しないレベルで
なんとかやってきたのです。
分からないことや不得意なことが多くても、
自分で耐えたり、知恵を絞ったりして、
なんとか乗り越えてきたのです。
これから失敗することも、上手くいくことも、
自分で決めて、自分で受け止める経験を
積んでいくことで
息子はきっと自分を肯定できるようになる。
私が先回りをしてはいけない。
私は黒子に徹して彼を見守る。
手も口も出さないサポートをする。
そんな風に自分に厳しく、
人にやさしい眼差しをもって
向き合う方法もあることに初めて気が付きました。
これからも悩むことがたくさんあると思いますが、
やはり夫とともに
「息子を信じて」
向き合っていきたいと思います。
(ゆでこ)
………………………………………………
<世の中をも信じて>
小学校の校長をしています。
中学校しか経験のなかった私が、
初めて小学校で仕事をする機会に恵まれて、
「子どもを信じて見守ることが、
こんなにも難しいことだったのか」
と愕然としました。
中学生とは違って、
小さくて小さくて、柔らかな子どもたちです。
壊しそうで怖かった。
そんな折、「見守る眼」を読み、
あまりにも心にグッと迫ってきました。
4年前に亡くなった母も一人暮らしでした。
そして私も、2人の娘の母ですから、
いずれそうなるでしょう。
未来の娘たちのことを想像し、
なんとも言えない気持ちになりながら
読んでいくと、
その先に、
「今まで自分を包んでいた温かい眼差し」
に気づくズーニーさんがいました。
母が、私の、
私が、娘たちの、
自立を見守ってきた眼差しを
思い出しました。
校長になって、
社会の仕組みについても知りましたが、
過酷な家庭環境に育つ子も、
たくましく生きています。
その陰には、たくさんの福祉や地域の
「見守り」があります。
子どもを信じ、世の中をも信じる。
そう教えられたコラムでした。
これからもずっと読みます。
楽しみにしています。
(いま小学校で)
………………………………………………
ズーニーです。私は、
「母に、いちばんいいものを
食べさせてあげたい」
と、つい、頑張ってしまう。
奮発してコース料理を御馳走したり、
高価なお菓子をつい贈りすぎたり。
でもそれって、行き過ぎると、
母が母なりに選んでいるものへの、
尊重を欠くことになったり、
否定につながったりする。
そうだよなあ、読者が言うように、
母は、人知れず、知恵を絞って、
乗り越えて、自分の力で
なんとかやってきているわけだ。
高齢の体力では買い物も大変だけど、
それでも、おいしいものを見つけたり、
おいしい食べ方を編み出したり。
母に何を買い与えるか、御馳走するか、
ではなく、
「母が、母なりに、日ごろ、
おいしいと感じているもの」
それを母と一緒になって味わう、
尊重する、ということも、やっていきたい。
母を信じ、
母を生かしてくれる世の中をも信じ。
読者のこの言葉を紹介して、
きょうは終わろう!
………………………………………………
<見守るものは>
見守るのは、相手だけでなく、
そこで起こる「自分自身の気持ちの動き」。
手は出さず、関心は失わず、
自分と相手の間で起こる色々なことを
まず辛抱強く味わうこと。
それが見守る事のように思います。
(たまふろ)
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ありがとうございます!
▲『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!
『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
――山田ズーニー。
▲『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。
『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!
▲文庫版でました!
あなたの表現がここからはじまる!
『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/
おとなになっても進路に悩む。
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まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
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いちからわかるやさしい入門書。
『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
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自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
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『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
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内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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