おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1030
心の疲れをとる

「心の疲れ」って、ないがしろにしがち。

カラダの疲れなら、

フルマラソンを走った翌日、多くの人が休むし、
重い荷物を運びつづけたら、
腰が限界、手が限界、と休憩をいれる。

では、心の疲れは?

マラソンのような我慢をし続けた翌日も、
あたりまえのように会社に行く人は多いし、
不安にさいなまれても、

「私、1時間たったら、
30分の休憩いれながら不安にさいなまれます」

というわけにはいかず、
眠れないまま一日中でも、何日も、
心は不安にやられっぱなしのことだってある。

心は疲れている。

“「心の疲れ」こそ、
体の重労働や過労と同じくらい大変なんだ、
しっかり休まなければならないんだ”

初めてそう知ったとき、
私はちょっと泣きそうになった。

コロナ禍はじまって間もない2020年春、
「在宅勤務でメンタルを安定させる方法」
というオンライン対談(下園壮太×佐渡島庸平)
を視聴した時のことだ。

あのとき私は、コロナ禍で講演などが
あいついで中止となり、
「これからどう生きていこう」
「何か始めなければ」
と頑張ることに焦っていた。

しかし、東日本大震災など
強いストレス下で働く自衛隊の
メンタル教官もしていた下園壮太氏は、

「感情労働」

肉体労働でもなく頭脳労働でもなく、現代人の
多くを苦しめているのはそこなんだと言う。

「不安+我慢(自由の制限)」
の状況に置かれるコロナ禍は、
それだけで人間はものすごく疲れるんだと。

だから、休んでいい。
むしろ、しっかり休まなければならないと。

それを聞いて、

「い、いいんすか?! 休んでいいんすか?」

当時、一日中、家にじっとしていて、
ろくに動いてない、働いていない、私は、
それを聞いて、人生初めて、心の疲れを認め、
堂々と休むことができた。

それから3日間は、夜は好きなだけ眠り、
昼寝もし、堂々と休んだあとは、
ずいぶん心が軽くなったのを覚えている。

「眠る」

心の疲れには、それが一番だと下園氏は言う。

しかし、その肝心の睡眠が、
悩みごとがあると、とれない。
ごはんも食べられない。
体重がみるみる落ちていく。
やがて体調も悪くなる。

私にもそのような時期があり、
「なんとかして少しでも、
心を休めてあげられないものか」、
と読んだ本が、この下園壮太氏の、

『心の疲れをとる技術』

ストレス解消には、「静」と「動」、
2種類あると本書で知った。

お酒を飲みに行って騒ぐ、とか、
みんなで旅行に行ってはしゃぐとか、
ギャンブルでスカッとするとか、
激しいスポーツで発散とか、

これらは「動」のストレス解消法。

新たな疲れを生んでしまう。

さらに、お酒は、
心の疲れを癒す肝心かなめの「睡眠」まで
さまたげてしまう。

「スカッ! とした、
と強く濃く感じるストレス解消法ほど、
その強い刺激を求めて、
依存になりやすく、危険も大きいのかな」

と私は思う。

お酒にしても、ギャンブルにしても、
酒量がちょっとずつ増えたり、
出費がどんどんかさむということがある。
それで新たな人間関係のトラブル、
金銭トラブルが生じたり。

あらたな「心の疲れ」を呼び込むことに。

仕事でストレスが溜まり解消しようとして、
仕事にはけ口を求めてしまう、
「仕事へのしがみつき」も要注意だと本書にある。

目先の、はっきり結果が出る仕事に、
やっきになり、そこでの成果や、
人から褒められることで、スカッとする。

これも休みにならない、よけい疲れる。

だから、じわじわ、じっくり効いてくる、
「静」のストレス解消法が有効なのだという。

静のストレス解消法は、

ヨガ、軽い散歩‥‥。話をする‥‥。
森林浴、庭いじり、俳句や短歌、
囲碁や将棋などの頭脳 ゲーム、
読書、音楽(聞く、奏でる)、
映画鑑賞、プラモデル作り、料理、
日曜大工などの単純作業、
何か作り出す作業などは、心に栄養を与える。

(下園壮太『自衛隊メンタル教官が教える
 心の疲れをとる技術』 朝日新書より引用。
 ‥‥箇所は山田にて省略)

そこで、私なりに、自分に合った
「静」の心の疲れをとる方法を3つやってみた。

 ・出汁をとる。(料理)
 ・テーマを決めて自然のある公園散策(散歩)
 ・紙の本を声に出して読む(読書)

出汁をとる。

心が疲れて食欲のないときこそ、
昆布と鰹でちゃんと出汁をとる、
ということもできる。
(おなかペコペコなら焦ってできない)

カンタンなのに、
なんだかとってもちゃんと料理をしてる、
ちゃんとやってる気分になり、心が休まる。

実際とった出汁は、食欲のないとき、
それだけ吸っても、心や体が休まる。

紙の本の読書。

紙の本は、電子機器で読書するよりは、
眠りをさまたげないように思う。

悩み事があると、読書に集中できないが、
音読するとわりと集中できる。

そして散歩。

悩んでいると、ついつい下を向きがちだし、
歩いていても、そのことばかり考えてしまう。

そこで私は、「こんなテーマ」を決めて、
自然のある公園を散策することにした。

hope

目に映る景色のなかに、
「ホープ=希望」を感じるものを探す。
見つけたら、ホープと心で言い、
スマホで写真をとったりもする。

真冬にも、小さく気づかれないように
花が咲いてることに気づく。

hope  hope  hope  ‥‥

30分なら30分、散歩するうちに、しだいに、
眼が明るい景色のほうへ選んで向くようになり、
心が休まる。

「静」のリラックス方法は、
どうにもならなくなってしまってから編み出すのは
困難なので、ふだんから育てておくといいそうだ。

もちろん、ここに書いたことは、
心の専門家ではない私の体験談だから、
鵜呑みにしないでほしいし、
心の「疲れ」でなく「不調」がある時は、すぐ、
お医者さんに行ってほしいのは言うまでもないし、
詳しくは、『心の疲れをとる技術』を読んでほしいが、

ここで、私が、お伝えしたいのは、

「心が疲れて、よくできないことがあっても、
それを大切にすることはできる」

ということだ。
たとえば、よく眠れなかったとしても、
「眠りを大切にする」ことはできる。
思うように食べられなかったとしても、
「食べることを大切にする」ことはできる。

そうして、小さな限られたことを、
大切に、大切に、やっていくことで、
心が休まり、やがて、
できるようになったりする。

心が疲れたら、

つらいね、苦しいね。

でも、その時こそ、自分に合った、
静かに、じわじわ、じっくり、
「心の疲れをとる方法」を
編み出すチャンスなんだ、

と私は思う。

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たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
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●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
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(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

………………………………………………………………………

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postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
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この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日〜)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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