美味しい「ゆず胡椒」を作るのに、
当然こだわりたいのは、ゆずと胡椒(唐辛子)と塩。
ま、それしか使いませんのでね。へへ。
普段は、庭の畑で栽培している柚子(ゆず)の木や
唐辛子を使っているフミ子さんのゆず胡椒ですが、
これを大量に作ろうってことになると
庭だけでは足りません。
庭の柚子と変わらない柚子を手に入れるべく
JAや産直のお店にあちこち電話して、探しに探して数日。
ついに見つけた柚子生産者の方は、
偶然にも数年前、
フミ子さんが東京のお店のためにたくさん作るとき
直売所を通じて大量購入させてもらった方と
同じ柚子生産者さんだったのです。
これは会いに行かんといけん!
勝手な運命を感じながら、
今年の柚子の育ち具合を見せてもらいに
7月の宗像(むなかた)へ行ってきました。
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福岡空港へは
お父さんの弘敏さんがお迎えに来てくれてました。
車で小一時間、お母さんが待つ家へと向かいます。
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弘敏 「ヒヨちゃん、今日は
おばあちゃんがご馳走を作ってくれてるよぉ。
朝から道の駅に行って、
新しい魚をいっぱい買ってきよったからね」
トモ 「よかったね、ヒヨ」
弘敏 「いや、うちのお母さんの腕はたいしたもんよ。
近所の集まりで
他の人が作ったものも食べたりするけどさ、
やっぱりお母さんのとは全然違うもんやからさ。
なんかねぇ。お母さんは一工夫するというんかな。
味がちょうどいいけんねぇ」
カオリ 「いやぁ、お母さんはお料理上手ですもんね」
弘敏 「ほんとにお母さんは上手にやるよ。
あらぁお母さんは元気やけんね。
やっぱり元気がないとできんことよ。
まぁ、周りじゃ一番元気に思うけど、
いつまでこんなにできるかは分からんもんねぇ」
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筋肉自慢で、
いつも力こぶを見せつけていたお父さんからも、
去年少し体を崩してからは
そんな話が出るようになりました。
トモさんがゆず胡椒を習おうと思った
きっかけがふと頭をよぎり、
「やっぱり今年作らなきゃ」と決意を新たにするのでした。
そうこうするうちに家へ到着。
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サマーカットにされたボーダーコリーのユキが
豪快にお出迎えしてくれます。
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(ヤァヤァおかえり。よくきんさったね。がうがう)
台所をのぞくと、
フミ子さんが得意のお料理で宴の準備中。
なんと寿司を握ってます!
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家の寿司が「手巻き」じゃなくて「握り」だなんて!
わわ! 軍艦まで!
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鯛やサザエ、イカの握りもたくさん!
しかも間にはさんであるバラン、
これも庭の葉っぱを自分で切ってる!
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カオリ 「え? この葉っぱも庭にあるんですか?
ほんとこの畑はすごいですねぇ」
フミ子 「そうやねぇ。だいたい揃うねぇ。
野菜やらはあんまり買わんでいいもんねぇ。
お父さんは自分が作ったようなこと
よぅ言うけどね、
なんもしとらんけんね。
お父さんが植えるもんは
お金かかる植木ばーっかり。
植木屋さん呼んだら何万もかかるんよ。
食べられんし。
私が作るもんは柚子でもトマトでも
食べれるものばっかりよ。
みんな 原田さんのは美味しいねぇ
て言うてくれるんよ。
それに比べてお父さんの植木は‥‥」
また始まった、こりゃたまらん!
とばかりにお父さんはその場から外れて
イソイソとお酒の準備をはじめます。
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お父さんはお酒が好き。
さすがに最近は体を心配して、
ひとりで飲むことはないそうですが、
日本酒の味を覚えた息子が帰ってくるってことで
地元の酒造でとっておきの
大吟醸を買って来てくれていました。
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それを横目でジロリと見ているフミ子さん。
そう、フミ子さんはお酒が嫌いなんです。
正確に言うと、酔っぱらいが大嫌い。
若い頃の血気盛んなお父さんは
豪快に酔っぱらうこともしばしばだったそうで、
そんなことを思い出すから
お酒を飲もうとするお父さんに
厳しい視線を浴びせているんです。
そんなこんなでご馳走をいただき、
美味しいお酒にほんのり良い気持ち。
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カオリ 「そういえば、そもそもゆず胡椒を作り始めて
何年になるんですか?」
フミ子 「そうやねぇ。5年くらいかねぇ」
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カオリ 「‥‥え? でもトモさんが大学の頃にも
作って送ってたんですよね。
トモさん、もう40過ぎだから
5年前ってことはないんじゃ‥‥?」
フミ子 「うーん。そやねぇ。そうかそうか。
そういえば送りよったねぇ」
カオリ 「てことは、えーと20年以上はたってますよね」
弘敏 「いやいや、もっと作っとるやろが。
トモらが子どもん頃から作っとったやないね」
フミ子 「そうやったかねぇ。うーん。そうねぇ、
ああ、そうやね。作りよったねぇ。
まあでもその頃はほんとに少量よ。
家で食べる分を1瓶くらい。
塩の分量も目分量で
ドさーっといれたりしちょったけん、
毎年、今年のは辛いねぇとか、
今年はちょうどいいねぇとかいうてね」
カオリ 「てことは‥‥40年くらいってことですよね?」
フミ子 「そうね、40年ね。そんなになるんやねぇー」
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フミ子さん。
たしかに40年は経ってると思います。
それを5年かねぇ…って、そりゃサバ読み過ぎっす。
フミ子さんにとっては、
青柚子と唐辛子がいい感じになってきた時期の
毎年の風物詩でありながら、
「気が向いたから作っていた」
って程度のものだったのでしょうか。
なんとなーく作ってるうちに
キャリア40年の大ベテランになってたフミ子さん。
でも、意外とそんなものかもしれないな。
楽しい宴もそろそろお開き。
明日は朝から藤嶋さんの畑へおじゃまします。
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▲宴のあと、遊びはじめるふたり。
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▲「ヒヨちゃんは、おえかきがじょうずだ!」
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▲さあさあ、ふたりとも、もう寝ますよー。
(柚子さがしに、つづきまーす) |