アンリ 気仙沼で、ぼくがやれること‥‥。
さあ、何をしよう!

糸井 すごい勢い(笑)
「アンリさんには、ぜひこれをお願いしたい」
というものを、もうちょっと、ちゃんと考えなきゃね。
アンリ もちろん、今すぐに決める話ではないけれど、
いろんなアイディアが次々と出てきて‥‥。
とにかく、ぼくは教えることがとても好きです。
天職だと思っています。
糸井 ああ、それは、すごくうれしい。
なるほど、ワークショップか。
あ、小さい教科書をつくってもいいですね。
16ページくらいの、
革製品をつくるノウハウが書かれた教科書。
それを先に配っておいて、
後日でアンリさんが気仙沼に行って、
実際に教えるんです。
アンリ すばらしい!
教科書だけでは忘れちゃうから、
やって見せるってことも一緒にしなくちゃだめですね。
糸井 例えば、アンリさんがイタリアにいるときでも、
ネット回線を通じて、
参加することはできますよね。
アンリさんに「がんばってね」と言われるだけで、
その場にいる人はうれしいと思うな。

アンリ あと、「今度行くよ」っていうことも。
糸井 うん、うん(笑)。
気仙沼は気仙沼で、
津波で流されちゃった土地をきれいにして、
そこにレストランとかをつくろうとしています。
養殖の牡蠣を一緒にとりに行って、食べるレストラン。
それだけでもうれしいとは思うんですけど、
食べておしまい、になっちゃう。
やっぱり、帰りに何か、
買って帰りたいじゃないですか。
そういうところに、
この革製品は、実はアンリさんのなんだよ、
気仙沼でしか売ってないよっていわれたら、
すごくうれしいと思うんですよ。
アンリ そうなれば、ぼくもうれしいです。
あと、土楽さんのもね。
糸井 そうそうそうそう!
ミュージアムショップとかと同じで、
なんか買って帰らないとつまらない。
アンリ こんなにあたたかいプロジェクトは、
ほかにないですね。

糸井 そうそう、〈ミナ ペルホネン〉の皆川明さんと、
気仙沼の地域通貨のようなものを
つくれないかな、という話もしているんです。
これから調べていくところなんですけど、
この地域通貨のデザインがアンリさんっていうのも、
ちょっとおもしろいなぁ、と思って。
お札の焼き印とかスタンプをアンリさんがつくるの。
アンリ じゃぁ、革のお札にしようかな(笑)。
糸井 (笑)
なんでそう思ったかというと、
日本人がつくったものは、その癖を含めて、
日本人だとマネしやすいんじゃないかと。
でも、イタリア人の感覚をもつスイス人が
つくるものの癖は、日本人にはわからない。
ニセ札がつくりにくいんじゃないかなって。
アンリ ああー。
でも、ぼくはとてもシンプルなものをつくるから、
もしかしたら、マネしようとしたら誰でも‥‥
糸井 そうかもしれないね(笑)

アンリ ああ、はやくはじめたいですね。
日本人はとくに、手でつくったものに
とてもセンシティブじゃないですか。
若い人たちも、手仕事にちゃんと興味がある。
ぼくが開いているワークショップにも、
ほんとうに「習いたい、やりたい」っていう気持ちで
いらっしゃるので、
そういう気持ちが伝わってくると、
こっちもオープンに教えたいって思います。
糸井 次にアンリさんが来日するときに、
ワークショップをするっていうつもりで、
連絡をとっていきましょう。
アンリ はい、そうしましょう。
こういう話は自分にとって、
すごくいいエネルギーの素になります、
うれしいです。
糸井 うん、ぼくもです(笑)。

(つづきます)
2012-09-18-TUE
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