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第1回 はたらいて、はじめよう。
第2回 Appreciate(アプリシエイト)
アンリさんのワークショップ in 気仙沼
MADE IN ITALY 100%
第5回 90分間に人生が現れるような試合。
糸井 そもそもの話なのですが、
「BEGINNING」という企画を考えついたときに、
具体的な商品とか、そういうものより先に、
まず、アンリさんにシンボルマークを
つくってほしいと思ったんです。
アンリ ああ、うれしいです。

糸井 なんとなく、このシンボルマークは
モダンなデザインにしたくなかったんですよ。
今をときめくデザイナーさんに
シンボルマークをつくってもらっても、
きっと、それはそれですてきなんだろうけど、
たぶん、洗練されすぎているというか‥‥。
アンリ お話をいただいたとき、とても感激しました。
「BEGINNING」というプロジェクトに
共感したのはもちろんですが、
もう何度も会っているので、
ぼくは糸井さんが好きなものを知っています。
だから、お互いが「いいね」と思えるものを
絶対に形にできると思って、
うれしくてたまらなかった。
糸井 いろんなデザイン案を出してくれましたよね。
おもしろかったのが、どのデザインにも
はたらいている雰囲気があったこと。
アンリさんにとっては、
はじめるっていうことと、はたらくっていうことが
自然と重なっているんだなぁ、と思いました。
アンリ ああ、そうかもしれないですね。

糸井 なぜ、ぼくらが「はじまりを、はじめよう。」と
言い出したのかというと、やっぱり、
去年の東日本大震災があったからなんです。
あの震災を一見エンディングのように
考えている人がいて、
「逆だよ、終わりは次のはじまりだよ」ということと、
「はたらいて、はじめようよ」ということを
伝えたかった。
だから、アンリさんのデザインの中に
その雰囲気が含まれていたのが、
すごくうれしかったですね。
アンリ たしかに、その通り。
はたらくことは、本来たのしいことだと思います。
こどもたちをみていると、
自然とはたらくことが身についている。
たのしいことだから、自然とはたらくんです。
そういう気持ちを、伝えたかった。
糸井 そうか、そうですよね。
ぼくらと付き合いのある気仙沼の人たち、
斉吉商店さんとか
アンカーコーヒーさんとかは、
震災のあと、ここから何をしようって考えて、
ちょっとずつ行動して、
ちょっとずつ前に進んでいます。
つまりは、前に向かってはたらいているんです。

アンリ すばらしい。
糸井 でもやっぱり、そうやってはたらくよりも、
助成金とかをもらったほうがいいっていう人も
なかにはたくさんいるらしくて‥‥。
アンリ ええ。
糸井 はたらくのと、はたらかないのと、
どっちがたのしいのか
見えるように行動するっていうのは、
とっても大事なんじゃないかと思いますね。
アンリ ほんとうにそうですね。
ぼくは、今回の震災のことで
たいへん心を痛めましたが、視点を変えれば、
行動を起こすこと、つまり、はたらくことで、
今しかできないような新しいことにチャレンジできる、
いい機会になるんじゃないか、と思いました。
糸井 そうそう、はたらくことが、
つまりは「はじまり」なんですよね。
アンリ きっと、ほんとうは
やらなきゃいけないという気持ちと、
できるのかなっていう不安とのたたかいでしょう。
ですから、震災の被害にあった方々にとって
まわりから後押しがあるっていうことや
みんなで助け合うっていうことが、
とても励みになると思います。

糸井 いや、ほんとうに、
そういうシンボルマークができましたね。
ほかのデザイン案も
似たようなコンセプトでつくられていましたけど、
これが、一番しっくりきました。
このマークが、
お守りみたいになってくれるといいなぁ。
アンリ お守り、いいですね。
糸井 今だけの話ではなくて、
この先、つい忘れちゃったときに
そのマークを見れば思い出すものとして
ずっとそばにあるといいな、と思っています。
アンリ そうなってくれれば、すごくうれしいです。
糸井 アンリさんの仕事って、
ものすごく原点に戻りたがる傾向が
あるじゃないですか。
それが今回、とてもうまくいってる気がします。
アンリ Si certo.(たしかに)
原点に戻る、ということは、
ぼくがいつも思っていることですね。
なにもないところからはじめるっていうのは
原点からはじめるっていうことですよね。
だから、今回のシンボルマークは、
シンプルさをとても大切にしました。
なるべくシンプルにすることで、
誰でもわかるもの、そして、
ずっと残っていくような強いものを
ぼくは作りたかったんです。
糸井 うん、うん、
伝わってきます。

(つづきます)
2012-09-13-THU
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