東博で行われる予定だった
「法隆寺金堂壁画と百済観音」のことは
プレスリリースなどで、随分前に知りました。
なんとどえらいものがやってくるのかと驚き、
首都の博物館ってすごいんだな、と
あらためて思ったのでした。
どうしても、早くに観に行きたかったので、
PARCOチームにお願いをして、
関係者やメディア向けに展示を事前に公開する
「内覧会」につれてってもらえるように
たのんでおきました。
なんでも手伝うし、テキストだったら、
いくらでも書くということを交換条件にして。
そして、本当に展覧会が開催されるか
まだまったく予測がつかない状況のときに、
感染に十分配慮された形で、
内覧会は開催されました。
とても、風が強い日だったので、
これでウイルスが
すっかり吹っ飛ばないかなと思ったけど、
そんな冗談みたいなことは全然起こらなかった。
当たり前だけど。
展示は、コンパクトにまとまっていて、
それはそれはすばらしいものでした。
壁画に関しては、
消失する以前に描かれていた
多くの模写を見ることができました。
そして、そのおかげで、
火事での消失後の復元にも
おおいに役立ったこと、
さらに、修復がどんな過程でおこなわれたかが、
本当に丁寧に展示されていました。
人は尊いものを前にして、
ほんとうに情熱的に動くものだなあということを感じて、
ひとり胸を熱くし、
修復の仕事が猛烈にかっこよくみえました。
そして、もちろん百済観音の実物も
えらいこっちゃでしたよ。
よくまあ、この背の高い仏像を運んできた!
まずそれを思ってしまったけれど、
博物館でみる仏像は
いつもなんだか本物感が希薄になって
不思議な感じがします。
やっぱりこんなふうにライトをあてられて
隅々までみることのできる機会はなかなかないので、
失礼なくらいにジロジロと観ることができました。
お寺にお参りにいったときに、
こんなことは心理的にもできないので、
それは本当にありがたいことだといつも思います。
結局展示が中止になってしまい、
仕方がないと思うと同時に、
すごく子どもみたいなことを思いました。
延期してまた観られるようにすればいいじゃない? と。
でも、絶対にそういうわけにはいかないのが、
博物館の企画展なんだろうなあと思います。
子どもの理屈は通らない、
大人の事情というやつが立ちはだかります。
東博の建物自体のスケジュールはもとより、
仏様はそんなに何度もホイホイと
お寺から出張はできない。
仏様には仏様の事情があるわけで。
この先で、再び同じように同じ人が、
タイミングを同じくして
一斉に力を合わせることは
とても難しいことなんだろうと思います。
学芸員の方も法隆寺のお坊さんたちも
会場設営の人たちも、
イヤホンガイドを作った人たちも、
東博のひとたちも、
全員がどれだけ無念な思いを抱えているのか
想像をすると本当に胸が痛い。
私も今、自分の仕事や仲間の仕事で、
できなくなったことがたくさんあるので、
その無念、心からというか魂から共感します。
せめてすこしでも、
その会場を有様を感じてもらえたらいいなあと思うので、
強く図録をおすすめするとともに、
ひとつ、展示会で販売される予定だった
グッズを紹介します。
私は内覧会のときに、
トートバッグを購入したのです。
いつもは、会期がはじまってから
もう一度展示を観に来て、
そのときに購入することが多いのですが、
このときはなんの虫の知らせか、
内覧会のときに手に入れました。
百済観音の手を描き起こしたデザインのトートバッグ。
仏像の手や仏画の手って、
ふくよかで、色っぽくて
ほんとにかわいいアイテムです。
仏像鑑賞におけるフェチというようなものがあるならば、
わたしは、ヘアスタイルと手ですなあ‥‥。
この2つに関しては、永遠に観ていられます。
それを、トートバッグの絵のモチーフにするなんて、
なんて‥‥センスがいいんだとおもって
勇んで買いました。
企画したひと最高ー!
こういう、展覧会のグッズの帆布のトートバッグは
ほぼ使い捨てですよ、
なんておもって買ったんですが、
全然そういうやつではありませんでした!
一瞬でもそんなことを思ってしまって、
たいへん失礼しました。
トートバッグ専門ブランドの
「ROOTOTE」が作っているので、
とてもしっかりした素材と縫製で、
内ポケットはもちろん、外にもポケットがあります。
おまけに、A4ジャストサイズじゃなくて、
もう一回り大きいので、
ノートパソコンも入れやすいし、
荷物もたっぷりはいって、とても使い勝手がいい!
とてもどころではなくて抜群にいいのです。
よかったら、こんなご時世だから、
観音さまとご一緒に。
ああ、ほんとに、ほんとうに、観てほしかったし、
もう一度見に行きたかった。