誰かからおすすめされたものが
自分も好きだった時、
それはラッキーなことだと思うんです。
『37セカンズ』は乗組員の山下さんが
おすすめしてくれて、観に行きました。
おすすめされなかったらきっと観なかった映画です。
観おわったいま、おすすめされて
とてもラッキーだったと思っています。
どなたかにも、このラッキーが届いたらと
少しだけ感想をお伝えしたくなりました。
少しだけと言いつつ!
とにかく今すぐ映画を予約してもらえたら
それが一番です。
なにも情報を持たず、なにも考えず、期待せず、
映画館のシートに座ってほしい。
映画はすっと、静かにはじまります。
すぐに主人公の女性の今の生活がわかるはずです。
その後もとくに派手な出来事はなく、
有名な俳優さんが出ていて安心感もあり、
どちらかと言えば静かな印象の映画です。
そして途中で、
おや、今まで観たものとどこか違う映画だなぁと、
もしかしたら感じるかもしれません。
わたしはそうでした。
静かな印象なのに、「動」の映画です。
主人公が踏み出す時、いつも風が動き出します。
風で彼女の短い髪の毛がふわりと舞うと、
こちらの心にも風がふわりと入り込み、
時間が動き出します。
時々、チリチリとハラハラと
こちらの気持ちを波立たせながらも、
彼女の笑顔が風とともに気持ちを流してくれます。
また、あまり説明のない映画でもあります。
主人公にこれまであったであろう出来事や、
彼女を取り巻く人たちがなぜそこにいて、
なにをしてきた人たちなのか、
過去のことは説明されません。
なんでだろう? と考えるわたしを置いて、
主人公はただ前へ進み、
あたらしい景色を見せてくれます。
彼女の目に映る
東京のきれいさにも目を見張りました。
ごちゃごちゃしててイヤだなぁと思っていた街も、
悪くないじゃんと思えました。
それが、彼女が見ているものと、
自分の見ているものとの違いなんだと
気がつくのですが、
映画館を出たら、なんと、自分の目に映るものが、
キラキラとみずみずしく見えるんです。
映画を観た後に、そんなふうに感じることに驚きました。
あまり良かった良かったと
大声を出してすすめるのもなんだか違うな、
と思う映画です。
けれども観た後には誰かにおすすめしたくなる、
気持ちのいい映画です。
観てもらって、
「おすすめされてラッキー!」と
思ってもらえたらうれしいです。
ぜひ、どうぞ!!