もくじ
第1回好きの理由は嘘っぽい 2016-06-02-Thu
第2回素人以上、経験者未満 2016-06-02-Thu
第3回ピラミッドの頂点 2016-06-02-Thu
第4回雲の上の日の丸 2016-06-02-Thu

1978年、滋賀県生まれ。大学在学中からフリーライター。2010年、デザイン会社ハイモジモジを創業し、2012年度グッドデザイン賞受賞。現在、デザイン会社経営とライター業の二足のわらじ。飼っているネコの名は「ニーポン」。

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第4回 雲の上の日の丸

松岡
サッカーがうまい人よりうまい人が、
そのまたうまい人よりうまくてプロになり、
そんなプロから選りすぐられた人たちが日本代表。
そう考えると、とてつもないですね。
厚志
我々なんぞ、足元にも及びません。
ピラミッドの下から見上げて、
太陽がまぶしくて目をそらすレベルです。
松岡
それでも世界を見渡してみると、
日本代表はまだまだ中堅クラスですよね。
下位とは言わないけれど、強い国とは見られていない。

厚志
そう!
あんなに卓越してうまい人たちでも敵わない
「雲の上の世界」が存在するんですよね。
世界トップレベルの試合を観ていると
同じ人間じゃないと思うときがあります。
有名なアルゼンチンのメッシ選手は以前、
「まるでプレイステーションのようだ」と
相手チームの監督に脱帽されてましたね。
テレビゲームみたいで凄すぎると。
松岡
メッシのプレーは人間離れしてますよね。
スローモーションのリプレイを何度見ても
なにが起きたのか理解できないときがある。
厚志
上には上がいる。
当たり前といえば当たり前ですし、
言葉にすれば平凡な表現なのですが、
「本当にそうだよなあ」と実感を込められるのが
ぼくにとっての日本代表なんですよね。
松岡
そうか、そこがサッカーの、
サッカー日本代表の面白いところ。
ぼくたちはそこが好きなんですよね。
厚志
そうなんです。
ぼくは、ぼくたちは「上には上がいる世界」で
チャレンジし続ける日本代表が大好きなんですよ。

松岡
ワールドカップに出ていない国のなかにも
日本より強そうな国がまだまだありますよね。
厚志
そう!
とくにヨーロッパや南米は強い国が多すぎて、
実力は申し分ないのに惜しくも予選でつまずいて
本大会に出られない「影の強豪国」がいくつもあります。
優勝したフランスや準優勝したオランダでさえ
予選で負けて出場できなかったことがあるくらいで。
世界は広いし、ライバルたちはみんな強い。
松岡
どうでしょう、日本はいつ
ワールドカップで優勝できると思いますか。
女子のなでしこは優勝しましたが、男子の方は。
厚志
サッカーにはジャイアント・キリングという言葉があって、
勝負にならないと思われた強豪チーム対弱小チームで
まれに弱小チーム側が勝つことがあります。
一試合だけを切りとれば、勝負がひっくり返るときがある。
でもワールドカップは計7試合戦いますし、
少なくとも4試合は勝たなきゃいけない。
しかもその4試合は決勝戦や準決勝で、
世界のトップクラスに対して連続勝利が必要になる。
ピラミッドの底辺にいる人間が言うのもなんですが、
まだちょっと時間がかかるのかなあ。
松岡
でも可能性は感じますよね。
厚志
ええ。
最近は本田圭佑選手や香川真司選手、
イングランドで優勝した岡崎慎司選手のように
世界の舞台で活躍している選手が増えています。
地球上で一番の国になるにはまだ遠いけど、そう遠くない。
いつの日かピラミッドの上の、雲の上の世界に
日の丸を立てられる日がくると信じています。

松岡
ぼくたち、いま何歳でしたっけ。
厚志
38歳です。
松岡
仮に平均寿命の80歳まで生きるとしたら・・・
厚志
あと10回しか観られないんですよ。
ワールドカップは4年に一度しかありませんので。
それまでに、なんとか優勝してほしいなあ。
松岡
頑張って長生きしましょう。
厚志
そうですね。
下手なりにフットサルでもして健康を維持して、
ワールドカップを観られる回数を増やします。
松岡
フットサルでは毎回、脚がつって、
周りの人たちに迷惑をかけてますけどね。
厚志
まずは次の2018年ロシア大会に
日本代表が出場できるよう、みんなで応援しましょう。
そもそも本大会に出られなかったら、
その分、優勝できる回数が一回減りますからね。
でも今度のアジア最終予選も一筋縄ではいかなそうだなあ。
でもハリルホジッチ監督には期待できそうだし。
でもでも若い世代の突き上げが足りないし・・・。
松岡
あの。
厚志
はい。
松岡
熱が入っているところ申し訳ないのですが、
そろそろタイムアップです。
厚志
まだロスタイムがあるでしょう!
松岡
審判の笛はもう鳴りましたよ。
また我を忘れてしまいましたね。
厚志
いやはや、話が尽きないくらい
サッカー日本代表が好きってことで。
松岡
ぼくたちの「好き」は見つかりました。
今まで気づいていなかったけど、
ちゃんと胸を張って説明できる理由もね。
それではぼくたち、そろそろひとつになりましょう。
厚志
ええ。
松岡厚志
これからも頑張れ、日本代表!

(終わります)