木曜深夜の楽しみ。
2013年、高校2年の晩夏に
お笑い芸人さんのラジオにハマり、
様々な番組を聴き漁る中で
虜になってしまった一つの番組がある。
ニッポン放送で当時、毎週木曜日の深夜3時から
放送され、お笑いコンビのアルコ&ピースさんが
パーソナリティーを務められていた
『アルコ&ピースのオールナイトニッポン0』である。
この番組はどういう番組なのかというと、
えー、どういう番組…なのか…
正直、魅力が一言や二言で説明できない。
どこから説明したらいいのだろう。
まず、一般的なラジオ番組と構成がまるで違うのである。
一般的には「フリートーク」と「ネタコーナー」の
組み合わせでラジオ番組は作られているのだが、
この番組は一回一回冒頭で今週のテーマとストーリーが、
例えば、「平子さんがどうしたら手から爪を
出せるようになるか。」といった具合に設けられ、
そのストーリーにアルピーお二人のアクトと
リスナーのメールでを肉付けしていき、最後はお二人が
茶番ともとれるラジオドラマを繰り広げ、完結する。
いわばアルピーさん、スタッフさん、リスナーの三角形で
毎週1本の壮大な物語を作り上げているようなものなのだ。
「ラジオコント」と呼ばれたりもしている。
(もちろんフリートークもネタコーナーも存在はするし、
こちらもしっかりと面白い。)
生放送でストーリーは作られていくため、
リスナーのふとした思い付きから物語は
とんでもない方向に転がって行ったり、
テーマ自体が全く変わってしまったりすることも多い。
が、そこが一番楽しい部分でもある。
テーマが変わってしまってもそれを許し、
面白がってくれる空気感が番組にあるから、
リスナーも思い切って遊ぶ事ができる。
深夜の生放送にすごくマッチしていた番組であった。
メールを選んで物語の流れを作るスタッフさんの
労力は果てしなく大きなものであったと聞く。
そしてまた、そういうテーマメールや
ネタコーナーに面白いネタを送るハガキ職人の
方々にはただただ感服である。
ハガキ職人という人種を知って、
こんなにサイケティックで面白い人達が
深夜ラジオという空間にいるという
事実に純粋に驚いて、尊敬した。
「家族」のコーナーで読まれるような
投稿を、脳みそのどの部分を使って
生産しているのか未だに理解出来ない。
本当に凄い。
自分はあまりメールを送ったりせず、
ただ聴いているだけの文字通りの
リスナーだったがそれでも凄く楽しかった。
(1回だけ読まれた事は生涯の嬉しい思い出である。)
酒井さんのメールの読み方。
平子さんの独創的な言葉使い。
生電話を受けたリスナーがアタフタする様。
毎年改変期に流れるSEKAI NO OWARIのRPG。
ハガキ職人さんのネタメール。
好きだったなぁ。
摘み取られた深夜に咲く一輪の花。
2016年3月24日、正式には25日だが
アルコ&ピースのオールナイトニッポンシリーズは
最終回を迎え、爆散してしまった。
何度聞き返しても常に面白く、
毎週番組が始まるのを楽しみに待ち、
登下校時も受験勉強も共に時間を過ごし、
笑ったり泣いたり、感情を大いに揺さぶられ、
僕の人生の何百時間かを費やした大好きな番組は
その3年の歴史に幕を閉じ、
高校を卒業しても続いていた青春が一つ、
終わってしまった。
最終回の日は夜に有楽町へ向かい、
ジョナサンでラジオを聴いて出待ちへ向かった。
(最終回の企画は、季節に関する曲を持つ
アーティストが日本各地で戦っている、という設定のもと
その戦の戦況報告をリスナーから募集する番組の名物企画、
「春歌、アーティストの乱」。)※1
深夜ラジオの出待ちをするなんて
昔の自分にはとても想像できないだろう。
約300人のリスナーがニッポン放送に集まり
アルコ&ピースのお二人を囲んで最後の思い出を
共有していた。
その場にいれて本当に良かったと思っている。
来ていなかったら一生後悔していたかもしれない。
人生において一生忘れる事のない、
大切な思い出になった。
アルコ&ピースのオールナイトニッポンが
無い生活に4年ぶりに戻ってしまった。
それでも、他の好きなラジオ番組は
続いているものもあるし、後の枠では
新しく『ニューヨークのオールナイトニッポン0』
も始まった。
なんならFM-FUJIの『沈黙の金曜日』
という番組でお二人のラジオは今でも聴けている。
それでも、ニッポン放送で作られていた
オールナイトニッポンシリーズには
その場所にしかない面白さがあるから、
寂しさは今でもある。
(どっちの方が面白いとかそういう意味ではない。)
ラジオを聴くという生活は
死ぬまでずっと続けていくだろう。
いつの日か、また特番で『アルコ&ピースの
オールナイトニッポンジャスティス』を
聴ける日が来るまで、「何卒」。
と、まぁここまでが僕のラジオ遍歴である。
エッセイの好きなものは「ラジオ」としたけれど、
今まで聴いたことのある番組からすると
「お笑いラジオ」と言った方がよかったかな。
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※1,(アルピーANN用語集より引用)