ゾマホンさんと新宿で出会ってから16年になりました。
日雇いから始まった社会人人生は、現在は正社員として
働きながらアフリカのことをやり続けています。
活動が進むにつれ、うれしいことに多くの人々に
支えられ、活動の内容も広がりをみせました。
寄付に頼らないやり方は、個人の懐には入らないものの
寄付を受けてその人のやりたいことに応えることは
やるようになりました。
そしてゾマホンさんは大使となりました。
留学生も50人以上になり、つくった小学校にも
何千人が通い、そこで給食まで提供するようになりました。
たしかにそれは嬉しいことかもしれません。
ただぼく自身が、いま振返ったとき、この成果が
本当にやりたいことだったのかはわかりません。
やってきたことが果たしてアフリカのために
なっているのか、人のためになっているのか、
自分のためになっているのかと自問自答してしまいます。
ぼく自身、アフリカの活動の成果は100年単位で
考えないといけないのではと思っています。
なにか行動を起こして、その成果がすぐにみえると、
「本当にそれでいいのか。」と疑います。
なぜならこれまでその土地で流れてきた時間に対して
あまりにもぞんざいに扱っているような気がするからです。
そしてずっと裏方としてやってきた自分の中に
もっと自分が目立ちたい、認められたいという欲求が
心の隙をついてきます。
この気持ちは今まで人に言えませんでしたが
ぼくの本心です。
人の笑顔は時々人の心に蓋をすることがあります。
それはどこかの国を支援していて、その支援を
受けた側の人たちが笑顔であっても
本当はそうではないかもしれません。
相手の笑顔の裏にある、本当の気持ちを理解する。
これが16年間のアフリカの活動を通して
ぼくが知ったことです。
そしてそのことを忘れてしまったとき、
そのこと自体、そのものを考えなくてはいけないのかも
しれません。
今回のほぼ日の塾はそういう点においても
考えるよいきっかけになりました。
ただ最後に1つだけ言えることは、やっぱり自分が最初に
つくった「たけし日本語学校」は、自分にとって
一番大切なものであり、好きなものです。
それは自分が一番最初にやりたかったという
誰にも遠慮しなくても良い純粋な想いであったこと
だからです。
そしてそれに協力してくれた方々が
ぼくはとても好きだからです。
(おわり)