- オノ
- 2人はさ、農業好きですかって聞かれたらなんて答えるの?
- マサ
- …どっちでも、ない。
- オノ
- どっちでもないの?
- シン
- 職業の一つです。
- オノ
- どっちでもない…。
例えば、鉄道は好きですかって聞かれて…
- マサ
- 好きでも嫌いでもない。
- オノ
- それと同じ?
- シン
- 農業に対しても、いろんな見方があるから。
一長一短じゃないですか、見方によっては。 - オノ
- …結構ドライよね(苦笑)。
- シン
- 現場での実習もやって、学校での勉強もしてて、
ある程度知識もついたからこそ… - オノ
- どっちでもない。
- シン
- でも現場にいる期間が俺らは短いから、
もっと現場にいて、
地域の人たちから感謝されたりしたら
どうなるかなと思いますけど。
現状ではねー。ただ、学校の仲間でも、実家が農家じゃない人は
農業が好きだからこそ農業界に入ってくるわけじゃないですか。
彼らは、農業が一番って考えてる。前に授業で聞いたけど、
農業をしている農家の息子・娘が優先するもの
3つ挙げると、金、地位、農業なんです。 - マサ
- (笑)。
- シン
- でも農家出身じゃない人は…
- 2人
- 農業、地位、金(笑)。
- オノ
- それはやっぱり実感するところ?
なんでそうなるの? - シン
- 当然あるものだから農業っていうのは。
- オノ
- …家に継ぐべきものとかがない身からすると、
好きでも嫌いでもどっちでもないってことを
仕事にするって、
その若さで決意できるってことが謎なの。
それはなんなの?なにがそこに効いてるの? - マサ
- 俺はそれこそ、お金だと思う。
- シン
- 俺は「長男」なんだろうな。
- オノ
- 「家を継ぐ」ってことと農業が密着してるってことか。
家は守らなきゃっていう感覚はどういうものなの? - マサ
- 俺は「続いてきたものを俺が止めるわけにはいかない」。
別に俺の子供が止める分には何とも思わないけど、
俺が止めるのはいやだ。多分お父さんもそう思ってると思う。
別に何も強制するわけでもなく、
自分は続いてきたものをただやっただけで
子どもには「お前の好きなものやれ、
別にここで途絶えさせてもいいよ」と。 - オノ
- それはお父さんが
今やっていることがいやとかいうことではなく、
単純に「俺はこうだった、お前は自由にしろ」か。シンくんちも同じ感じだった?
- シン
- 父親の意思的にはそうなんでしょうね。
でもなんか、俺けっこう姉と歳がそんなに近くなくて、
ちょっと離れて男の子みたいな。
多分親の立場から言うと、
待望の男の子みたいな感じだったんじゃないかなと。
昔はほんとにすごくかわいがられてきたから。その、男の子が欲しかった意味みたいなのを考えると、
男の子に継いでほしかった、みたいなのが
親にあるんじゃないかな。 - オノ
- ここまでの話は、逆に言うと
「うちの農業継げばもうかるぞ」
って思えてるってことだよね? - シン
- いやおれがなんとかしてやるぞっていう。
- マサ
- いやーわかる!
もうね、今、俺の針の穴に糸を通した!
スーッ、って!お前さすがやな。
- シン
- 俺とお前、
2本の針がおんなじところに並んでるから(笑)。
穴のサイズも一緒だもん。容易だった。
