- オノ
- 農業は好きでも嫌いでもない、
なんていう2人だけど、
逆に農業のいいところを聞かれたらなんて答える? - シン
- おいしいものが食べられる。
- オノ
- マサくんなんて言う?
- マサ
- なんだろうなあ、農業のいいところでしょ。
…食費がかからない。 - シン
- 飢え死にしない。
飢餓になっても俺らは助かるから。 - マサ
- でもそれ米農家ならだけどね。
ほんとに米がどれだけなくなっても、
俺ら生きていける自信あるからね。大丈夫、オノさんも生きていけるよ!
- オノ
- うん、私、
この仕事に就いてる今なら、生きていけると思う。 - マサ
- 送る送る。
いくらでも送るよ。 - シン
- うん、送りますよ。
- オノ
- 実際に今、卒業生とかから
農産物を送ってもらうことがあるじゃない?
やっぱりそういうことがあると、
食べものがあって食費が浮く以上に、
なんかこう、いいよね。 - マサ
- 嬉しい気持ちになりますよね。
- オノ
- そう、嬉しい気持ちになる。
値段では測れないものが乗っかってるからね。 - シン
- オノさんになら喜んで送りますよ。
- マサ
- うん、喜んで送るよ。
- オノ
- まあほんとに東京が危機のときには送っていただいて。
やっぱり農業のいいところは
「食べもの」ってことか。
食べもの強いなあ。 - シン
- 強いですよー。
- マサ
- いやこの学校にいたら
そういう意味ではめちゃめちゃ強いよ。
マジで強いと思う。 - オノ
- それはあると思う。
いい仕事してるなあ、私。 - マサ
- シンのとこなんて、
まれに見るでっかい経営だからさ。
どんだけ食料危機になっても大丈夫だと思うよ。 - シン
- 単純計算だけど、
1俵(60kg)で1人の年間消費量でしょ。
で、10aで8俵取れるとして、かける10で1haでしょ。
80かける、経営面積の50haでしょ。
ほら、俺、4000人分の米をまかなってるから。 - オノ
- そうだよ4000人分の米だからね。
4000人っていったらどのくらいだろう。 - シン
- うちの町が今、人口1万人切って、
8000人くらいだから、
町の半分くらいはまかなってる計算になる。 - マサ
- すごいわ。
- オノ
- すごいわ。すごいすごい。
- シン
- でも意外とすくねーな。
- オノ
- 確かに日本には1億何千万人と住んでいて、
米の場合、それを全部国内でまかなっていると考えるとね。でも、自分ちで4000人に影響与えてるってことだから。
自分がそれだけのものを背負ってるっていう、
その感覚は一介の教員にはなかなかないね。だって、私だったら、
うちの学生40人には責任あるなーぐらいでしょ。
その100倍だからね。 - シン
- それなのに農業が廃れていくのがもったいないですね。
大事な産業なのにね。 - マサ
- いいこと言ったやん!
- シン
- あ、やべ、これポイント稼いじゃった(笑)。
- オノ
- いやいや、でもほんとにそうだよ。
