もくじ
第1回ライターって裏方商売ですよね。 2016-05-16-Mon
第2回チヤホヤされたい気持ちも・・・ 2016-05-16-Mon
第3回距離感ってとても大事ですよね。 2016-05-16-Mon
第4回人が喜んでくれることこそが・・・ 2016-05-16-Mon

1979年6月22日生まれ。
富山県出身
20歳の時に、バスの隣席が偶然
ベナン共和国出身で、当時上智大学留学生の
ゾマホンさん(現:駐日ベナン共和国全権大使)
だった。
目的地までの数分間の会話がきっかけで、
大学卒業後、就職先をすべて断り、ゾマホンさんと共に
ベナンと日本のために活動することを決意。

2003年、現地に「たけし日本語学校」を
開校し、西アフリカでは初となる日本語と日本文化を学べる
拠点を作った。また今日までも継続的に学校運営を行う。

また、日本語学校以外に、留学生の招致、
小学校6校建設、井戸掘り20本等、
16年間、ゾマホンさんとともに活動を続ける。

ただ、この活動は収益が出る活動が生まれるまで
ボランティアで行っており、
現在は株式会社グラフィコの人事として
仕事をしながら活動を続けている。

NPO法人IFE(イフェ)代表理事
※IFEとはベナンの言葉で「愛、分かち合う」の意味

古賀史健×糸井重里対談 ライターの声に耳をすませて。

第3回 距離感ってとても大事ですよね。

糸井
それにしても震災というものを経験すると
それまでの事についていろいろ考えさせられましたよね。
古賀
そういえば、糸井さんは以前の「今日のダーリン」で
3年後の話というものを書かれていましたよね。
糸井
はい、はい。
古賀
ぼくも見えもしない10年後、20年後を語るより
今日、明日をどう生きるか、っていう立場だったんです。
ただ最近では3年先にこっちに向かっているとか、
あっちに向かっているとかって思えてきたんです。
糸井
ぼくはそれを今の年でわかったわけです(笑)。
古賀
そうなんですね。
糸井
はい。たとえばの話、大きな災害があった後、
こういう事もあるんだから、今日っていうのを
充実させていこうという考えはとても立派な
考え方だと思うんですよ。
古賀
そうですね。
糸井
今日を充実させるということに、
しっかり重心を置いたら3年後はわからないから、
1日中精一杯生きようというのは説得力があるんです。
古賀
3年後はわからないから・・・というのは
大きな災害の後は特にそう考えますようね。
私も東日本大震災の時、4月に現地に行ったんですよ。
ちょうど5月に出版予定の本があって、震災のことを
全くふれないというのには違和感があって・・・
まずは現地を取材しようと。
糸井
4月というと瓦礫も沢山あったでしょ。
古賀
はい、何もできないって思いました。
糸井
無量感ですよね。
古賀
はい。本当にそう感じました。
糸井
ぼくも周囲から「どうしましょう?」って
聞かれても、「ぼくもわかんないけど・・・」って
いうのをずっと言ってきたんです。
でもそう答えていく間に、3年前からしたら、
今日くらいのところはわかってたなっていうことを
思うようになったんですよ。
古賀
それって、震災とか気仙沼に
関わるようになったというのは関係していますか?
糸井
はい。震災はでかいですね。震災、でかいです。
糸井
震災のことでいうと、ぼくが人から
「大変だったね」って言われた時に、
ずっと変わらない1つの思いがあるんですよ。
古賀
1つですか?
糸井
はい。みんなが優しくしてくれる時に、
素直にその行為を受け取れるかどうかなんですよ。
だから震災にあった人達と友達になりたいっていうのを
早く言った理由は、友達のいうことって
聞くからなんですよね。
古賀
そうですね。うんうん。
糸井
友達になれてないと、「ありがとうね、ありがとうね」って
言うけど、やっぱり「ございます」が付くんだよね。
古賀
ああ、なるほど。
糸井
普通に「ありがとう」って言ってくれるみたいな
距離感でいたいと。
古賀
距離感ってとても大事ですよね。
糸井
大事です。
ぼくが「普通のありがとう」以上のことを
恩着せがましくしたら、またこの距離感って
保てないと思うんですよ。
あげればあげるほどいいと思っている人も
いるじゃないですか。
古賀
そうですね。
糸井
でも、それは絶対違いますよね。
向こう側からぼくを見て、余計なことをって
思われるようなことをしてないかなっていうのを、
いつも考えるようになったんですよね。
古賀
そうですね。でも、震災に関わるって決めたとき
世間的にいいことに見えたり、あるいは慈善活動とか
そういうものに見えるって、
いい面と悪い面とあるじゃないですか。
僕たちはいいことをやっているんだっていうふうに
自分を規定しちゃうと結構間違ったことをしがちで・・・
糸井
やっぱり吉本隆明さんの影響は大きいですね。
吉本さんが、前々から、いいことをやっている時は
悪いことをやっていると思え、悪いことをやっている時は
いいことやっていると思え、ぐらいに、全く逆に考えると
いうのを教えていただいたんです。
古賀
なるほど。
いいことをやっている時は悪いことをやっている、
悪いことをやっているときはいいことをやっている・・・
糸井
つまり震災や気仙沼に関わって、「ありがとう」って
言い合える距離感が大事だと思ったんです。
古賀
なるほど。そして震災や気仙沼を通して
3年先くらいの方向性はわかるんじゃないかと・・・
糸井
はい、今の年でわかったんです 笑。

(つづく)

第4回 人が喜んでくれることこそが・・・