- 糸井
- 古賀さんの仕事に対する考え方って
やっぱり、面白い人、素晴らしい人を
探して、その人の言葉を聞いてくださいっていう
スタイルですよね。 - 古賀
- そうですね。
- 糸井
- ぼくもそうなんだけど、ぼくはとっても驚いたよ、とか
ぼくはとってもいいなと思ったよとか、間接話法で
本になるですよね。
だから自分を前に出す必要は全くなくて。
たとえば、いいリンゴを作っている農家さんがいたとして
「リンゴがあんまり買ってもらえないから作るのやめようと
思うんだよね。」っていう人に、
「ちょっと待って、待って。ぼくが売るから。」みたいな。
- 古賀
- (笑)
- 糸井
- でもそれって素晴らしいことだと思うんですよね。
- 古賀
- ありがとうございます。
- 糸井
- ぼくに「あなたは目立ちたいってことはないんですか?」
って聞かれたら、「ものすごくありますよ」って
言うじゃないかな。 - 古賀
- はい、はい。
- 糸井
- だたそれはどういう種類のものなんでしょうねと言うと
「いや、いいかも、要らないかも」っていう・・・
浅いところでは目立ちたがりですよ、ぼく、たぶん。
ちょっとだけ掘るだけで、急にどうでもよくなりますね。 - 古賀
- それは目立って痛い目に遭ったりした経験があるから?
- 糸井
- じゃ、ないですね。
- 古賀
- そうではないんですね。
- 糸井
- はい。
たかがっていうのがものすごく見えた感じがします。 - 古賀
- そうなんですね。
- 糸井
- ぼくみたいな加減で目立ちたがったり、
目立ちたがらなかったりしているという例が、
古賀さんの世代の人に見えているっていうことについて
気づいていますよ。
そんなにガツガツ目立とうとしなくても、
1つの面白い世界はやれるんだなって。
そのくらいの方が楽しいんだよって。 - 古賀
- それもある意味、自分と社会との距離感ですね。
- 糸井
- そうなんです。距離なんです。
- 古賀
- そういう意味では、例えば100万人に自分のことを
知ってもらっているということに喜ぶ人もいますよね。 - 糸井
- それは、そうでしょうね。
ぼくなんかの中にはそれはなくはないんだけど・・・
例えば『ほぼ日』を100万人に読んでくれてるって
それは「ええー?」っていう嬉しさがあると思います。 - 古賀
- それはそれを経験したのと、していないのとでは
感覚が違いますよね。 - 糸井
- はい。
だからぼくは若い人に経験してもらいたいですね。
たとえば、ピラミッドを見たことがない人を
ピラミッドに連れて行ってあげて
「どう、大きいだろ?」って。
そうすると
「ほんとだあ~」って(笑)。
- 糸井
- その「ほんとだあ~」っていうのが、
自分以上に嬉しいですよね。 - 古賀
- その気持ち、わかります。
- 糸井
- そういえば、この間、古賀さんのところの
ライターさんが手がけた本が10万部いったんですよね。 - 古賀
- はい、ありがとうございます。
あれは嬉しいですね。
自分の事以上に嬉しかったですね。
- 糸井
- それは嬉しいと思いますよ。
人が喜んでくれることこそが自分の嬉しいことですよね。
こういう表現だと綺麗事に聞こえるけど、
例えで、お母さんは食べないで
子供にイチゴを食べさせるみたいな。
それと全く同じ考えだと思います。
そういう経験をすればするほど、人の喜ぶことを
考えつきやすくなりますよね。 - 古賀
- わかります。
最近、特にそう思うようになりました。 - 糸井
- それは組織を作られてから?それとも前から?
- 古賀
- そうですね。前から同じですけど、
でも前はもっと露骨な出世欲みたいなのが
あったんですよね。 - 糸井
- 1人のほうがね。
- 古賀
- はい、ライターの中で一番になりたいとか・・・
- 糸井
- うん、うん。
- 古賀
- あいつには負けたくないとか、そういう欲は
ありました。
ただ今はそこで競争して消耗するのは、なんか
勿体ないなという気持ちがあって。
外に目を向けた時の面白さを
ようやく知りつつある感じですね。 - 糸井
- なるほど。
その意味でも古賀さんは組織を作られて
よかったですね。
たぶんぼくも同じようなことだと思うんだけど、
やっぱり喜んだ話が聞こえてくるというのが
大きいですよね。 - 古賀
- 本当にそう思います。
- 糸井
- それにしても今日はぼくがしゃべり過ぎましたが
大丈夫でしょうか。
- 古賀
- 大丈夫です。今日はありがとうございました。
- 糸井
-
こちらこそ、ありがとうございました。
では、この辺で締めましょう。(最後までご愛読ありがとうございました。)