用事を終えて本屋さんに向かうとき、
その足取りはなんとなく早歩きになる。
本屋さんというのは、ビルの5階とか、6階にあることが多い。
そのため、ビルにたどり着いてからが、また少し長いのだ。
せっかちなわたしは、
いつくるか目に見えないエレベーターを待つよりも、
目に見えて上に登っていることがわかるエスカレーターを選ぶ。
はやく、はやく、と思いながら
本屋さんを目指しているとき、
他のフロアにある洋服などは一切目に入らない。
女子大生としてどうかと思うが、目線はただひたすら
本屋さんのある方向を見つめているのである。
本屋さんのあるフロアについたら、
迷わず本屋さんへと足を進める。
漫画は入り口近くか、学習参考書のとなりのスペースにあるので、
(受験生でなくなった今もこれはやめてほしいな、と思う)
一切の無駄のない動きでそこへ足を進めて棚を目指す。
新刊の棚は、人気の作品が何列も平積みに
少しマイナーなものはそれぞれひと山。
さらにマイナーなものは新刊の棚には置かれず、
それぞれの出版社の棚に平積みにされていることが多い。
わたしはこの、新刊の棚を眺めるのがまた好きである。
その全ての漫画に興味があるわけではなくても、
タイルのように並べられた漫画たちの表紙を
眺めているだけでたのしい気持ちになる。
漫画において表紙は命である。
雑誌のように手にとって試し読みされない分、
漫画は表紙で読んで!読んで!と訴えることを必要とする。
ガッと目を引くような装丁にしようと、
どの漫画もこだわった表紙で棚に並んでいるのだ。
少女漫画、少年漫画、大人の漫画、、、、、
とジャンル順に並ぶ新刊たちを眺め、
お目当の漫画を見つけたとき、
「あっ!」という驚き。
これがまた、だいすきだ。
目当のものを発売されてすぐに買いに来たのだから
本当は驚きもなにもないのだけど、
待ち合わせに来た友人を待ち合わせ場所で見つけたときの
「あっ 来てくれたんだ」のような、
当然なのだけれど、なんだか嬉しい気持ちが
そこにはある。
発売日からなかなか本屋さんにこれなかった時には
「待たせてごめん。」と思うし、
当日に来れた日には
「迎えに来たよ!!」
と思う。
はしゃいでいる時などはうれしくて、
自分のお目当の新刊をメジャーで何列もある新刊の上にちみちみと重ねて
「みんなも読みなよ!」とやりたい気持ちになる。
(中学生ぐらいまでよくやっていましたが、やっちゃだめです。)
このうれしい待ち合わせがあるので、
自分はやはり、
「自分の読みたい漫画は、
自分で本屋さんに迎えにいかなくてはなるまい。」
と思うのである。