お目当の漫画を無事に手に入れても、
ソワソワは消えることがないし、
むしろ本屋さんへ来たときよりも
早歩きは加速する。
なぜなら今度は手に入れた漫画を読まなくてはならないからである。
わたしは歩きながら本を読む癖があるので
漫画も読もうとすれば読めるのだが、
「歩きながら新しい漫画を読み始めるべからず。」
とこれまた無駄なこだわりが邪魔して、
読めずにトコトコ急いで帰ることになる。
家の前の坂を息を切らしながら登って、
これまた息を切らしながら3階の自分の部屋へ向かう。
荷物を放り出して、
手を洗ったら、
(※汚い手で新しい漫画に触るべからずというこだわり)
ガサガサと本屋のビニール袋に手を突っ込んで
決して重くない漫画1冊をバッと取り出す。
漫画を本屋さんで買うとき、
わたしはカバーもいらないし、ビニールをとることも頼まない。
帰宅してから漫画のビニールを破る瞬間が
めちゃくちゃに好きだからである。
よく、お菓子の包み紙をやぶるワクワク
というような例えを聞くが、
漫画のビニールを破くワクワク
は同じようなものなんだろうと思う。
誰に急かされているわけでもないのに、
ビリビリ、と力任せに薄いビニールを破き、
帯をサッと取って
中に挟まれている他の新刊の宣伝冊子をポイとその辺に放り投げる。
そしてやっと、迎えに行った漫画を読み始めるのである。
そのあとも、読み終わった余韻に浸ったり、
作者のコメントを読んだり、
カバー裏を確認してみたり、
ネットに感想を吐き出したりと、
漫画に関する行動は続いていくのだが、
それらの楽しさを助長させているのは
「絶対に漫画を自分の手で取ってレジに持っていく」
という行為な気もする。
電子書籍も便利だし、
漫画喫茶はお得だし、
ネットショッピングは確実だけど、
自分の足腰がダメになるまでは
漫画を迎えに本屋さんに行きたいな。