もくじ
第1回エピグラフとは。 2016-11-08-Tue
第2回長いのもいい。短いのもいい。 2016-11-08-Tue
第3回やっぱり、読み飛ばすのはもったいない。 2016-11-08-Tue

出版社で営業の仕事をしています。社会人1年目。

私の好きなもの</br>エピグラフ

私の好きなもの
エピグラフ

担当・ミネオ

本を開いて1ページ目からペラペラとめくっていくと、
タイトルの次のページや、目次と本文のあいだのあたりに数行、
作者が引用してきたことばが載っているのを目にすることがあります。

「エピグラフ」なんてステキな名前がついていることを
知ったのは後になってからですが、
あのことばたちが担うさまざまな役割やその佇まいに、
なんだか惹かれるものを感じていました。

表紙のデザインよりも、オビの文句よりも脇役でいながら、
素朴で、粋で、ハッとさせられるような力を秘める
エピグラフにスポットを当ててみたいと思います。

第1回 エピグラフとは。

エピグラフ。

初めてこのことばを知ったときには、
「エビピラフ」と似た語感が、
なんだかいいなあと思ったものです。

しかし、エビピラフの人気の高さと比べると、
エピグラフはずいぶん地味な存在です。

そもそも、「エピグラフ」と聞いて、
何のことを指すのかすぐにピンとくる人の方が
珍しいかもしれません。

『三省堂 大辞林』で「エピグラフ」を引いてみると、
「碑文」「碑銘」という意味に続いて、
「本の巻頭に記す題司」「題辞」
と書かれています。

細かな説明よりも、
一例を挙げてしまう方が話が早いかもしれません。

『ミライの授業』(講談社)
瀧本哲史著
 

 
この本は、ほぼ日の塾第1期にて、課題1の対談コンテンツに登場された
ライターの古賀史健さんがライティングを担当された本でもあります。
そんな本書、目次と本文の間に、こんなことばが添えられているのです。
 

 

未来を予測する
最善の方法は、
それを発明することだ
──アラン・ケイ

そう、これがエピグラフです。
パーソナルコンピュータの父と言われる氏のことばが、
この本の核心となるメッセージを見事に伝えています。

情報を素早く大量に処理することが求められ、
「速読」もひとつのスキルのように語られるいま、
エピグラフは読み飛ばされがちな部分なのかもしれません。

確かに、本にエピグラフがなくても何の問題もないでしょう。
エピグラフがない本を見つけるよりも、
付いている本を見つける方が大変です。

しかし、「わざわざ」付けられたものだからこそ、
そこには作者の考えや、思いが表れているような気がするのです。

派手さはないけど、じわじわくる。

そんなエピグラフの魅力について、
いくつかの例を見ながら迫っていきます。

(つづきます)

第2回 長いのもいい。短いのもいい。