もくじ
第1回エピグラフとは。 2016-11-08-Tue
第2回長いのもいい。短いのもいい。 2016-11-08-Tue
第3回やっぱり、読み飛ばすのはもったいない。 2016-11-08-Tue

出版社で営業の仕事をしています。社会人1年目。

私の好きなもの</br>エピグラフ

私の好きなもの
エピグラフ

担当・ミネオ

第3回 やっぱり、読み飛ばすのはもったいない。

エピグラフの中には、
思わず「ん?」と立ち止まってしまうようなものもあります。

『読んでいない本について堂々と語る方法』(筑摩書房)
ピエール・バイヤール著・大浦康介訳

3、4ページめくると出てくるのがこちら。

私は批評しないといけない本は読まないことにしている。
読んだら影響を受けてしまうからだ。

─オスカー・ワイルド

読まずに語れ。語るなら読むな(?)。
わからなさゆえに、中身が気になってしまいます。

複数の人物のことばを並べて、
エピグラフが構成されることもあります。

『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)
高野秀行著

目次の次に飛び込んでくるのがこちら。

見てきた物や聞いた事 今まで覚えた全部
でたらめだったら面白い そんな気持ちわかるでしょう

──THE BLUE HERATS「情熱の薔薇」より

およそ真実の探求者は、塵芥より控えめではなくてはならない。
──マハトマ・ガンジー『ガンジー自伝』(蝋山芳郎訳/中公文庫)より

ガンジーとブルーハーツ、夢の共演。
ことばそれ自体の魅力だけでなく、
組み合わせ次第で印象が変わってくるところも、
エピグラフの醍醐味なのかもしれません。

いかがでしたか?
ほんの一部を見てみるだけで、
エピグラフには思ったよりも
いろいろな使い方があり、個性に富んでいて、
なかなかに面白いことばたちが揃っていることを
感じてもらえたのではないでしょうか。

本に、エピグラフが欠かせないとは正直思いません。
私の限られた読書経験を棚に上げたとしても、
エピグラフが入ってない本の方が多いのは明らかですし、
エピグラフが優れているからといって、
中身が面白いかはまた別の話でしょう。
(今回例に挙げた本は、どれも本当におすすめです。)

でも、オマケのような部分だからこそ、伝わってくることがあります。
そこに表れているのは、作り手のセンスや、作品に込められた思いです。
そう考えると、エピグラフを読み飛ばしたり、
チラッと見るだけで済ませたりするのは、
少しもったいないことのような気がします。

このコンテンツを読んで、
エピグラフに目が留まる方が少しでも増えたなら、
とても嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

(終わります)