職場に感動を。
担当・あかし
第3回 「喜ばせたい」思いだけは純粋。
- 福西
-
感動課の話が来て、めっちゃ嬉しいと同時に、
最初はほんまに戸惑ったんやで。
- 明石
-
そうなんですか?
- 福西
-
だって、職業に名前ないやろ。仕事内容も具体的にない。
何より、サイボウズの次に転職しよーって思ったとき、
できひんやん。
なんの職種で受けたらええの? って。
- 明石
-
それは、たしかに。
- 福西
-
周りからは、「いいですね」って言われるねんけど。
ほんまにいいと思ってるんやったら、
転職サイトの職種のチェックボックスに
人事総務の隣に「感動課」を入れてくれってね、
そういう話なんですよ(笑)。
- 明石
-
(笑)。
感動課の話を引き受けたのは、どうしてなんですか?
- 福西
-
副社長が、「もし感動課やってみてあかんかったら、
僕も頭下げてお願いするから、元の部署に戻ろ。」
って言ってくれて。それで決心ついたかな。
- 明石
-
副社長が…!
- 福西
-
そうやねん。
その後押しもあって…。
- 明石
-
社内で、転職したわけですね。
- 福西
-
うん。僕、社内で転職するんやって。
考えてみれば、僕人見知りやし、イチから関係作るの苦手やし、
社内で転職できるのはいいなって思って。
しかも、めっちゃやりたいことやったし。
- 明石
-
今までになかった仕事を、
一から作るってどんな感じだったんでしょう?
- 福西
-
うーん。一言でいえば、大変やった。
最初の頃は、「実際には何をやったらええんやろ」っていう。
- 明石
-
最初にされた仕事はなんだったんですか?
- 福西
-
なんやろ…
最初はサイボウズ・オブザイヤー(社内の年間MVPを
決めるイベント。社員が「ありがとう」を伝えたい人に
コメント付きで投票し、一番多かった人が選ばれる)の
コメントを、MVPの受賞者だけじゃなく、
一人一人に全部配ったことやと思う。
- 明石
-
今では毎年恒例ですよね。
- 福西
-
それまでは、MVPをとった人しか、自分へのコメントって
分からへんかったわけよ。
けど、MVPじゃなくても、自分宛に何個かコメントは
ぜったい届いてるのよ。
それって、1つでも2つでも、めっちゃ嬉しいやん。
やから、そのコメントをMVPとか関係なしに全員に配ったら
めっちゃ嬉しいやろなーと思って、配ってみてん。
それが初めの仕事かな。
そしたら、めっちゃみんな喜んでくれて。
- 明石
-
私も去年コメントが届いたとき、すごく嬉しかったです。
(↓こんな感じで、福西さんからメッセージが届きます)
- 福西
-
やろ。
そのあとも、これやったら嬉しいやろなーとか、
毎週1時間くらい副社長と「感動」についてミーティングして。
- 明石
-
そうやって、少しずつ仕事が形になっていったんですね。
- 福西
-
うん。
結婚式ってさ、何回行っても泣くやん。
両親に手紙読むとか、絶対あるってわかってるけど、
読まれたら泣くやん。
ってなると、感動には「鉄板」があるわけやんか。
やから、感動課にも「鉄板の仕事」を作ろうと思ってん。
- 明石
-
鉄板の、仕事。
- 福西
-
うん。
で、そういうことを考えてたとき、
新人研修の打ち上げで、チューターが研修中の写真をまとめた
スライドショーにBGMをつけたような動画を流してて、
みんなめっちゃ泣いてるのに気づいてん。
「あ、これ、鉄板やな」って。
- 明石
-
そこから、新人研修の最後に
動画を流すようになったんですか。
- 福西
-
そう、そう。
それまで新人研修って、何やってるかさえ知らんかったから、
同行させてもらうように頼んで。
- 明石
-
なるほど。
- 福西
-
なんかね、僕の仕事って、
自分でゼロから始めたことって少ないのよ。
コメントを配るのも、新人研修の動画も、
誰かがやってたものを引き継いだだけやし。
でも、ふだん会社にいると、コメントとか、動画みたいな、
感動に繋がる「これええな」っていう出来事が通りすぎるのよ。
そういう感動のタネみたいなものを、気にするようにしてて、
気にしはじめたら、あ、これも感動や、あれも感動やって。
その気づきを、仕事に落とし込んでいった。
- 明石
-
もともと社内に散らばっていた感動のタネが、
福西さんの具体的な仕事になっていったんですね。
- 福西
-
うん。
でね、1年くらい経った時に思ったのは、
「飽きられたら怖い」ってこと。
- 明石
-
飽き、ですか。
- 福西
-
同じことばっかりしてて、飽きられたらどうしようって。
- 明石
-
ふむ。
- 福西
-
でもよく考えると、新入社員ってね、新規顧客なのよ。
- 明石
-
新規顧客?(笑)
- 福西
-
うん、感動課のサービス対象としての、新規顧客(笑)。
また同じことやってるやんって、周りの社員からは
思われるかもしらんけど、新入社員からしたら初めてやん。
結婚式場のスタッフさんとかもね、
定番の手紙とか動画とか、何回もやってたら
飽きられるんちゃうかって思うこともあると思うねんけど、
やられる方は初めてで、やっぱり嬉しいのよ。
- 明石
-
それは、そうかもしれないですね。
- 福西
-
だから、理論上「飽き」はきいひんわけ。
しかも、毎年少しずつ「経験」が積み上げられるからさ、
僕は腕あげた状態で立ち向かえるわけよ。
こりゃええわいって思って。
- 明石
-
毎年、パワーアップして、立ち向かう(笑)。
- 福西
-
それにね、新人から何年かって、
自分が「感動させられたい」なのよ。
ライバルがサプライズの対象とかになってたら、
「あの子はとりあげられて羨ましいなあ」って思って、
次は自分が! って頑張ったりする。
でも、どこかのポイントで「自分が日の目を見たい」から
「自分が関わった人が日の目を見てほしい」っていうのに
変わる年ってあるんやろなって思ってて。
上司は、基本は自分の部下が賞取るとか、
そういうのが嬉しいやん。
- 明石
-
たしかに…!
- 福西
-
やから、新人って最初は感動させられる側やけど、そのあとに
いい具合に変わっていくもんやと思うねん。
- 明石
-
なんだか…親みたいですね。
愛情を与える親、みたいな。
- 福西
-
うん。
怒ってくれる母親のような愛情は、
同じ部署の先輩とかがいるからさ。
たまーに、「なんでそんなオモチャ買ってんのよ」って
いうような、甘やかすお父さんがいても
いいんちゃうかなっていうのは、なんとなく思うね。
- 明石
-
福西さんは、お父さん側なんですね。
- 福西
-
かもね。
その父親の愛情は、「これ観たら喜ぶんやろうな」とか、
「喜ばせたいな」っていう僕の思いからスタートしてて。
今回のこのインタビューも、
感動課の話載せてくれんのは嬉しいけど、
それよりも、会社の外で自分の勉強も兼ねて
学ぼうとしてるやん。
そこをいいなって、純粋に思うのよ。
僕、性格は多少ひねくれてますけど
根本的な気持ちは純粋なのよ。
- 明石
-
喜んでる顔が見たい、が一番。
- 福西
-
うん。
その純粋な気持ちがね、飽きてきてルーティン化しちゃったら
もう感動課は終わりやなって思うねんけど。
そこはね、変わらへんのよ。
- 明石
-
そこが福西さんの「変わらない部分」なんですね。
- 福西
-
やろうな。もう、頑張ってる人とか前向きな人を見ると、
「前向きかよ、おい!」って、ジワーってくるねん。
そういうところは、感動課やるにあたって、
大切にしていたいなあ。