「おふくろの味、ってのかな。
小さい頃、こねるところから手伝って、
毎週土日に食べてたうどん。
変な話、あと何回食べられるんだろうって」
コーヒーカップを置いて、
依頼者のフクダさんは続けます。
「いずれ覚えるんだろうな、とは思ってたんだ。
俺の嫁が、って。
でもね、あれっ?なんかおかしいなって…。
俺、47になるのに」
そうやってこちらを笑わせようと話す
フクダさんは、独身です。
座右の銘は
「仕事も遊びも全力で! テンションは高く、腰は低く」
音楽業界で17年を過ごし、大手エンタメ会社内にて
新規事業開発を担当している面倒見のいい兄さん。
とにかくフットワークの軽さには
年齢を感じさせないものがあり、
キャンプ、フェス、ライブ、
各種展示会や展覧会はもちろんのこと、
熊手を買いに行く、ウイスキーは蒸留所へ、
ヨット、カート、乗り物全般、日帰り移動も当たり前…。
至る所での自撮りこそ、いわば彼のトレードマーク。
後輩や友人の面倒見が良いのが
彼の良いところなのですが、
ご自身の面倒を見ることがスポッと
抜けてしまっているようで。
自身主催のイベントでくっつき、
見送ってきたカップルは8組。
気がつけば一人、彼らの背に手を振っていました。
そんなフクダさんに
「どうして急に我々にご相談を?」と尋ねると、
こう返ってきました。
「俺が、おふくろの味を覚えるしか
ないと思ったんだよね。
だから、それを撮ってほしいのよ。
自分が教わることを贈り物にしたい。
それが、せめてもの親孝行になる気がする」
何かのタイミングなのかと聞けば、
撮影前日は、お母さんの誕生日とのこと。
「いい人なのになぁ」と思いながら、
コーヒーを一口飲み、打ち合わせを進めました。
〜親孝行のススメ〜
一:親に料理を教わろう
料理を教わることは、昔話はもちろん、
ご両親、ひいては自身のルーツを辿ることにも
つながります。
あと2回、つづきます。