もくじ
第1回占いおばちゃんとして30年 2016-12-06-Tue
第2回占いをはじめたわけ 2016-12-06-Tue
第3回道しるべになる占いをしたい 2016-12-06-Tue
第4回結婚線は自分次第 2016-12-06-Tue

日本文化と食と寅さんを愛する、87生まれ。サブカルから伝統文化まで、いろんなことを書くお仕事をしています。ロマンチックに生きたい、です。Twitterはここです。

占いおばちゃんのお話

担当・羽佐田瑶子

「占い」というものを、私は少しだけ信じています。
それは、母の占いを目の前でみてきたから。

母は仕事をしながら、
そのかたわらで占いを30年以上してきました。
子どもからみると、普通の”占いおばちゃん”ですが
母の占いを求めて、今まで数百人以上が訪れてきました。
そして、結婚、海外移住、転職、
いろんな方が人生の決断をしてしまうのです。

権威も名声もない占いおばちゃんのところに、
どうしてたくさんの人が訪れるのだろう?
どうして人生の決断をしてしまうのだろう?
はじめて母に占いのことをきちんと聞いてみました。
全4回、どうぞお付き合いくださいませ。

第1回 占いおばちゃんとして30年

母は、手相と顔相(と声)で占います。
つまり人を観察することで占ってしまうので、
初対面なのにある一定のところまでわかってしまう、という
不思議な感覚をいつも持っているそうです。

だからか、すぐに友だちができます。
5回ほど母と海外旅行に行っていますが、
毎回必ず友だちができ、おごってもらうほど仲良くなります。
(しかも日本語と現地語でのコミュニケーションです)


▲ベトナムでお友だちになったおじさん

友だちの、またその友だち、またまた友だち・・・・と
友だちが枝葉のように広がっていき、
母のところに占いに訪れます。

母の占いは、若干「おせっかい」に近いものです。
時には2人のデートをセッティングしたり、
転職前の面接につきあっていました。

ある時の占いの話。
結婚をしたい、という1人の女性が訪れてきました。
いつも通りお茶をいれて、母自慢の庭をひと通り見せて、
おしゃべりをしながら、手相を見始めました。

結婚線は弱く、占い的には独身の可能性が高かったそう。
「結婚はしたいですか?」と母は聞きました。
彼女は母の目をみて、大きくうなずきました。
その表情をみて、母は言う言葉を変えたそうです。
「手相は変わるものだし、人生に絶対はないです。
恐らく近いところにいます、でもチャンスは一回だけ。
一緒にいい相手を探しましょう。」
そこから母は彼女と結婚相談所に行き、
職場や友だち、近くにいい人がいないか探すよう
彼女の背中をプッシュし続けました。

ある日、職場に研修でいらした方が気になると
彼女から連絡がありました。
母はすぐにその彼の顔をみるために会いに行きました。
「これはチャンスだ」そう感じた母は
デートに誘え、プレゼントを渡せ、
ここに行け、あれを着たほうがいい・・・
アドバイスをたくさんしました。

無事付き合えた彼女に、母は言いました。
「自分からプロポーズをしたほうがいいよ」と。
尻込みしそうな彼女に母は、もうひと押しします。
「人生にはね、いざという時のチャンスは1回しかないの。
チャンスをつかみたいなら、今、自分から動くしかないよ。」

彼女は自分からプロポーズをし、見事結婚をしました。

今も2人の結婚記念日には必ず連絡を入れている母、
「お互いに素直になったほうがいい」
「家事はうまく分担すること」と
全く占いと関係のないアドバイスも混ざっていますが(笑)
彼女は「お母さんに支えてもらった」と言ってくれます。

私の結婚式の2次会でも占いブースを出し、
新郎新婦の写真撮影よりも、長蛇の列ができました(笑)
「やりたいことは、場所を変えてでもやりなさい。」
といわれた友人が、
海外移住を決めたことには驚きました。

「あの時、言ってもらえてよかったと言われることが、
一番うれしい。」と母は言います。

娘からみると
ただのおばちゃんのおせっかいに見えますが、
占いにより人生の決断をする人々がいることは
不思議でおもしろいなあと思います。

(つづきます)

第2回 占いをはじめたわけ