もくじ
第1回パワーリフターへの道はボートから。 2016-12-06-Tue
第2回1位のある世界、1位のない世界。 2016-12-06-Tue
第3回負けから見える自分は、クリア。 2016-12-06-Tue

名前を出して文章を書いたり、
名前を出さずに文章を書いたりして生きています。
特技はお箏を弾くこととタロット占い。
かなり陽気な人です。

挫折の先に見えるもの。

挫折の先に見えるもの。

担当・山口じゅり

第2回 1位のある世界、1位のない世界。

山口
私は思うのですが、
赤川さんは、
いつも1位に大きな意味のある世界というか、
順位が明確にある世界に生きていますよね。
赤川
言われてみれば・・・・。
そうかもしれませんね。
山口
ボート部もそうだし、パワーリフティングもそう。
赤川さんは学生の頃から今まで、
明確な基準で、1位とそれ以外がある世界、
1位にすごく意味のある世界に生きているのが、
私にとってはすごいなっていうのがあって。
赤川
どうしてですか?
山口
1位に大きな意味のある世界って、
高校野球とか、柔道とか、スポーツ一般の世界、
そういうのが思い浮かぶのですけれど。
赤川
ええ。
山口
そういう絶対的なランク付けされる世界は、
順位があるからこそ、とても鮮やかで、
そこにしかない美しさがあって、
私が見る側に立った時には、すごく好きなんです。
赤川
そうですね。
山口
でも見る側じゃなくて、
やる側に立ったら・・・・。
私はそういうところで耐えきれるだろうかって思うし、
そこにいたいと思えるか、わからないところがある。
赤川
ええ。
山口
だから私は、ある一定のラインを超えれば、
誰でも意味付けされる世界、
そういう世界を選んできたのかもしれません。
赤川
どういうことですか?
山口
私が学生の頃から今まで選んできた世界は、
多分、赤川さんが選んできた世界とは逆なんです。
赤川
逆、ですか。
山口
そう、逆です。
音楽とか、文章を書くとか、
勉強とか朗読とかそういうもの。
一応順位らしきものが付くときもあるけれど、
1位じゃないから意味がない、わけではない。
赤川
ああ、確かにそうですね。
山口さんはそういう方向だった気がします。
山口
私がいた世界は、
ざっくり言い過ぎかもしれませんけれど、
そもそも1位が何、
という基準もそれほど厳密ではないんですよね。
ある一定ラインから上であれば、
ある意味成り立つところです。
お金がもらえたり、評価されたり。
「2位じゃだめなんですか?」って言われた時に――
赤川
2位でもいい(笑)。
山口
そうそう(笑)。
山口
赤川さんは、
「2位じゃだめなんですか」って言われたら、
赤川
2位じゃだめなんです(笑)。
それ、あれですよね、テレビに出てた人の(笑)。
山口
蓮舫さんですね(笑)。
「2位じゃだめなんですか?」っていう(笑)。
1番であることに、
すごく意味がある世界にいるっていうのは、
どんな風に感じられるものなのだろう、
と私は思うんです。
それが、いいとか悪いとか、
そういうことが言いたいんじゃなくて。
赤川
確かに私がいるところは、
1位じゃなければ意味がない、
という部分はあるかもしれません。
ただ、そういうところにいて、
私自身が、1位でなければ意味がない、
とは考えたことはないですね。
山口
なんだか不思議です。
私だったら絶対そこは考えてしまうし、
突き詰めたら、
1位じゃなかったら、それをやる意味があるのか、
というところまで考えてしまいそうで。
赤川
私は、自分に何位という順位がついたとき、
それは現時点での結果としてまず受け入れます。
そして、次は自分の目の前にいる、
一つ上の順位の人を、
どうやったら自分が覆せるのか考えます。
山口
目の前の順位ですか。
例えば赤川さんが5位だったら、
4位の人をどうやって追い抜くか、
みたいなことであっていますか?
赤川
そうです。
だから、山口さんのいうような、
1位じゃないのに、それをやる意味があるのか、
というようなことは、考えないんです。
山口
リアリストだなぁ。
遠くの1位のことを考えるんじゃなくて、
まず近くの相手を追い抜くことを考えていくっていう。
赤川
1位のことを全く考えていないわけではないですけれど、
まず、自分の目の前の相手ですね。
山口
うーむ、すごい。
そういう心構えがあって、記録を出してきたんですね。
赤川
でも全日本2位でしたから、まだ上がいますし、
3位も肉薄しています。
それに世界だと15位、下から数えたほうが早いです。
山口
この間のフロリダの世界大会には、
全日本で何位の人までが出場できるんですか?
赤川
出場できるのは、
全部の階級で1位の人だけですよ。
山口
あれ、赤川さん2位ですよね?
赤川
そうなんです。
実はまれに、
2位や3位でも世界大会へ行けることがあります。
山口
ほほう、今回はそれですか。
赤川
そうです。
1位だけで、世界大会の出場人数が規定に足りない場合、
2位以下からフォーミュラ値の合計が高い人から――
山口
フォーミュラ値?
赤川
えー、つまり全ての階級の点数をならして、
平均点が高い人から順番に、
1階級につき2人までですが、
空いた枠分、出場できるんです。
山口
すごい、じゃあ赤川さん、
各階級の2位の中で、
成績良かったってことですよね。
赤川
はい。
家の事情があったり、仕事の都合があったりで、
辞退する人もいますから、
一概に成績上位から順に出場できる、
ともいえない所もありますが・・・・。
ただ、私も辞退するかどうかは考えました。
山口
すぐ行くって決めたわけじゃないんですね。
赤川
はい。
私の全日本での成績は、2位でした。
でも記録で1位と大きな差があり、
世界大会に出ても、
覆すのは難しいだろうと思ったんですよね。
山口
ああ、わかります。
赤川
もうちょっと成績が肉薄していれば、
逆転できる場合もありますが・・・・。
山口
ふむ。
赤川
つまりは、
1位の人よりも上位に入れる可能性がほぼないのに、
行く意味があるのかということですよね。
時間も費用もかかるのに。
それに、
「全日本2位で世界大会に行っても、
上位には入れないのに、行く意味ないじゃないか」
というようなことを言う人もいる。
山口
やっぱりそういうことを言う人、
どこにでもいるんですね。
赤川
私は、そのような声には、
耳を傾ける必要はないと思っています。
それを聞いていたら、
自分がやりたいことを何もできなくなりますし。
山口
そうですね、
それは本当に同感です。
赤川
ただ、私も、
「今は2位だし、世界にチャレンジするのは、
もっと実力をつけてからのほうがいいのでは」
と少しだけ迷いました。
山口
そうだったんですね。
赤川
でも、通っているジムの人が、
「順位は関係ない、いい経験になるから、
絶対に行ってきたほうがいい」
と背中を押してくれました。
私も行きたい気持ちでいるのだから、
これはやはり行こうと。
山口
ジムの人いい人ですね(笑)。
好きだなぁ。
赤川
で、結果、
本当に行って良かったと思いました。
ジムの人の後押しも本当にありがたかった。
山口
それきいたら、
きっとジムの人嬉しいですね(笑)。
赤川
そうですね(笑)。
山口
アメリカの世界大会に行って、
赤川さんは、何が良かったって思いますか?
赤川
そうですね、良かったと思うのは、
大きく負けたな、と感じられたこと。
全体で15位、下から数えて3番目だったんですけれど、
自分は世界からみると、
まだこのレベルなんだなということが分かりました。
あとは、世界レベルの筋肉はすごい、
ということを実感したことですね(笑)。

(第3回『負けから見える自分は、クリア。』へ続きます。)

第3回 負けから見える自分は、クリア。