もくじ
第1回パワーリフターへの道はボートから。 2016-12-06-Tue
第2回1位のある世界、1位のない世界。 2016-12-06-Tue
第3回負けから見える自分は、クリア。 2016-12-06-Tue

名前を出して文章を書いたり、
名前を出さずに文章を書いたりして生きています。
特技はお箏を弾くこととタロット占い。
かなり陽気な人です。

挫折の先に見えるもの。

挫折の先に見えるもの。

担当・山口じゅり

第3回 負けから見える自分は、クリア。

山口
パワーリフティングの世界大会に行って、
赤川さんにとって良かったことは、
大きく負けたことと、
世界レベルの筋肉を実感したことなんですね。
赤川
そうです(笑)。
山口
世界レベルの筋肉(笑)。
赤川
山口さん、世界の筋肉は本当にすごかったんですよ!
もちろん日本のパワーリフターの筋肉もすごいんですが、
お尻と太ももの筋肉の厚み、
デッドリフトのときの、背筋の強さがすごい。
山口
すごそう(笑)。
さすが筋肉命の赤川さんですな。
赤川
圧倒されたんですよ。
すごい筋肉に。
山口
で、もう一つ良かったことが、
大きく負けたこと、なんですね。
赤川
そうなんです。
私は本番で、自分が思っていたより、
上手くいかなかったんです。
得意のベンチプレスでも、
成功すると思っていた重量を失敗してしまったし。
山口
それはきつい。
得意なことを失敗すると、
ほかの種目もがくっと成績が落ちませんか?
赤川
それは大丈夫でした(笑)。
山口
そのメンタルの強さ、尊敬します(笑)。
赤川
でも、やはり自己ベストを更新できなかったし、
思ったような成績は出せませんでした。
大会後に、振り返って思いましたが、
このできない本番の成績が、
本当の自分の実力なんだと思いました。
山口
それは良くわかります・・・・。
本番って、いつもの自分ができる力を100としたら、
良くて80くらいしか出ないことが多いですよね。
赤川
ええ。
なので、本番でそのくらい下がると思って、
100の力を出したいなら、
普段の練習では120くらいまでやらなければいけない、
ということもわかりました。
今回の大会で特に思ったのは、
体重のコントロールが良くなかったなと。
山口
体重ですか?
赤川
私は、なかなか体重が落とせず、
直前に落とさざるを得なかったので、出力が減りました。
たった2kgくらいの体重の違いでも、
その2kgがかなり影響するから、
もっとペースを考えて減量しないといけないと思いましたね。
山口
こんなことが!
っていうことが影響したりしますよね。
赤川
今まで私は、パワーリフティングで、
そんなに大きな失敗をしたことがなかったんです。
山口
そうなんですね。
赤川
今までは日本で安定した結果を出していて、
でも、フロリダの世界大会では15位で、
自己ベストも出せなかったし、
自分にとっては、
初めての大きい挫折をしたなと感じました。
山口
挫折・・・・。
本当に好きなこと、一生懸命やったことでの、
大きい挫折は、苦しいですよね。
赤川
自分が、好きで一生懸命やったことが、
思ったように上手くいかないのは、
やっぱりつらいですね。
山口
わかります。
そんなに好きじゃないことや、
一生懸命なことじゃなければ、
失敗しても、それほどつらくないのに、
好きなこと、一生懸命やったことで成果が出ないって、
すごく悔しいしつらいですよね。
赤川
でも、私はこの結果で良かったと思います。
今回、フロリダの大会に行かなければ、
自分が世界の中でまだまだ、
ということは感じずにいたと思います。
山口
参加するのって、見ているのとは全然違いますよね。
中に入ってやってみて、
その中で「自分ってまだまだなんだ」
って思い知らされると、
切迫感がうまれるように思います。
赤川
そうなんです。
負けたことで、
自分のトレーニング内容の何が悪かったのか、
今自分が何をやり尽くしていないのか、
次にどう行動しなきゃいけないのかが、
すごくクリアに見えました。
山口
ああ、何かわかります。
挫折して、悔しくて苦しくて、
どうしてこうなったんだろうって考える時、
あやふやにしていた、自分の本当のステータスが、
良い所も悪い所もはっきり自分に示されるように思います。
そして、それを受け入れていかないと、次にいけない。
負けると、自分の真実が見えますよね。
赤川
日本で1位をとってから世界選手権にいこうと考えて、
フロリダに行かずにいたら、これは考えなかったことです。
とにかく今のままではだめだってことが分かったから、
これからの練習は、もっと違ったものになると思います。
色々振り返って、具体的に何をしていこう、
というのを考えようと思っています。
山口
もう考えていましたよね。
インタビューの前に、
赤川さんの練習ノートを見せてもらいましたが、
毎日やった練習やその見直し、
週間と月間の目標とかも書いてありましたっけ。

赤川
そうですね。
あとは大会の成績とか。
山口
本当に細かくつけていますよね。
こういうのを見ると、
物事って、いつも劇的にはよくならなくて、
こういう積み重ねで結果がついてくるんだろうなって思います。
いいな、練習ノート、私も作ろう・・・・。
赤川
ぜひやってみて下さい(笑)。
山口
うん、やってみます。
赤川
あ、そうです、世界大会にいってよかったこと、
もう一つありました。
山口
え、何ですか?
赤川
一緒に行った日本選手団の皆が、
すごく団結していて、
お互いに応援しあったりしていて。
自分のためだけじゃなくて、
皆のためにも勝ちたいっていう、
新しいモチベーションが増えましたね。
山口
皆のために?
赤川
はい。
勝てば喜び合って、負ければ励まし合って、
フロリダでそういうことがあって、
日本のチームの中の自分、
というものを意識するようになりました。
山口
それは素敵ですねぇ。
赤川
パワーリフティングは個人競技なので、
日本でやっているときは、
チームの中の自分ということは感じませんでした。
フロリダの大会では、
日本の選手が勝って表彰台に上がると、
皆で喜びあったりして、そこで思ったのは、
自分は、一人で競技をやっているけれど、
でも大きな日本のチームの中の一人でもあるということ。
だから、もっと頑張って、
日本の記録を底上げしていこうと思えました。
山口
自分だけじゃなくて、
皆と共にあるっていう気持ちって、
すごくモチベーション上がりますよね。
赤川
はい。だから、フロリダの世界大会に出て、
結果は出なかったけれど、
得たものはとても大きかったと思います。
あ、そうだ、それで山口さん、
お土産があるんです。
山口
あ、すみません、お気遣いいただいて、
ありがとうございます。
赤川
普通のチョコとホワイトチョコどっちがいいですか?
山口
ホワイトチョコがいいですね(笑)。
赤川
じゃあこっちですね。
山口
わー、ありがとうございます!
家で食べますね。
赤川さん、自分のお土産は買いましたか?
赤川
買いました(笑)。
戒めTシャツ。

山口
い、戒めTシャツとは?
赤川
今回負けた悔しさを忘れないため、
自分を戒める思い出として買った、
お土産のTシャツです。
山口
へー。
赤川
私の尊敬する選手が、成績が出せなくて悔しかった時、
その成績の出せなかった大会の場所でTシャツを買って、
悔しさを忘れないようにすると言っていてですね、
私もそれにならって、
今回の悔しさを忘れないために、
現地でTシャツを買ったんです。
山口
何だか面白いことしていますね(笑)。
いいなぁ、戒めTシャツ(笑)。
赤川
私が戒めTシャツを買ったのは、
これが初めてです(笑)。
山口
じゃあ本当に初めての挫折だったんですね。
このTシャツがあったら、
悔しさをばねに頑張れそう(笑)。
赤川
そうなんですよ(笑)。
山口
いいですね(笑)。
私、また来年も、世界大会に出る赤川さんに、
インタビューしに行きます(笑)。
次の開催地は、チェコでしたよね?
赤川
はい。
そうなるように頑張らないと。
山口
きっとそうなりますよ。
その時は今度こそプロのカメラマンに来てもらって、
赤川さんの筋肉を撮影してもらいましょう(笑)。
赤川
(笑)。
そのためにはまず、今日も練習です。
山口
さっそく練習なんですね(笑)。
それじゃあ、インタビューはこれで終わりです。
今日はありがとうございました。
赤川
こちらこそありがとうございました。
じゃあ、ジムに行きましょうか。

(これで赤川選手へのインタビューはおしまいです。
赤川選手へ、応援やメッセージを伝えたいという方、
ぜひ『感想を送る』から聞かせてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。)