「面白い」のために全力をつくす。漫画編集者・大熊八甲インタビュー
担当・藤村
第4回 誰かが成長する瞬間
- ――
-
最近はどんなお仕事に
取り組まれてるんですか?
- 大熊
-
最新の仕事は、4月に第1巻が出た、
『明日ちゃんのセーラー服』でしょうか。
となりのヤングジャンプという
WEB漫画サイトで連載している作品なんですが、
コミックス発売の少し前に、
週刊ヤングジャンプ本誌に出張読切を掲載したら
SNSですごく話題になったんですよ。
それで発売前に重版が入って。
- ――
-
発売前に重版というのは珍しいですよね。
- 大熊
-
あまりないですね。
それで発売になって売り切れが続出して、
またすぐ重版が入りました。
- ――
-
すごいですね。
僕も好きな漫画ですが、どんな漫画か、
大熊さんの口から改めて紹介していただけますか?
- 大熊
-
「田舎の純粋な女子中学生の成長を見守る楽しみ」を
を描いた漫画です。
- ――
-
成長を見守る?
- 大熊
-
田舎に住んでいる明日ちゃんという女の子が、
中学校に入学するところから物語は始まります。
彼女が住んでいるところは田舎すぎて、
小学校のときに同学年の友達がいなかったんです。
だから彼女にとっては
「初めてのクラスメイト」や、「初めての給食」がある。
その瞬間を鮮やかに描いています。
特に大きな出来事が起こるわけではないのですが、
美しい田舎の風景や、誰かが成長する瞬間を
眺める喜びがあると思います。
- ――
-
『明日ちゃん』のテーマは
どのように生まれたんですか?
- 大熊
-
やはり作家さんの中にあるものから連想しました。
博さんとやりたいことを話したときに、
彼がやりたいことは、
女の子の細やかな仕草と成長を描くことだと気付いたので、
このテーマにしました。
あと、昔『けいおん!』という
漫画が出てきたとき、
すごいなって思ったんです。
男が不在で、女の子だけの楽しい世界を描いていて、
あの空間をずっと眺めていたい、
って思った人が多かったと思うんですよね。
その気持ちよさ。
気持ちよさも、面白さだと思うんです。
作者の博さんの過去作品を読ませていただいて、
女性を描くのが本当にうまくて。
なので舞台を女子校にして、
男性がほとんど出てこない世界を描いていただこうと。
そういう世界の中で、
誰かの成長を見守る気持ちよさ、
を本作では見せたいと思いました。
- 大熊
-
忙しさに追われる現代だからこそ、
このゆっくりとした田舎の感じは
とても気持ちよく感じられると思います。
初めての制服、友達との初めてのおでかけ‥‥
かつて自分が経験した数多くの「初めて」、
そのわくわくした感じを、
明日ちゃんの姿を通して追体験してもらえたらうれしいです。
明日ちゃんの成長を見守っていただけたらと。
- ――
-
これからの展開が楽しみです。
- 大熊
-
あと、いま新連載を2本準備しています。
- ――
-
えっ、また新しい連載を始めるんですか?
今でさえ、かなり担当もってますよね。
- 大熊
-
はい、かなりキャパオーバーです(笑)
- ――
-
お身体にはくれぐれも気を付けてくださいね。
これからも面白い漫画、楽しみにしています!
(おしまい)