(ブルーハーツの『リンダ リンダ』のBGMがかかっている)
「♪どぶね~ずみみたいに 美しくなり~たい~」
- 糸井
- ‥‥あれ、来ないねぇ。
「♪写真には写らない 美しさがあ~る~か~ら~‥‥」
「♪リンダリンダ~!」
- 田中
- (踊りながら部屋に入ってくる)
- 一同
- (爆笑)
- 糸井
- あぁ、よかった(笑)。
- 田中
-
どうも。あの、これ。
2年連続モンドセレクションを受賞した、大阪キャラメルプリンケーキ。
- 糸井
-
いつもありがとうございます。
お会いする時はいつもいくつかの紙袋に手土産が入ってて、
「手土産研究家の田中さん」と、僕は認識しています。
- 田中
- いつからそんなことになったんでしょうか(笑)。
- 糸井
- 泰延さん、営業やってらっしゃったんですか?
- 田中
-
いやいや、やったことないです。
でも、もらうとうれしいっていう経験がすごく大きくて。
- 糸井
- 大きくて。
- 田中
-
まぁ自分が持っていくものは、
だいたいつまんないんですけど‥‥。
- 糸井
-
うん。
だいたい田中さんは「つまんない」のハードルを
ものすごく下げた状態で、選んでこられますよね。
- 田中
- そうですね(笑)。
- 糸井
-
でも、この間の塩野米松さんとの対談(※)の時にもらった、
目黒の揚げ煎餅と揚げ饅頭のセット。
※塩野米松さんの『中国の職人』をみんなで読もう。│ほぼ日刊イトイ新聞
- 田中
- あれは本気です。おいしいから。
- 糸井
-
ねぇ。あれで、僕は「田中さん像」がちょっとずれちゃって。
今までは、「つまんないもの」っていう越えやすいハードルをとにかく持ってきて、相手を飛ばせるっていうやつだったんだけど。
「これ、うまいじゃん!」ってなって(笑)。
- 田中
- あれは、東北からいらっしゃった塩野さんもご一緒だったので(笑)。
- 糸井
- 微妙に使い分けているんだね。
- 田中
- 微妙に。小ずるく生きてますから。
- 糸井
-
あと、手土産については、
今だから言える秘密が僕らの間にひとつあって。
あの、お花見問題。言っていいですかね?
- 田中
- ええ。
- 糸井
-
電通関西支社の、田中さんがおられた部署で、お花見が開かれて。
それぞれに会ったことがある人はいたけど、
電通の関西チームにセットで会うのは、
ぼくは生まれて初めてで。
- 田中
- あの大集団に。30何人の。
- 糸井
- つまり、圧の強い人たちが集まっているわけで(笑)。
- 田中
- はいはい。
- 糸井
-
その大集団に、若手として存在している田中さんの案内で、
そのお花見に行くっていう日があったんですよ。
で、その時に田中さんと僕は初対面なんですね。
- 田中
- はい。
- 糸井
-
その時も複数の紙袋を下げてるわけです。
1つの紙袋は、軽くて大きいんです。
で、それは後で渡したのかな、僕に。
- 田中
- はい。
- 糸井
-
「糸井さんにお渡しするものなんですけれども、荷物になりますから、つまらないものですが、これはそのまま僕が帰りまで持っています」って。
渡さないっていうのにもちょっと知恵を使っているわけです。
で、もうひとつ、重いものを持っているんです。
それが一升瓶なんですね。
- 田中
-
開けてみると、のしに大きい筆文字で「糸井」って
書いてあるんですよね。すでに。
- 糸井
-
すでにね(笑)。
「これは糸井さんからの差し入れだっていうことで、
申し訳ないですけど、勝手に用意させていただいたんで、
お渡しする時だけ持っていただけませんか」って。
何、その歌舞伎のプロンプターみたいな(笑)。
もう、いいんだけど、だまされてるような気がして(笑)。
- 田中
- この小賢しさっていうね(笑)。
- 糸井
-
で、まぁここは田中泰延に任せておこうと思って、
言われた通りに渡したら、案の定、湧くんですよ。
- 田中
-
事前に糸井さんに、「糸井さんからって言ってくださいね」って伝えて。
そしたら糸井さん、すごい小さい声で「あのぅ、これ、僕が」って(笑)。
そうしたらみんなが、「ワーッ!」って。
- 糸井
- すごいんだよ。
- 田中
- その喜び方の浅ましさ(笑)。
- 糸井
-
ガソリンを、こうなんていうの、焚火に投入したみたいに。
これだったら、持ってきたほうがいいんだなぁって思いましたね。
- 田中
-
全員一斉に注いで、一気に飲んでましたからね。
糸井コールが起きそうなぐらいの(笑)。
(つづきます)