私の好きなもの、やなせたかしさんが描く「恋」
担当・中前結花
「ドキンちゃんは、しょくぱんまんのことが好き」
小さな子どもから大人まで、多くの人が知っている、
あまりにも公な恋心です。
甘いマスクとさわやかな声、やわらかい物腰、
しょくぱんまんのそれらにドキンちゃんは
ただただ心揺さぶられ、想いを寄せる毎日。
しかし、積極的なアプローチも虚しく、
しょくぱんまんはいつだって涼しい顔。
ドキンちゃんは思います、
「この切ない恋心に、彼は気づいてはくれないのね」。
そして、そんな切ない横顔を傍で眺める
もうひとりの男がいました。
彼の名前はばいきんまん。
彼もまた、似たような切ない想いで
胸をいっぱいにしているのでした。
だけど、ドキンちゃんとばいきんまん、
この二人の関係性は考えれば考えるほどに、
切なく奇妙です。
私は、やなせたかしさんが描く「アンパンマン」の
その片隅で繰り広げられる、
この「ラブストーリー」が大好きなのです。
大真面目で誰かに話してみても、
いつも「そんなこと考えたことがなかった」と
気のない返事が返ってきます。
なので、今回はその魅力と考察について、
好き勝手に記してみることにします。
そして自分自身についてもじっくりと考えてみました。
愛について、恋について、パンについて。
「そんなことー」と言わず、
最後まで読んでいただけるとうれしいです。