もくじ
第1回よしもとばななさんとの出会い 2017-11-07-Tue
第2回主人公との共通点 2017-11-07-Tue
第3回めぐるめぐる大きな流れ 2017-11-07-Tue
第4回いちばんの好きな理由は 2017-11-07-Tue

93年、九州生まれの会社員。おいしいもの好きが高じて、大学では農業を専攻。農業の現場、微生物、スーパーや八百屋さん巡り、料理、器、、、おいしいものがめぐりめぐっている感じがすき。好きな作家は、吉本ばななさんと山田詠美さん。マイブームは、みょうがと酒盗。

わたしの好きなもの</br>よしもとばななさんの「王国」

わたしの好きなもの
よしもとばななさんの「王国」

担当・まるやま

第3回 めぐるめぐる大きな流れ

わたくしごとですが、

(いや、そもそもこの記事自体、オールわたくしごとで恐縮
なのですが)

わたしは食べることとその周辺のこと、たとえば農業や栄養
や、料理のことが好きです。その理由が、「王国」を好きな
理由と重なる部分があるので、少しだけお伝えさせてくださ
い。

食べることは「世界は全部繋がってて、めぐりめぐってる」
ということを一番身近に毎日感じられる出来事だから好きな
んです。

(おいしいものを食べると無条件に幸せに、笑顔になれるか
ら、という食いしん坊な理由がもちろんいちばんにはありま
すが。)

土から生えてきたものが農家さんの手によって収穫されて、
運ばれて、売られて、買って料理して。それはその土地だか
らこそ育ちやすく、今の季節だから採れ、そこにそのとき生
きているわたしにとって必要な栄養素がたくさん詰まってい
る。その地方ならではの方法で調理すると、素材の良さをぐ
ん、と引き出すことができる。

そういう風に自然の理に適っているものが、実は人間の健康
に対してもいちばんに効果を発揮する状態で、しかもそれを
昔から知っていて受け継がれているというところにすごさを
感じます。

こういうことを通して感じている、世界がめぐりめぐってい
るということと、「王国」を読んで感じることがすごく近い
んです。「王国」の中では食べ物の話はそう多くないし、農
業の話がされている訳でもありません。なんなら「超能力」
みたいな、わたしの人生では全く交わったことのないことが
たくさん出てきます。

でもその根底に流れている、考え方みたいなものが共通して
いるんです。しかもいつもわたしが上手く説明できなくて言
葉にすると嘘みたいになってしまうことを自然に表現してく
れています。だからわたしは物語とは全然関係ないけれど、
食材を選ぶときも、料理をするときもこの本を手がかりにし
たくなるのです。

そんな風に、わたしたちは大きな流れの一部なんだ、という
ことを感じられるから、表現してくれているから、わたしは
「王国」が好きです。

(つづきます)

第4回 いちばんの好きな理由は