- 清水
- これ社長室なの? これで。
- 糸井
- うん。でも、ほとんどミーティングルームだね。
- 清水
- いいね、重厚感がなくて(笑)。風通しよさそう。
- 糸井
- 今考えてるのは、ここ、ぬいぐるみを置く棚を作る(笑)。
- 清水
- (笑)。あれは「おれ、ゴリラ」じゃないんですか。
- 糸井
- 「おれ、ゴリラ」の復刻版ですね。
- 清水
- 私、あれ持ってて、めっちゃかわいがった。
大事にした。うれしかった。
- 糸井
- あれ持ってるのはエリートですよ。
- 清水
- オッホッホッホッホ(笑)。
- 糸井
- 多分あのときも抽選で当たるやつだった。
「おれ、ゴリラ。おれ、景品。」っていう
コピーを書いたのが、誰あろう土屋耕一さん。
ぼくのあこがれの人。
それで、これは石坂浩二さんにもらったの。
- 清水
- え、なんで?その頃糸井さんの仕事って何?
- 糸井
- コピーライターだった。
養成講座から出たばっかりで就職して、
って、逆に俺、インタビューされてるじゃない(笑)。
- 清水
- でも知りたい(笑)。
- 糸井
- 就職したのがちっちゃい会社でね、
たまたま少し大きな仕事を取ってきてさ。
俺しかその仕事をやるやつがいなくて。
で、なんか石坂さんと
馬が合ったというか面白がってもらえた。
石坂さん、明治製菓のコマーシャルに出てて
これを持っててさ。
「あ、憧れの!」って言ったら
「そんなに気に入ったんだったら、持っていっていいよ」って。
おサル抱いて帰ってきた。
- 清水
- ぬいぐるみもらったんだ(笑)。
意外とメルヘンっぽい、
女の子っぽいとこありますもんね、糸井さん(笑)。
- 糸井
- 女の子っぽいと言われてることを
男はしちゃいけないのかなって気持ちがある。
「ダ・ヴィンチ」の編集長だった横里さんが、
素直に「かわいいな」って言える人で。
俺はすごく尊敬して、
あのくらいまで行こうと思ったの(笑)。
- 清水
- そんな日があったんだ、ちゃんと男としての憧れが(笑)。
- 糸井
- もうちょっと俺、男だったのかもしれない(笑)。
- 清水
- このあいだテレビ見てたら、
若い人がシェアハウスで暮らすっていうのがあって。
私は絶対無理だけど。
糸井さん、できそうですよね。
- 糸井
- 今ではできるかもしれないけど、
できる人に対して偏見を持ってた。
「ダメだ、できちゃ」って(笑)。
だって俺、男子高だったから。
- 清水
- そんなに関係する? やっぱり10代の3年間って。
- 糸井
- うん、するよ。女の人はもう何というか、神様だもん。
これすごいな。全部俺に聞かれてるな。
- 清水
- 私、もともと聞きたいこといっぱいあった。
- 糸井
- え、そう?
- 清水
- いつも仕事で流れていっちゃうからね。
- 糸井
- じゃ、お互いしょうがないから、ぼくのところに質問が来たら、
それはそれでしょうがないっていう、ね。
しょうがないっていうか、まあ別に‥‥
- 清水
- しょうがないとは何ですか(笑)。
- 糸井
- ぼくもね、清水さんについては、
言ったり聞いたりしてみたかったんだ。
清水さんはドロップアウトをしてないですよね。
- 清水
- うん、してないです。
親に心配かけるようなことはしてない。
- 糸井
- なのに、やってることは、ずーっと(笑)。
- 清水
- もう本当、とにかくうちの両親は、
森山良子さんの「ざわわ」をやめろやめろって(笑)。
- 糸井
- (笑)
- 清水
- 私は、いい子でもなく悪い子でもなく、
パッとしないような子だったけど、
やっぱり糸井さんの『ヘンタイよいこ新聞』を
高校のときに読んだり、
『オールナイトニッポン』を聞いたりして、
だんだんそういうお笑いの世界みたいなのを見て‥‥
- 糸井
- パッとしていった?
- 清水
- 自分の中ではね、パッとしていった。
けど、ほかの人はみんな恋愛してる中で、
自分だけが『ビックリハウス』載ったとか、
ラジオで投稿読まれたとか、
幸せの度合いがちょっと違う感じだった。
- 糸井
- ハガキ職人ですよね、いわば。
- 清水
- そうそう。ハガキ職人ってけっこう幸せっていうか、
夢がありましたよね。
- 糸井
- ぼくはね、ポエムを読んで
チョコレートをもらうというのには当選した。
お笑いじゃない人だったの、俺。二の線だった。
- 清水
- 自分で言った(笑)。そして、社員が笑っている(笑)。
- 糸井
- でも、写真でひと言っていう番組があるじゃないですか。
めちゃくちゃ面白いじゃないですか(笑)。
あれどうですか、清水さん。もしゲストで呼ばれたら。
- 清水
- いや、今は全然無理です。私はやっぱり耳で聞いて‥‥
- 糸井
- お金くれ(笑)。
- 清水
- やめなさい(笑)。
金にならないことはやんないです、じゃないです(笑)。
- 糸井
- 俺はもしかしたら金にならないと
ダメなのかなってちょっと思った(笑)。
じゃ、清水さんのあの面白がらせるのは、なに?
- 清水
- 私は、やっぱり耳で聞いたことを自分なりに、
こういうふうに感じましたっていうことを提出すると、
なにか違っててもおかしいんだろうね、きっと。
- 糸井
- 昨日さ、風呂入りながら、
何か一つぐらいこれを思ったんだよねってことを
言いたいなと思って、考えて。
発見したのが、清水さんは
「『私はこう感じてます』っていうことをしてるんだね」って。
- 清水
- あ、本当?当たってます(笑)。
- 糸井
- 批評してないんだよ、全然。
いいだの悪いだの何も言ってなくて。
「私にはこう感じられちゃってますよ」っていうさ(笑)。
そうするとお客が、
「そう見えてる、そう見えてる」って(笑)。
- 清水
- (笑)。共感の人が多いでしょうね、お客様。
<つづきます>