- 糸井
-
ところでさ、「豊年じゃ、豊年じゃ」って
おっぱいを触りながら言う小説があってさ。
- 清水
- 何それ(笑)。
- 糸井
-
おっぱいをこう、乳房を触るんだけど、
そのときに主人公が「豊年じゃ」って言うんですよね。
けっこう、ちゃんとした文学作品で。なんだっけ?
- 清水
- めっちゃ面白い(笑)。
- 糸井
-
俺はそれを覚えてたんで、
吉野の桜を見に行ったときに、
すっごい花が豊かに重みを持って咲いてるのを見て、
みんな「すごいもんだね」って言ってたんだけど、
ちょっとその「豊年じゃ」をやってみたくて、
山桜がブワーッと塊で咲いてるところに手を持ってって、
こうしたら、本当におっぱいみたいだった(笑)。
- 清水
- へぇー。
- ――
- 志賀直哉、『暗夜行路』。
- 糸井
- あ、そうか。ありがとう。
- 清水
- へぇ、よく調べたね。
- 糸井
-
こうさ、ぼくがしょうもないこと言っているかに見えて、
奥深い教養に支えられてるっていうね。
- 清水
- インテリだってことわかった?(笑)
- ――
- わかりました。
- 清水
- 鼻につくでしょ?(笑)
- 糸井
- そういう憎まれ役もちゃんとしますから。
- 清水
-
なんだっけ、テレビで
「本当にカミさんにキレられたことがあって」って
糸井さんが言ってて。
釣りに行って、ゆで卵があったらから、
カミさんのおでこで割ったら、めっちゃ叱られたって(笑)。
当たり前じゃない?!
- 糸井
- 違う。叱られたんじゃなくて、涙が(笑)。
- 清水
-
泣かせたの?
絶対ダメ。もう気をつけて。
やり過ぎるんですよ、何でも。
- 糸井
-
1人でゆで卵食べてるのを1個俺ももらって、
ご機嫌でコンってやったら(笑)。
- 清水
- 話聞いてたら、こっちも頭に来ましたからね(笑)。
- ――
- 樋口さんが釣れてなかったとき。
- 糸井
-
だから、コンっていうショックよりも、
釣れてない悲しみが噴き出したんだよね。
バリバリ釣れてたらまた違ったと思うよ。
- 清水
-
いや、ここで割られたことだけですよ(笑)。
情けないって(笑)。
- 糸井
-
どうしてこんな男と夫婦なんだろう(笑)。
ま、こんなことも人前で言えるようになったからね、
よかったです。
- 清水
-
楽観的な人だな(笑)。
反省しろ(笑)。
- 糸井
- いや、もうしませんよ、だから。
- 清水
- 当たり前ですよ(笑)。

- 糸井
- こんなん終わり方でいいの?
- 清水
- ゆで卵で(笑)。

- 糸井
-
いい話で終わらせるっていうのではないんだけど(笑)。
あの、いい気にならないモードを保っていられるのは、
いい気になっちゃいけないと思ってるからですか。
役割としてさ、多少偉ぶってくれないと
困るんですよねって場面に呼ばれることはないですか。
審査員とか、新人が集まってる場所とか。
- 清水
- ああ、あるある。
- 糸井
-
自分はいい気に、多分なってないと思うんです。
それは、そうならないようにしようとしてるから、
だと思ったんですよ。
失われるものが大き過ぎるよね。
- 清水
-
ああ、そうかもね、うん。
モノマネしてる人間が
「ちょっとつかみがね」とか言ったら、
本当腹立つと思う(笑)。
- 糸井
-
奪われるもののほうが多いよっていうのは、
ちょっとなんか、気づくね。
- 清水
-
あとやっぱりほら、
自分を客観的に見てナンボの商売だから、私たちは。
- 糸井
-
ああ、そうかそうか。
「こう見えてるよ」が仕事だからだ。
- 清水
- それもあると思う。
- 糸井
-
そうだ、そうだ。
客観的に「こう見えてるよ」っていうのはさ、
実はプロデュースの原点だね。
- 清水
- ああ、そうか、うん。
- 糸井
-
モノマネがプロデュースの原点です。
ほら、まとまった。
- 清水
- やめてよ、ちょっと。軽薄(笑)。

- 糸井
-
(笑)。
いや、面白かった。

- 清水
-
面白かった。あっという間。
そういえば、今年の『紅白』、面白かったですもんね。
- 糸井
- ぼく、見てないんですよ。
- 清水
- え! そんな国民だったの?
- 糸井
-
こんなにみんなが『紅白』を語るとは思わなかったです。
でも、あそこは運よく見てるんです。サザンとユーミンの。
- 清水
- あ、あれもうれしかったですね。
- 糸井
- 『紅白』は教養として見ちゃうようになっちゃったんだな。
- 清水
- あ、感動したりじゃなく?全然してない?
- 糸井
-
してない、してない。
あと「偉かったね、この若い女の子が」みたいな。
- 清水
-
あ、そう。
だから今年は、広瀬すずちゃんでしょ。
- 糸井
-
そう、自分が「あの子だったら大変だな」っていうのも思う。
ほら、俺、自分があれだったらっていうの、大好きだから。
「自分が広瀬すずだったら」。
いい終わり方だね。
- 清水
- 意味がわかんない(笑)。
- ――
- (笑)
- ――
-
清水さんが元旦にツイートした
「ゆうべの紅白は最後までバレなかったみたい。よかった」
というのが、すごい面白かったです。
- 清水
-
ああ(笑)。
友達から、清水ミチコって名前がツイッターですごいって。
『紅白』に出てたユーミン、
実は清水ミチコだったんじゃないかっていう。
だから、自分でちょっと言ってみるかと思って(笑)。

- 糸井
- それ言える権利のある人って、1人しかいないもんね(笑)。
- 清水
- 権利ないけどね(笑)。
- 糸井
-
ああ、うらやましいなあ。
いや、俺は清水ミチコになってみたいよ。
- 清水
-
あ、本当?初めて言われた。
穴場。
- 糸井
- 穴場っていうか(笑)。いいね。

<おしまいです!>
