- 映画(とマンガ)『自虐の詩』編
暴力‥‥、 暴力関係になったことないなあ、恋愛で。 ありますか。言えないですか。 |
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そういう人を好きにならないもの。 |
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あ、過去にありますけど? |
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一同 | えっ。 |
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過去にありますけど、今はない。 |
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物に当たったんじゃないんですか。 |
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いえいえいえいえ。 そんなとんでもない。 |
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あ、違うんですか。 殴ったりしたんですか。 |
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はい。まあ。 殴ったりもありましたけど、 今はありませんよ? |
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え‥‥。 |
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山下さんが引いてます。 |
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え〜。 |
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まあ、手をあげるのはよくないけど‥‥。 世の中には、物投げるとか、 殴ると同じくらい、 ひどいことがあるしね。 |
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えええ? |
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ね。あるよね。 |
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いろいろありますよ、夫婦は。 そうじゃないですか。 |
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ね。 |
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わたしは、殴ると同じくらいひどいこと、 という、 りかさんの発言に反応してしまいました。 |
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例えば言葉の暴力ですか。 |
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そうそう、言葉の暴力だったり。 二人の問題のはずなのに、 ほかの人が出てくるとかね、 ほんとうにいろいろ、あるよね。 |
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あ、人間関係。 |
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軽率で、相手のこと何にも思ってないから 平気でやってしまう傷つけ方っていうのは 世の中にいっぱいあるけど、 この人たちの関係は 本当に濃い愛情関係の中で 二人きりのなかで、 傷つけてしまったりしてるじゃないですか。 |
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でも、そうするしかないという状況。 そこが物語としていいのよね。 |
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いいんですか。 |
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いいよね。 でも、わかるでしょ。 ね。そう。私はちゃぶ台を ひっくり返したほうかもしれないし。 |
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え? 何言ってるんですか。 |
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昔のことよ。 |
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ひっくり返したんですか。 |
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ひっくり返したほうかな、と思ったんです。 |
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ひっくり返したんだ。 |
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ハハハ‥‥。 |
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すごいカミングアウトをしているな。 |
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え、カミングアウトでもないよ。 若い頃ってみんな、だいたいあるでしょ‥‥。 |
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山下さんはしたことありますか、 ちゃぶ台とか。 |
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ないない、そんなの。 ないです。 |
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ほんとうは亭主関白で、 家に帰ると三言しか言わないとかね。 |
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メシ! フロ! |
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‥‥うさぎ!。 |
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うさぎ! ワハハハハハハ。 |
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そうか。いや、でも、 僕はみなさんに比べて、 一つ、レベルの低いところで 見てたような気がします。 |
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何を反省してるんですか。 |
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そんなことないですよ。 |
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早くから、幸江さんがかわいそうだっていう 気持ちを強く持ちすぎて 見ちゃったのかもしれないです。 |
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かわいそうですもんね、でもね。 |
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そうですね。それしかないと。 |
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若い諸君がさ、 早く結婚してさ、 昔はやんちゃしたけどとか 言いながらさ、 20代前半ですごいいいパパママに なったりするじゃないですか。 |
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一同 | あ〜。 |
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あれ、多分、こう、潜る場所がね、 割と浅くて済んでたので、 さっと浮き上がって戻ってきたと思うけど、 イサオは生まれからして極道の家だったり するわけで、ものすごく深いところに 一回潜ってるので、上がってくるのに ものすごい時間が かかってるんじゃないですか。 |
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だから、幸せに 慣れてないんじゃないですか、やっぱり。 |
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まだ分かんないんだと思う。 |
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上がりかけてまた沈んじゃったりの 繰り返しなんだよね。 |
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だから、ええっと、とんでもない 深いところまで行った人たちの話。 |
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でも、みんなそのぐらい深いところまで 行ってるんじゃないんですかっ(笑)。 |
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強いね。 |
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さすが。 |
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そうなんだ。 |
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言わないけどね。 |
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幸江さんとイサオのあいだに できた子どもは、 あれからどんなふうに なっていくんでしょう。 イサオはその子どもをどうしていいのか まだ分からないんだと思うんです。 |
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まだ分からないと思う。 分からないことが増えたんだと思う。 |
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また苦労していくんですよ。 |
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そうそうそう。 |
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また苦労していくんだろうね。 |
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でもなんか、頭では子どもに どう接していいか分かんないけど、 イサオが本能的に持っている、 幸江さんを守ろうとする部分を、 子どもに対しても同じように出して、 生きていくんじゃないかなあ。 |
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いざというときはやってくれる人よ。 人は一人じゃ生きていけないのよ。 |
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原作を読んでない人は どのタイミングで読むべきですかね。 |
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読まずに見ても全然大丈夫よ。 |
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全然大丈夫だよね。 |
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マンガを読んだことがある人は、 これ、どうやって映像化したのってことを 楽しめると思うし。 堤監督の更なる演出やなんかもっていうのも 楽しめると思うんです。 |
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どっちもありなんじゃないですか。 |
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どっちもありで大丈夫ですか。 |
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後から読んでも、 それぞれの登場人物のことを探れたり、 楽しめたりするし。 |
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そっかそっか。 |
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消化不良ってことでもないんですか、 原作読んでた人は。 |
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そうでもないと思う。 |
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僕はまず熊本さんがしっかり描かれてたので そこで満足して、後は最後の大切な台詞が そのままあんまりどこもいじられずに 展開されてたから、 それは思いませんでした。 |
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原作に対する敬意を感じましたよね。 |
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それが強いですよね。 じゃあ、マンガを読んだ人は 映画を見てほしいし、 映画を見た人は、 マンガを読むのもお薦めということでね。 |
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ふたつの‥‥、恋と友情のものがたり! |
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それ、ちがうよ? |
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ほんとだ、 今、言ってみたら全然違ったわ。 |
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友情はありますね。 友情映画だと思って見てもいいですね。 ‥‥愛情と友情ってもう ぎりぎりじゃないですか。 |
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そうよ。 |
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思う思う。ぎりぎり。 |
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ぎりぎりだよね、愛情と友情ってね。 |
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もうね、一緒かも。 |
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40代になったら一緒になってるよね、もう。 |
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あ〜、40代になると一緒ですねえ。やっぱ。 |
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夫婦と友情も一緒ですよ。 |
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伴侶っていうものが どれだけいい友達かっていうことだよ。 |
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そうです、そうです、そうです。 |
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どんだけ助け合ってきたかとか どんだけ面白いこと言い合ってきたかとか そういうことだと思います。 |
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そうそうそうそう、本当に。 どれだけだめなところを しょうがないねと思いあってきたかとか。 |
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一緒だよねえ。 |
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棚に上げてきた量とかが すごいいっぱいある。 |
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私もしょうがないし。 |
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若いときはそれもわかんなくて。 |
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生返事で通してきたこととかの量が もう膨大になるんですよ、あの二人は。 |
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若いときはね、一回、 ちゃぶ台ひっくり返したら大変なのよ。 |
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それで終わったみたいなこと、 いっぱい世の中にはあるじゃない。 |
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そうそうそう。 これで終わりにしましたよっていう。 |
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ありがとうございます。本当になんか、 僕、一つ、ちっちゃな階段を上ったような 気がします。 |
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山下さんがまた一つ 大人になったわ。 |
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ありがとうございました。 ‥‥あ、ひとつ言いわすれてた。 幸江が「くらげ」を見るシーン、 あれはやっぱり象徴? 儚さの。 |
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そうだと思うな。 |
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ああ、あれはよかったですねえ。 |
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じつは僕に『自虐の詩』を薦めてくれた 友達って言うのが昔いたんですけど、 今、疎遠になってしまったんですが、 その友達がですね、くらげが好きで。 何で好きかっていうと、 くらげは死んだら水になるんだ、 そういうのって素敵だと思わないかって いうようなこと、ずっと言ってて。 そういうふうに生きたいんだなあと思って。 僕は死んで水になりたいっていうふうに 思えるような深い考えがないけど、 ただ、物語としてすごくいいなと 思っていたんです。そしたら、 この映画の中で幸江さんが くらげを見るとすごくうれしそうで。 そういう意味か分かんないけど、 象徴的だなと思ってたんですよ。 これがよかったです。 |
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なるほどね。 |
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ということで、 ありがとうございました! |
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渋い回になりました。 |
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(おわります! またおもしろいものを みつけたら、ご紹介しまーす!) |
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2007-11-12-MON |
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