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高阪 |
沼澤さんのライブで
唯一見えなかったのが
足先の動きなんです。
ペダルを踏むときというのは、
一定の荷重をかけるものなんですか。 |
沼澤 |
いや、それは違いますね。
ぼくもその加減をつけるようになったのは
この2年ほどなんですけれども。
それまであんまり考えたことがなくて、
ただ踏んで、音を出せばいい、
みたいなところがあったんです。 |
高阪 |
はい。 |
沼澤 |
ところが自分の先生が日本に来て、
久しぶりに会えて、
1週間ずっと一緒にいたときに言うんです。
「お前さ、ペダルを踏むテクニックって
どうしてる?」って。
「言われた通りこうですよ」って言ったら、
「それさ、逆なんだよね」って! |
高阪 |
(笑) |
沼澤 |
「何、変えてんですか、
教えたのと逆じゃないですか!」
みたいな話があったんです。
ぼくはわりと何も考えないで、
爪先でバンバンバンとやってたんですけど、
それを、いかに踵から入って、内側に逃げず、
(しなやかに弧を描くような動作で)
親指のつけねの出っ張った部分に
力を移動していくか、
ということだったんですね。
で、ドラムって、
手は、左と右が似ているんですけど、
足は、左と右は全く同じ動きにならない。 |
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高阪 |
はい、そうですね。 |
沼澤 |
ペダルを踏んで音を出す
ハイハットとかバスドラって、
動きが全く違うんです。
右足(バスドラ)はやっぱり強さの強弱が
左足(ハイハット)よりも全然多いんで、
その違いが左右でものすごいあるんですけど、
踵から入る踏み方のほうが
力の加減とスピードの加減をつけやすい。
まだまだ全然だめなんですけれど。 |
高阪 |
自分が不思議だったのが、
腰から上、上半身が向きを変えても、
両足は固定していないといけないですよね。
そのときどうしているのかと。 |
沼澤 |
うーん、変わってないはずです。 |
高阪 |
運動だったら、上半身と連動して
足の向きを変えるんですが、
ドラムはそういうわけにはいかないですもんね。 |
沼澤 |
足を動かすと、ペダルからずれちゃいますね。
ペダルの向きが固定されてるから。 |
高阪 |
そこはもう変えないわけですね。 |
沼澤 |
そこは変えないで頑張って
やってるんじゃないかと思うんですよね。
一度ずれたら今度は踏めなくなっちゃう。
だから動かせないです。 |
高阪 |
そこ、実はそこがすごくポイントなんです。 |
沼澤 |
動かせない中でやんなきゃいけない、
ということが? |
高阪 |
そうなんです。
やらなきゃいけないということが。
カラダの動きというものを考えたとき、
2つの関節がすごく大事だなっていうのが
キーになって出てきたんですけど、
それが肩甲骨と股関節なんです。 |
沼澤 |
それは、いまぼくがもうまさにジムで
トレーナーに言われてやってることですね。 |
高阪 |
ああ、そうですか! |
沼澤 |
肩甲骨と、股関節の根元ですね。 |
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高阪 |
ペダルを踏むときに、
ほんとは思いきり向きを変えたいところを
固定しなきゃできないわけなんですが、
じつは、見えないぐらいの、
ほんと微々たるずれ、‥‥ずれっていうか、
ちょっとした足さばきによって、
股関節で上半身の動きを吸収して
いるんじゃないかと思います。 |
沼澤 |
じつは、ぼく、以前、
ニューバランスのプロモーションビデオで
自分1人でずーっと映ってる
映像があるんですけど、
それはまだジムに通いはじめる前なんですよ。
それをいま見ると、
「これ、ひどくないか?!」って思うんです。
たった、5年前なんですよ。
もうね、足は足だけ、手は手だけ。
ばらばらだったんです。
当時、やってるときは分からなかったことが、
やっと分かりました。
それまで、ある程度自分でいろいろ
やってきてるはずだったのに、
下半身と上半身がつながってなかった。
とくに股関節が全く稼働していなかった。
股関節の動きって、
やっぱり年齢とともに衰えていきますよね。
しかも肩甲骨周り、肩とかがすごく
柔軟性がなかった。
それで糸井さんの紹介で トータルワークアウトというジムに
行くようになったんですが、
いちばん大きかったのが、
「こういうふうにしたいんですけど」
っていうことを、トレーナーが、
ものすごく分かってくれたこと。 |
高阪 |
ああ、そうですか。
それに気付かれたのは、
とてもよかったと思います。 |
沼澤 |
それから、足を踏むのでも、
上半身から下半身へと、
両方を連結させなきゃっていうのは
ものすごい心がけるようになりました。
もちろん本番の演奏をしているときは
考えてないんですけど、
リハーサルだったり、自分で演奏しているときは
股関節で上半身と下半身を連結させるように、
って意識するようになったんです。
最近は、さらに集中的に、
バランス系のトレーニングをするようになりました。
これ、すごく効果があったんですよ。 |
高阪 |
そうですか! |
沼澤 |
トレーングが、
音色にすごく出始めたんです。 |
高阪 |
おお! 変わりましたか? |
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沼澤 |
それ、もう全然、違います。
中ぐらいの音量でコントロールできることが
ものすごく増えたんですよ。
レコーディングで、ぼくのことをよく知ってる、
音響のエンジニアさんとかはもう、
すっごい驚かれて、何やってんですかとかって。
「音のバランスがよくなった」そうなんです。
ドラムを録音するのに、
マイクをまわりに立てますよね。
自分で楽器の音量のコントロールが、
バランス取れてれば取れてるほど、
彼らがいろんなことをしなくていいわけです。
ぼくの叩き方にアンバランスなところがあると、
彼らがそれを、バランスよく調整してくれる。
それを、調節をする量がすごい減っていると。 |
高阪 |
おお! |
沼澤 |
それからレコーディング機材って、
音が出たものに反応して、
メーターの針が振れますよね。
それが、振れる量が多くないのに
聴こえてる圧力が全然大きい、と。
要するに、音が大きすぎれば、
録音レベルを下げなきゃいけなくなるんですよね。
それが、メーターの振りは強くないんだけど、
出てる音は圧力‥‥音圧っていう、
要するに針で見えるものではなくて
聴こえ方とか、音がいかに立ち上がるかっていう、
メーターで表せないところに、
違いがすごく出ていると、
レコーディングのときに、
ものすごく言われ始めたんです。 |
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(つづきます) |