 |
高阪 |
沼澤さんのドラムが、
音圧が高く聞こえるなるようになったのは、
カラダの「軸」が
とれるようになったからだと思います。 |
沼澤 |
うん、そうみたいです。 |
高阪 |
カラダの軸。打撃の練習でもそうなんですけど、
いわゆるドカーンていうパンチでは
相手はあんまり倒れないんです。 |
沼澤 |
音でいうと、
メーターの振りきれるような音ですね。
ドラムも、強く叩く方が簡単なんですよ。 |
高阪 |
そうですよね。 |
沼澤 |
でもきれいにズバーンて
聴こえるかどうかっていうと‥‥、 |
高阪 |
全く別問題ですもんね。 |
沼澤 |
それと一緒ですよね。 |
高阪 |
格闘技の試合でも、軽くパスーンて
パンチを出しただけで、
カーンて倒れることがありますよね。
見慣れていない人は
「なぜあれで倒れるの?」と言いますが、
実は逆なんですね。
ドカーンていうパンチは
痛いけれども効かないんですよ。 |
沼澤 |
あ、痛いのは痛いんですね(笑)。 |
高阪 |
痛いのは痛いんです(笑)。 |
沼澤 |
でも、「いてーっ!」て言ってるだけ? |
高阪 |
そうそう。
効くのとまた別問題です。
沼澤さんのドラムでも、
叩く強さと、
音が届くかどうかは違う、
というのと‥‥、 |
沼澤 |
似てるかもしれないですね。
ちょっとやってみてもらってもいいですか。
軽くでいいんですけど、
違いがわかるぐらいでできます? |
高阪 |
あ、できます、できます。
ゆっくりやりますね。
正しいのはこういうパンチ。
(沼澤さんの手のひらに軽く打ち込む)
軸がぶれないパンチです。 |
 |
沼澤 |
はい、それでも結構、今‥‥ |
高阪 |
インパクト(当たる瞬間)のときだけ、
こう、ぐって拳を固める感じ。
これが倒れるパンチ。 |
沼澤 |
で‥‥、 |
高阪 |
ただ痛いパンチは、やめた方がいいです(笑)。
ほんとに痛いんで、多分。 |
沼澤 |
やめておきます(笑)。 |
高阪 |
ドラムでも格闘技でも
やっぱり「軸を取る」っていうのが
すごく大事になってくるんですけど、
その軸はどこでコントロールするかっていうと、
股関節なんですよ。
上体の使い方も含めて、
股関節でコントロールしているんです。 |
沼澤 |
上半身の根元、付け根、ということですね。 |
高阪 |
はい。軸をキープしながら、
上体をでんでん太鼓の要領で回す。 |
沼澤 |
ぼくら(ドラマー)が心がけたいことって、
いかに効率よく、コントロールするかなんです。
力強く叩いたり、見せたりするのは
意外に楽なんですよ。
でもアコースティック楽器なので、
中くらいのなかで
どれだけバリエーションを作るかというときに、
調節するのは自分ですから。 |
 |
高阪 |
生ものですからね、 |
沼澤 |
自分のコントロール以外にはないので。
特にドラムはそうじゃないですか。 |
高阪 |
はい。 |
沼澤 |
周りの人たちが力強くがーって
演奏しているときに、
存在感を出すためには、
強く叩くってことじゃなくて、
適度ないい音量、力強さで
コントロールすることなんです。
そうするといちばん音圧を出せて
届けられるんですよ。 |
高阪 |
「バリがない状態」って、
自分らはそういう言い方するんですけど。 |
沼澤 |
うん? バリ? |
高阪 |
バリ、あの、プラモデルの、端についてる、
いらない部分。 |
沼澤 |
ああーー! |
高阪 |
「バリをなくしていく」って、
自分ら、言うんです。 |
沼澤 |
なるほど、そうか、それ、
何か同じような気がしますね! |
高阪 |
多分そうだと思うんです。 |
沼澤 |
それは小手先だと絶対だめですよね。 |
高阪 |
そうですね。 |
|
(つづきます) |