「どうすれば、自分を『大切に』できるのか」特集
第１弾は、タトゥーシールデザイナー、
Iwaya Kahoさんのインタビューです。
タトゥーには、少しいかめしいイメージが
あるかもしれません。
しかし、岩谷さんがつくるタトゥーシールには
「毎日頑張る自分のためのお守りや励まし」
にしています、という声が寄せられます。
かわいらしく繊細な作品を生み出すことで知られる
岩谷さんは、お話をうかがっているうちに、
意外にも「スポ根」な方だとわかってきました。
「自分として生きること」、それから
「選ぼうとすること」について
新たな発見を与えてくれた、熱くすがすがしいお話を
全６回でお届けします。
聞き手は、ほぼ日の松本です。
Iwaya Kaho（いわやかほ）
ポートランドのタトゥー文化に影響を受け、
2015年、タトゥーシールブランド
「opnner（オプナー）」を立ち上げる。
「タトゥーというのは、
体が変わろうと人生を共存できる
最高の励ましであって、永遠のジュエリーです」
というコンセプトのもと、
オリジナルのタトゥーシールを制作・販売。
書籍やカレンダーなどの作品も発表。
銭湯とのコラボレーションをはじめ、
幅広い分野で注目を集めている。
- ──
- いつも、デザインは
どのようにつくっていらっしゃるのでしょうか？
- 岩谷
- まずはコピー用紙に絵を描いて、
それをデータにして、
パソコンでデザインしています。
カレンダーを制作したときに
消しゴムハンコを作ったんですけど、それは、
ハンコを押して、それをデータにして、
シルクスクリーン印刷してもらいました。
このハンコのカタツムリ、
押せば押すほど、なんだか
眉間がつながった人みたいになって、
一番お気に入りの顔を選びました（笑）。
- ──
- （笑）。
ハンコのような、タトゥーシール以外のものを
デザインされるときのアイデアの出し方は、
タトゥーシールをデザインするときとは
また別なのでしょうか。
- 岩谷
- やっぱり、タトゥーをつくるときは
ある程度テーマが定まっていたり、
「今のこの気持ちを残しておきたい」という
思いがあります。
一方で、タトゥー以外には
あまりテーマを持たずに、
手をただ動かしてみたり、
「完成しなくてもいい」という気持ちで
つくってみたりします。
- ──
- そうなんですね。
タトゥーシールのデザインの下絵とか、
拝見してもいいでしょうか。
- 岩谷
- 今つくってるのはこれです。
- ──
- かわいい！！
- 岩谷
- いつも、皆さんが思うより小さく描いているんです。
それで引き伸ばしたりします。
それは、水彩で描いたものですね。
- ──
- すごい！ この馬かわいいです。
- 岩谷
- 馬が描けるようになって、嬉しかったんです。
私は元々絵描きさんじゃないから、
練習して描けるものが増えて、
やった～！ みたいな感じ（笑）。
あと、悪魔はここに大集結してます。
- ──
- 人は天国は1パターンしか思い浮かべられないけど、
地獄は136個ぐらい想像できるって言いますもんね。
- 岩谷
- そう、結局苦しみのほうが
レパートリー多いみたいな（笑）。
- ──
- このシールたちは、つけた後は
自然に剥がれていくんですか？
- 岩谷
- そうです。
何か１個つけてみますか？
- ──
- えぇ〜！！ いいんですか！？
ありがとうございます。
- 岩谷
- どれがいいですか？ なんでもいいですよ。
- ──
- テーマパークみたいです。迷う‥‥。
「自分で決める強さ」が試されてますね。
- 岩谷
- 直感で。
- ──
- じゃあ、天使をつけてもいいですか。
一見、普通のシールに見えますけど、
どうやって貼るんでしょう。
- 岩谷
- 肌につけて、霧吹きで少し濡らします。
それから、トントンと軽く触ります。
- ──
- おぉ〜！ 出てきた。
- 岩谷
- 最後に化粧水もつけると、密着します。
- ──
- あぁ、これは嬉しいです。
ネイルをした後などの嬉しさの、
もっと「自分に近い版」みたいな気がします。
- 岩谷
- 確かに、
「天使がここにいるよ」って感じがしますよね。
- ──
- しかも、自分にしか見えないようなところに。
「そのときの気分に沿って
自分で選んだもの」が身体にあると、
自力で自分というものを
つくっている実感も湧いてきて、
たしかに強い気持ちになれる気がします。
ありがとうございます、本当に。
仕事中に見て、頑張ります。
- 岩谷
- うんうん。
私は、結構手のひらに貼ることが多いです。
いざというときに、ギュって握れるように(笑)。
- ──
- 普通は、
腕の内側などに入れることが多いのでしょうか？
- 岩谷
- 手の甲も多いかもしれないですね。
作業中にパって見えるので、私もよく入れます。
首とかに入れる人も多いですけど、
私は、自分で見えるのが好きで。
- ──
- やっぱり自分から見えるっていうのが、
第一歩としてはいいかもしれないですね。
これは、どれくらいもつんですか？
- 岩谷
- 基本的には１日ですね。
手を洗ったり、強くこすると、大体１日で落ちます。
濡らさないところとか、
あんまり洗わないところだったら、
このゴールドのシールは３日もつこともあります。
- ──
- そうなんですか。
ゴールドは、老若男女に似合いそうですね。
- 岩谷
- そうですね。
去年の夏に作品を展示したときに、
年配の方や男性も
たくさん買ってくださったのは、
ゴールドでした。
アクセサリーに合わせてつけるのもかわいいと
思います。
あと、私はこの小さいつぶつぶを
手に散りばめるのも好きです。
光が当たると、めちゃめちゃ光るんですよ。
- ──
- そうなんですね！
楽器を演奏するときにつけたりしたら、
ステージでキラキラしてきれいそうです。
- 岩谷
- めちゃきれいだと思います。
（続きます）
題字・タトゥーシールデザイン：Iwaya Kaho
2023-07-28-FRI
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何かとおのれの生活を雑に扱ってしまう
新人乗組員の松本が
「自分を大切にすること」を探る特集企画。