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ほぼ日 |
仲谷先生、はじめまして!
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仲谷 |
はじめまして。
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ほぼ日 |
先日は、突然メールをお出ししてしまって、
すみませんでした。
サメについてのお話をうかがいたいので、
ほんの少しでもよいから
お時間をいただけませんでしょうかなどと‥‥。
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仲谷 |
いえいえ、それはいいんですけどね。
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ほぼ日 |
ありがとうございます。
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仲谷 |
ただ「どういうことかな?」と思って。
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ほぼ日 |
はい、そうですよね。
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仲谷 |
メールのやり取りだと、いまいちね、その‥‥。 |
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ほぼ日 |
その部分を含めて、改めて説明させてください。
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仲谷 |
はい、お願いします。
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ほぼ日 |
まず、われわれ「ほぼ日刊イトイ新聞」という
ウェブサイトを運営しております。
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仲谷 |
あ、ちょっと見ました。
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ほぼ日 |
ありがとうございます。
通称「ほぼ日」と呼ばれているんですが、
これ、糸井重里という者が
編集長といいますか、主宰しておりまして‥‥。
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仲谷 |
うん、糸井さんて、名前はもちろん知ってるんだけど、
本業というか、本職はなんなの? 文章家?
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ほぼ日 |
かつて「コピーライター」という職業で
有名になりました。
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仲谷 |
ああ、そうですか。
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ほぼ日 |
現在は、広告関係の仕事はほぼやっておりませんで、
「ほぼ日」を軸として
まぁ、さまざまな活動をしております。
おっしゃるように、文章を書いて、本を出したりも。
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仲谷 |
いろんなことに興味ありそうだよね、糸井さんて。
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ほぼ日 |
ええ、ええ、そうなんですよ。
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仲谷 |
サメにも興味あるの?
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ほぼ日 |
それは、こんど聞いておきます。
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まさにサメらしいサメ、といえばこちらのヨシキリザメ。
ネコ・パブリッシング『世界サメ図鑑』より
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仲谷 |
以前、お宝の話とか、やってなかった?
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ほぼ日 |
テレビの「徳川埋蔵金」のことですね。
やっていました。
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仲谷 |
ぼく、あれ、見てたよ。
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ほぼ日 |
撮影について行ったことあるんですけど、
ロマンあるんですよ、あの現場は‥‥。
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仲谷 |
そうでしょう。なんせ、お宝探しだもんねぇ!
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ほぼ日 |
‥‥で、ですね、この2月から
その「ほぼ日」で
大沢在昌さんという作家の人気小説
『新宿鮫』の最新作が、連載開始したんです。
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仲谷 |
ええ、はい。
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ほぼ日 |
先生、失礼ですが『新宿鮫』という作品は‥‥。
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仲谷 |
よく知らないの。
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ほぼ日 |
じゃあ、それについても簡単に‥‥。
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仲谷 |
いや、名前はよーく知ってるんですよ。
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ほぼ日 |
あ、そうでしたか!
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仲谷 |
ぼく、サメの研究をしているもんだから、
しょっちゅう、
Amazonで「鮫」って検索するんです。
するとホラ、ずらずら出てくるんですよ。
『新宿鮫』という本が。
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ほぼ日 |
な、なるほど!
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仲谷 |
だから「新宿鮫って、何かな?」と
前々から思ってたんですよね。
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ほぼ日 |
ははぁー‥‥。
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仲谷 |
まだ読んだことないんだけど。
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ほぼ日 |
‥‥大沢在昌さんの『新宿鮫』シリーズは
これまで9作品、累計610万部も売れている
ハードボイルド小説なんです。
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仲谷 |
610万部? すごいねぇ。
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ほぼ日 |
その大ヒットシリーズの最新作・10作目を
「ほぼ日」で連載しているんです。
タイトルは『絆回廊 新宿鮫X』といいます。
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仲谷 |
インターネットで?
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ほぼ日 |
インターネットで。
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仲谷 |
じゃあ、タダで読めるの?
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ほぼ日 |
そうなんです。
これまでは『週刊読売』とか『週刊宝石』などの
壮年男性向け雑誌で
連載されてきた作品だったので、
「ほぼ日」では「はじめて読んだ」という読者が
大半だったのですが‥‥
毎週、大勢のかたが楽しみにしてくださっていて。
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仲谷 |
じゃ、おもしろいんだね。
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ほぼ日 |
金曜日の目玉コンテンツとなっております。
第一作目をお持ちしましたので、
あとで、お読みいただけたらと思います。
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仲谷 |
ありがとうございます。へぇー‥‥(しばし黙読)。 |
日本一のサメ博士が日本一の警察小説『新宿鮫』を読む。
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ほぼ日 |
ちなみに、なぜ「新宿鮫」なのかと申しますと、
新宿、とくに歌舞伎町の事情に精通している
「新宿署の鮫島」という警部が主人公なんです。
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仲谷 |
ははぁ、それで「新宿鮫」なんだ。
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ほぼ日 |
犯人の背後に音もなく忍び寄っていって
「ガブッ!」と噛みつくところもサメみたいなので、
歌舞伎町のヤクザなどに
「新宿鮫」と呼ばれて恐れられているんです。
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仲谷 |
(ページに目を落としながら)ええ、ええ。
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ほぼ日 |
で、われわれ、
今回の『新宿鮫』がスタートするにあたって
「本物のサメ」についても
すこしは知っておかねばならないなと思って、
サメの本を、何冊か読んでみたんです。
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仲谷 |
(ページに目を落としながら)はぁ、はぁ。
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ほぼ日 |
先生の『サメのおちんちんはふたつ』をはじめ。
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仲谷 |
ああ、それは、ありがとうございます。
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ほぼ日 |
そしたら‥‥すごくおもしろかったんです!
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仲谷 |
あ、そう?
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ほぼ日 |
詳しい説明について知りたい人は
ぜひ、先生の本を読んでいただきたいんですが、
交尾のときの必要性から
おちんちんがふたつあるってことも
おもしろかったですし、
サメって、他の魚と違うところばっかりで。
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仲谷 |
そもそも「交尾」をする魚じたい、珍しいでしょ。
サメは魚類じゃないなんて言う人もいるくらいで。
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ほぼ日 |
知れば知るほどナゾめいていて、
すごく魅力的でした。
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仲谷 |
それは、うれしいなぁ。
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ほぼ日 |
じつは「チョウザメ」はサメの仲間じゃないので
その卵として珍重されているキャビアも
サメの卵じゃなかった‥‥とか、
はじめて知ったことも、すごく多かったですし。
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仲谷 |
コバンザメもサメじゃないしね。
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ほぼ日 |
‥‥ええ、おどろきました。
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仲谷 |
コバンザメはスズキ目だから。 |
ジンベエザメのおなかに吸着するコバンザメたち。
ネコ・パブリッシング『世界サメ図鑑』より
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ほぼ日 |
そういったトリビア的なおもしろさに加え、
サメの「ファン」という人も多いと聞きます。
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仲谷 |
多いですねぇ。
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ほぼ日 |
ほかの魚とくらべても。
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仲谷 |
多いです。
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ほぼ日 |
「マグロファン」というよりは、
「サメファン」のほうが。
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仲谷 |
多いでしょう。
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ほぼ日 |
そこで、この『新宿鮫』の連載スタートを記念して
サメ研究の第一人者である仲谷先生に、
サメのことを、いろいろおうかがいしたいなと‥‥。
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仲谷 |
あの、そこのつながりが、いまいち、
わかったような、わからないような。
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ほぼ日 |
ええ、はい、あの‥‥そうですよね。
正直に言ってしまいますと、
きっかけは『新宿鮫』なのですが、
あまりに「サメ」の世界がおもしろそうなので、
『新宿鮫』と関連するかどうかはさておき、
「サメの魅力」について、
仲谷先生に、ぜひお話をおうかがいしたいなと!
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仲谷 |
まぁ「本物のサメ」についてなら、
そりゃあ、あるていどはね、しゃべれますけど。
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ほぼ日 |
ぜひ、お願いします! |
映画『ジョーズ』以来、広く抱かれている「本物のサメ」のイメージ。
ネコ・パブリッシング『世界サメ図鑑』より
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仲谷 |
そういうことなら、ぜんぜん構わないですけど。
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ほぼ日 |
ありがとうございます!
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仲谷 |
ただ、ハッキリ言って、その『新宿鮫』とは
ぜんぜん関連しないと思うけど‥‥。
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ほぼ日 |
はい‥‥そうだと思います。
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仲谷 |
それがわかってて、わざわざ東京から。
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ほぼ日 |
はい。
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仲谷 |
こんな函館まで。 |
先生のご自宅は函館、取材におじゃましたのは、まだ冬でした。
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ほぼ日 |
ええ。
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仲谷 |
よく許してくれたよね、糸井さんも。
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ほぼ日 |
はい、あの、理解のある社長でして。
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仲谷 |
それは‥‥よかったねぇ。
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<つづきます>
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