
最恐の山坂道。
(古賀史健)
シャラドのお母さん、
そして親戚や友人のみなさんと別れ、
ふたたびジープに乗り込みホテルへ向かう。
学校からきた道とは違う、
ホテルへの近道を通ってジープは進む。
ネパールではけっきょく
20時間以上、もしかしたら24時間以上、
車に乗っていた計算になるのだけど、断言する。
今回のネパール旅のなかで、
もっとも危険だったのは、この夜道だ。
「落ちるっ!」
「えっ? いまのヤバくなかった?
あと2センチで崖の下、落ちてなかった?」
「やめてやめてやめて!」
この旅ではなるべくたくさん
写真を撮るようにしていたけれど、
とてもとても写真どころの騒ぎではない、
尋常ならざる悪路だった。
はじめての夜道だったこと、
道がこれまで以上に険しかったこと、
なのに運転手・ナラヤンがやたら急いでいたこと、
ぎゃーぎゃー叫ぶぼくらがおもしろかったのか、
余計にスピードを上げたこと、
などなどいろんな理由が重なっていたのだけど、
こころがざくざくすり減っていった。
しかもこういうとき、幡野さんは
「もう、これ以上寿命を縮めないでよ~」
なんて困ったジョークを口にする。
「・・・・ああ、反応しづらいっ!」
そうツッコミを入れられる仲になれたことが、
とてもうれしい。