ほぼ日 |
今回、価格が、12,500円ですよね。
そういう意味でも、
現行機の8,800円とくらべ
「高級」と言えますね。 |
杉野 |
ゲームボーイとしては高いですよね。
それでも商品の需要はあるのか?
そういうところの挑戦ですよね。
そしてもうひとつ、
挑戦したいことがありました。それが、
「かつてのゲームボーイユーザーに
戻ってきて欲しい」という思いなんです。 |
ほぼ日 |
なるほど。 |
杉野 |
ゲームボーイのユーザ層は、結果として
小学生から中学生くらいが大半です。
ゲームボーイを発売して
この4月で丸14年になりますけど、
今の大学生ぐらいとか、
20歳ぐらいの人たちって、
子供の頃にゲームボーイで
遊んだ人が多いんです。
でも不思議と、彼ら、
卒業していくんですよね。 |
伊吹 |
街中でアンケートを
とったことがありましたね。
市場調査をしたことがあるんですけど、
「なぜやめたの?」と訊くと、
「何となく」っていう意見なんですよ。
「何となく、やめました」って。 |
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ほぼ日 |
大人になると手放すもの、と
とらえられていたんですね。
でも「何となく」には、ほんとうは
もっと明確な答えがあると
杉野さんたちは思った? |
杉野 |
ええ。彼らをもう1回引き戻したいと。
そのためには
「大人が持てるようなデザイン」が
大切な要素のひとつになるんじゃないか、
と思ったんです。
ゲームボーイアドバンスとは違う
デザインコンセプトで、
高級モデルをつくってみようと。
そして、それにあたっては、
ゲームボーイアドバンスでつちかった
「遊び方」が、ユーザーと共有できているから、
思い切った変革も可能だと思ったんです。 |
伊吹 |
たとえばLRボタンですよね。
杉野さん、アドバンスのときは
LRを強調したかったんですよね。 |
杉野 |
そう、LRっていうのを見せたかった。
でも今は、アドバンスがこれだけ
普及した後なわけです。
LRっていうのは、あって当然。
だから、強調して見せなくても大丈夫、
という決断ができるわけです。 |
ほぼ日 |
うん、見た目にはほとんどわからない。
けれど、持てばすぐわかりますよね。
指に触れる感触で。
折りたたみになったので、
収まりもいいですね。
折りたたみにすることは
最初から考えていたんですか? |
杉野 |
そうです、最初から考えてました。
これは、現行機の開発のときにも
アイデアとしては、あったことなんですが。
どうしてもコストがかかるのでやめていました。 |
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ほぼ日 |
それも、大人が見て、
いいなと思う要因だと思いますよ。
ライトがついて、折りたたみで、充電式。
あの、しろうとの質問かもしれませんが
このデザインが、段階的にどういうふうに
進められていったのかを
教えていただけますか? |
杉野 |
まず実際の商品を作る前に
プロトタイプっていうのを作ったんですよ。
まず1台だけ。 |
ほぼ日 |
1台だけ、もう遊べる状態で作るんですか? |
杉野 |
遊べる状態で作りました。
で、それはね、量産性とか、
コストとかをぜんぶ無視して、
こんな商品ってどうですか?
っていうのを経営陣に、
プレゼンテーションするための
モデルなんですよ。
構造とか強度とかコストを検討せずに。 |
ほぼ日 |
それがプロトタイプ。 |
杉野 |
そうです。そのプロトタイプをまず
開発部内で見せ、経営のほうに見せました。
それから一般の人に対しての調査をしたんですが
みんな感触が良かったんですね。
そのあたりで、僕らも、
この商品が、世の中に出ていってもいいんだ、
商品として成り立つんじゃないか、
っていう可能性の高さを認識するわけです。
「こういう商品って、作れるよね」と。 |
ほぼ日 |
それで本格的にスタートしたんですね。
でも、ゲームボーイカラーが
ゲームボーイアドバンスになったような
革命的な進化ではない。
だから「高級機」という位置づけになったと
いうことですよね。 |
杉野 |
それに「大人」というキーワードが
出てくるわけです。
値段が高いので買えるのは、
大人の方が多くなるでしょうし、
子供のころにゲームボーイで遊んだ人たちが
抵抗なく帰ってきてもらえる場所を
つくりたかったんです。
もう二十歳過ぎたけど、
これだったらもう1回やりたいな、
と思ってもらうようなものを。
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