ほぼ日 |
なるほど。もう少しデザインの
コンセプトを詳しく聞かせてください。 |
杉野 |
今回のデザインのコンセプトは、
「勇気」です。
最初に他のメンバーにも言ったんです。
「勇気」で行こうと。 |
ほぼ日 |
(笑)杉野さんがいちばん最初に言ったんですね、
チームのメンバーに対して、「勇気やで」、と。 |
伊吹 |
僕は何もしない「勇気」を教わりましたよ。
デザインって、いろいろと、
色や装飾をつけたくなるんですが、
そこはぐっとこらえて。 |
杉野 |
シンプルなものにしようとすると、
当然、まあ、自分たちデザイナーとして
曲面を使いたいとか、
ワザを使いたくなるんです。
それを押さえようというのと、
シンプルであればあるほど、
いろんな人たちが、
もっとこうしたほうがいいんじゃないの?
ああしたほうがいいんじゃないの? って
よかれと思って言ってくれるんですが
そこを、がんばってふんばろうと。 |
ほぼ日 |
何もしてないんじゃなのって
言われてしまうんですよね(笑)。 |
杉野 |
そうそうそうそう。
なんや、ただの四角や、ってね。 |
ほぼ日 |
それは「勇気」ですよ、ホントに。 |
杉野 |
しかも、もう最初ね、
ただのモックアップって
アクリルを削り出しただけで、
塗装も何もしてないわけですよ。
まー、ただの石鹸みたいなかたまりが
ポコッと置いてあって。
なんなん、それ? みたいなね。
それでいいの? と。 |
ほぼ日 |
言われたんですか? |
杉野 |
言われましたよ、いっぱい言われましたよ。
僕の携帯電話こんなんやけど、
こんなほうがかっこええんや、とかね。 |
ほぼ日 |
言うのは簡単なんですよ(笑)。 |
杉野 |
それを、「ハイッ、そうですね」
とか言いながらね、
我慢、我慢、我慢、我慢と。
だから「勇気」って(笑)。 |
ほぼ日 |
どの時点で、みんな納得したんですか?
つまり、最初っからデザインコンセプトは
変わってないわけですよね。 |
杉野 |
かなり最後です。 |
ほぼ日 |
チームの中では見えていたんでしょうね。
でも、周囲の人には、見えてなかった。 |
杉野 |
自分たちとしてもやっぱり、
ここは、こうしたほうがいいかな?
とかって、揺れますよ。
そういう葛藤もありました。
そういうときに、
チームで仕事をするって
すごく強いなと思いましたよ。
お互いが我慢を勇気を助け合える。
チームプレイの素晴らしさですね。
ひとりだったら、ここまでこれたかどうか‥‥。 |
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ほぼ日 |
チームは、年齢的には、どうなってるんですか? |
伊吹 |
杉野が30代中盤で、
あとはみんな20代です。 |
ほぼ日 |
(笑)じゃあ若手と、 |
杉野 |
オッサンのチームです(笑)。 |
ほぼ日 |
ギャップみたいのとか、ないんですか? |
伊吹 |
なかったですよ。 |
ほぼ日 |
最初にコンセプトが
しっかりしているからでしょうね。 |
伊吹 |
コンセプト曲げずにやりたいっていうのは、
合言葉みたいに言っていました。
ちょっと曲線を入れようか?
とかっていう話が出ないわけではないんです。
でも誰かひとりが言うと、
他のメンバーが、「いや、コンセプトを通そう。
勇気を出そう」って言う。 |
杉野 |
やっぱりやめとこうねって。 |
ほぼ日 |
チームでなければ、
ここまで勇気のあるものには
ならなかったですよね。 |