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勉強サイド

勉強の夏、ゲームの夏。2017

okuno

喫茶店のマスター、N先生。

2017/08/25 16:30
これは
21世紀の「仕事!」論。靴磨き職人 篇
にも出てくる話ですが、
進学校を辞めて
靴磨きの店をやっていたとき、
山邊くんは通信制の高校に通っていました。

入学以来、勉強しろ、受験に受かれ‥‥と
言われ続ける進学校は、
そもそも
「やれと言われたら、やりたくなくなる」
山邊くんには、合わなかったようです。

そこへ体調の不良が重なり、長期休学。
その後、退学。そういうことでした。

こうして学校を辞めた山邊くんは
靴磨き店をはじめ、
通信制高校に通い出すのですが、
同時に、
もうひとつの「学校」ともいうべき場所に、
通っていたのです。

それが、佐世保市内の、とある喫茶店。

映画や小説などにくわしく、
テレビが大好きで、
ご自身で演劇活動もやっているという
博覧強記のマスターNさんと、
そこに集まってくる大人たちに囲まれ、
山邊くんは、
学校では教わらないことを学んでいきます。

「たとえば、池波正太郎の『剣客商売』が
おもしろかったって言うと、
どんなところが、おもしろかったんだと。
そうですね、文章の歯切れがよくて‥‥
とか何とかゴニョゴニョ言ってると、
それはな、池波正太郎って人は、
もともと劇作家だからセリフで書いてる。
だから歯切れがいいんだ。
その点、
池波正太郎と双璧をなす藤沢周平は‥‥
とか、ぜんぜん知らない話や、
おもしろい作品を、教えてもらいました」

まさに、喫茶店学校のN先生ですね。

「大学でこっちへ来るとき、
お金が足りなくて
部屋にテレビが買えないって言ったら、
なにを貧乏ぶってる、と(笑)。
テレビを見てなかったら
テレビに対する感受性が死ぬぞ、って。
で、テレビを見てないと、
たしかに、そんな感じがするんですよ」

でも、そうやって、ただ単に、
おもしろいものを教えてもらっただけでは
なかったと、山邊くんは言います。

「Nさんに教わったのは
自分の視点を持て、と言うことだったと
思います。
いくら知識があったって、駄目なんだと。
知識なんて、
勉強すればいくらでも仕入れられるし、
自分の視点もないのに、
ウィキペディアみたいな奴になったって
なんにもおもしろくない。
自分の視点を確立し、
それを中心に据えて、
そのまわりに知識を組み合わせることが
大切なんだと。
もっと言えば、知識なんかなくったって、
視点がおもしろけりゃ、そっちのほうがいい。
知識なんて屁でもない、って」

それ、博覧強記のN先生が言うからこそ、
という感じがしますね。

そして画塾のO先生と同様、
N先生も、
筑波大学への進学を応援してくれ、
推薦状を書いてくれたそうです。

が、その推薦入試に、
山邊くんは、落ちてしまうのです。

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