2018年の「ほぼ日手帳」には、
ビートルズをモチーフにしたカバーが登場しました。
世界でいちばん有名なバンドを、
世界に少しずつ広がりはじめている
「ほぼ日手帳」のカバーにするのは、
なんだかとてもいいことのように思えたのです。
さて、その発売を記念して、
十代のころからビートルズに影響され続けてきた、
糸井重里にたっぷりと話を聞こう、としたのですが‥‥。
「ビートルズを語るなんて‥‥!」
そう、誰もが知る偉大なバンドだからこそ、
あらためて語るのは難しい。
でも、それを承知で、あえて語ってもらいました。
ビートルズって、なにがすごいんでしょう?
「ビートルズこそ、我が青春だ」という人も、
「ビートルズって、どこがいいの?」という人も、
どうぞご一緒におたのしみください。
そうそう、10月5日には、六本木のライブハウスで
「ほぼ日のビートルズ・ナイト!」も開催します。
そちらのお知らせにもどうぞご注目ください。
※「ほぼ日のビートルズ・ナイト!」
申込み受付は終了しました。
04
リアルタイムで体験したビートルズ
- 乗組員A
- 中学、高校と、そのあともずっと
ビートルズのブームは続くんですか?
- 糸井
- ずっと聴いてましたね。
というか、ぼくのなかでビートルズは
一度もすたれてないんです。
ほかのバンドがどどっと
ブームになるようなときもあるけど、
ビートルズは一過性のブームじゃなくて、
ちゃんと1本の川としてずっと流れた。
- 乗組員B
- ああ、ビートルズは1本の川。
- 糸井
- だから、新しいアルバムが
出るたびにかならず聴いて。
まあ、お金がないから、
買った友だちから借りたり、
買ったときは貸したりしてね。
アルバムの貸し借りを理由に
女の子と知り合ったりとかさ。
返すときに、また会えるなぁ、とかさ。
- 乗組員C
- わあ、青春ですね。
- 糸井
- その女の子の家まで返しに行ったら、
年上の男の声が聞こえたような気がして、
心が痛んだりとかさ。
- 乗組員B
- おお、甘酸っぱい思い出が。
- 糸井
- 夜、返しに行って、
ピンポーンって押したのに、出てこないんだよ。
(チャイムを押すそぶりで)
‥‥ピンポーン♪
おかしいな、さっきまで音が聞こえたのに。
電気だってついてるのに。
- 乗組員A
- 居留守だ。
- 乗組員B
- 居留守だ。
- 糸井
- ‥‥ピンポーン♪
- 乗組員B
- あ、2回目、押した。
- 糸井
- ‥‥あれ?
‥‥ピンポーン♪
- 乗組員A
- 3回目。
- 乗組員C
- 3回目。
- 糸井
- もう帰るんだけど‥‥って、
そこから離れる感じの体勢で、
体をひねって背後に手だけ伸ばして、
最後にもう一度‥‥ピンポーン♪
- 一同
- ははははは(笑)
- 乗組員C
- たっぷり未練が(笑)。
- 糸井
- なんだか、
さみしいこと思い出しちゃったなぁ。
あーあ‥‥。
- 一同
- (笑)。
- 乗組員A
- その子って、ひょっとして、
大人になってからエレベーターの中で
偶然再会したっていう‥‥。
- 糸井
- そうそうそうそう、その子。
子じゃないよ、
もう年月が経ってこういう年齢なんだから。
- 乗組員A
- ああ、その人なんですか!
その人とビートルズのアルバムを
貸したり借りたりしてたんですか。
- 糸井
- そう。いや、借りたり借りたりだったと思う。
- 乗組員A
- 借りっぱなしじゃないですか。
- 乗組員B
- なんか、いいなぁ(笑)。
- 糸井
- その子から借りたのは、
『Abbey Road』だったかなぁ。
- 乗組員A
- 解散直前のころですね。
- 糸井
- そうだね。ビートルズって、
じつは活動の期間が
ものすごく短いんですよね。
- 乗組員A
- 8年くらいですからね。
- 乗組員C
- あ、そうか、つまり糸井さんは、
その8年を十代のころからリアルタイムで。
- 糸井
- そう。うらやましいだろう。
- 乗組員A
- うらやましい。
- 乗組員B
- うらやましい。
- 糸井
- そこは大きいですよね。
つまり、永田くんも山下さんも、
ビートルズは大好きだけど
アーカイブとしてぜんぶいっぺんに
聴いてるわけでしょう?
- 乗組員A
- そうですね。
- 乗組員B
- もう、解散してましたからね。
あと、山下って言わないでください。
- 乗組員A
- 永田って言わないでください。
- 糸井
- それはやっぱり違うだろうね。
だから、たとえば
『Get Back』なんていう曲はさ、
ゲットバックしすぎて、
ぼくらはちょっとがっかりしたんだよ。
そんな話はリアルタイムじゃないと
わかんないよね。
- 乗組員A
- え? どういうことですか?
- 糸井
- つまり、『サージェントペパーズ』くらいから
ビートルズはどんどん不思議なほうに
行っちゃっただろう?
もう、現代音楽みたいな、
「‥‥ナンバーナイン‥‥ナンバナイン‥‥」
みたいな曲だって出てきてさ。
- 乗組員A
- 『Revolution 9』。
- 糸井
- もう、そういうのって、
ファンを試しているようにも思えるんだよ。
だから、聴いてるほうは、
「受け入れがたし」「受け入れるべし」
みたいに分かれたりもするんだけど、
やっぱり「だからいいんだよね」っていう方に、
つまり、ファンが彼らを追いかけていくわけだよ。
「俺は初期が好きだな」なんて言えるのは、
解散して、アルバムが
アーカイブになってからでさ。
- 乗組員A
- あーー、なるほど。
- 乗組員B
- なるほど、なるほど。
- 糸井
- そんなふうにして、ファンが一生懸命、
彼らの進化について行ってるときに、
『Get Back』なんて言って、
まさにゲットバックした
ロックンロールをやるもんだから、
「え? ふざけてるの?」みたいに感じたんだよ。
あと、ビーチボーイズのパロディみたいな
アレンジの曲があったじゃない?
- 乗組員A
- 『Back in the U.S.S.R.』。
- 糸井
- そうそう。あのときも、
「もうやる気なくなったの?」
っていうふうにも思えたりしてね。
ふざけてビーチ・ボーイズの
まねしてるだけに聴こえたんだよ。
- 乗組員B
- はーー、そういうことは
リアルタイムで聴いていないと
わからないですね。
- 糸井
- そうだね。
だから、『Get Back』とかを聴きながらさ、
もうバンドが終わっちゃうかもしれない
みたいなショックをしみじみ味わうことをね、
リアルタイムで体験できたんだから、
ぼくはものすごく幸せ者だと思う。
- 乗組員A
- そう思います。
- 乗組員B
- うらやましいです。
- 糸井
- もっというと、
矢沢永吉がキャロルとして出てきたときの
「なんでいまさらこんな音楽を?」
っていうのも、その流れじゃないと
ほんとうにはわからない。
- 乗組員A
- あーー、そうかそうか。
- 糸井
- だって、たとえば細野(晴臣)さんたちが
新しい音楽でどんどん遊んでいるようなときに、
「えっ、いまさら、ハンブルグ時代の
ビートルズみたいなことやるの?」
っていうのは、そのダサさとともに、
ものすごくインパクトがあるし、
音楽に対する自由さみたいなものも
感じられるわけですよね。
で、その自由さこそがまさに
ロックンロールというものだった
わけじゃないですか。
いや、こんな話ねぇ、なかなかしてくれないよ?
- 乗組員A
- 貴重です(笑)。
- 乗組員C
- たいへん貴重です。
- 糸井
- やっぱり、順を追ってリアルタイムで
体験するということのすごみはありますよね。
そういう意味では、こういう場をつくって
インタビューをしてくれてよかったと思いますよ。
だからみなさんは、ぼくがボケるまえに
こういうことをもっと聞いておきなさい。
- 一同
- (笑)
- 乗組員B
- 長老のようですね(笑)。
- 糸井
- あれは、1962年のことじゃった!
- 乗組員C
- はははは。
- 糸井
- でも、話していてあらためて思ったけど、
世界中の人が見ている、
聴いているっていうことの喜びやら応援やら、
あるいは批評にさらされながら、
自分たちのクリエイティブや
自由さをキープして
潰れずに生き続けるっていうことは、
ほんとにとんでもないことですね。
- 乗組員A
- そうですねぇ。
- 糸井
- だから、ぼくは、そういう、
ビートルズが生き続けていた時代っていうか
環境まで込みで好きだったんだと思う。
だから、もし、解散してなかったら‥‥
どうだろうね。わからないね。
あの、こないだポールが来日したときに
キミらは大喜びでライブに行っただろう?
- 乗組員A
- はい。大喜びで行きました。
- 乗組員B
- 一方、糸井さんは、なんだか複雑な感じで、
「行こうかなぁ‥‥」
「どうしようかなぁ‥‥」みたいな。
- 糸井
- そういう気持ちになるんだよ、
アーカイブじゃなくてリアルタイムで
体験していたバンドだからね。
だからさ、たとえば、
ジョン・レノンが生きていたとして、
プラスチック・オノ・バンドみたいな人たちと
一緒に来日してライブをやってさ、
「‥‥え~、それじゃ、つぎは、
ホワイトアルバムから一曲、
『Yer Blues』です」みたいなことになったら、
やっぱりちょっとイヤだろう?
- 乗組員A
- いや、それはそれで‥‥。
- 乗組員B
- たいへんうれしく観ますけど‥‥。
- 糸井
- キミらとは、話にならん!
- 乗組員C
- (笑)
(つづきます)
2017-09-15-FRI
ほぼ日手帳2018の
The Beatlesカバー発売を記念して
10月5日(木)19時より、一夜限りの
トーク&ライブイベントを開催します。
ゲストに迎えるのは、
現存する日本最古のロックバンド
「ムーンライダーズ」の鈴木慶一さん。
ゲーム「MOTHER」の音楽を手がけ、
ほぼ日でも何度も登場していただいていますが、
今回、久しぶりに「ビートルズ」をテーマに
糸井とおしゃべりにやってきます。
そして今回は、ビートルズ気分を盛り上げるべく
六本木のライブハウス
「ABBEY ROAD」を貸し切りに!
実はここは、毎晩のように
ビートルズのトリビュートバンドによる
生演奏が聴ける、
ビートルズ専門のライブハウスなんです。
トークの合間には、ビートルズナンバーの生演奏を
たっぷりとおたのしみいただきます。
着席スタイルなので、食事やドリンクを楽しみながら
ゆったりとお過ごしください。
演奏するのは、「ザ・パロッツ」のみなさんです。
彼らは、イギリスのリバプールで開催されている
世界最大のビートルズフェスティバルに出場したり、
来日中のポール・マッカートニーから
プライベートパーティーに招待され、
本人と共演したこともある実力派バンド。
何の曲を演奏してくれるのかは
当日のおたのしみに!
ビートルズファンの方はもちろん、
「ひさしぶりにライブでも行ってみようか」という方や
「ビートルズのことは、あまり知らなくて」という方も、
みんなでいっしょに、
「ビートルズ・ナイト!」をたのしみましょう。
※申込み受付は終了しました。
●出演
鈴木慶一(ムーンライダーズ)
ザ・パロッツ
糸井重里
●日時
2017年10月5日(木)
18時開場
19時開演(21時終演予定、22時閉店)
●会場
ABBEY ROAD(アビーロード)六本木
東京都港区六本木4-11-5 六本木ビル アネックスB1F
・東京メトロ日比谷線・都営大江戸線「六本木駅」
(6番出口・7番出口)より徒歩3分
・東京メトロ千代田線「乃木坂駅」
(3番出口)より徒歩8分
●席数
80席(全席指定)
※6歳未満の方はご入場いただけません。
※全席指定
(お席はお選びいただけません。
2名様以上でお申込みの方もできるだけ
お近くでご覧いただけるようにいたします)
※会場内は禁煙です
●価格
6,000円(税込み)
※このほか、当日は会場にておひとり様2品
(1ドリンクと1フード、または2ドリンク)の
ご注文をお願いいたします。
ご飲食代の総計に15%のサービス料がかかります。
●販売方法
抽選販売
※おひとり様最大4枚まで申し込みが可能です。
●抽選販売受付期間
2017年9月12日(火)午前11時〜9月14日(木)午前11時
●支払い方法
当日、会場受付にて
現金またはクレジットカード(Visa、Mastercardのみ)で
お支払いください。
※領収書が必要な方はお申し出ください。
●その他
当日はカメラマンが対談、ライブの様子を撮影いたします。
「ほぼ日」はじめ他メディアに掲載の可能性がありますので
あらかじめご了承ください。
●お申込み~抽選~当日までの流れは
以下となります。
※申込み受付は終了しました。