2018年の「ほぼ日手帳」には、
ビートルズをモチーフにしたカバーが登場しました。
世界でいちばん有名なバンドを、
世界に少しずつ広がりはじめている
「ほぼ日手帳」のカバーにするのは、
なんだかとてもいいことのように思えたのです。
さて、その発売を記念して、
十代のころからビートルズに影響され続けてきた、
糸井重里にたっぷりと話を聞こう、としたのですが‥‥。
「ビートルズを語るなんて‥‥!」
そう、誰もが知る偉大なバンドだからこそ、
あらためて語るのは難しい。
でも、それを承知で、あえて語ってもらいました。
ビートルズって、なにがすごいんでしょう?
「ビートルズこそ、我が青春だ」という人も、
「ビートルズって、どこがいいの?」という人も、
どうぞご一緒におたのしみください。
そうそう、10月5日には、六本木のライブハウスで
「ほぼ日のビートルズ・ナイト!」も開催します。
そちらのお知らせにもどうぞご注目ください。
※「ほぼ日のビートルズ・ナイト!」
申込み受付は終了しました。
06
いちばん好きな曲は- 乗組員C
- では、つぎはこの手帳カバー、
『In My Life』について、お願いします。
- 糸井
- 『In My Life』は、いいですねぇ。
これはジョンだよね。
- 乗組員A
- ジョンです。
- 糸井
- ♪There are places I remember ~
ああ、いいね。
『Strawberry Fields Forever』
なんかにも通じるね。
間奏にバロックっぽいピアノが入ってきて。
あのピアノは、ジョージ・マーチンかな?
- 乗組員A
- ジョージ・マーチンです。
ちなみにあのピアノは、
録音したテープを早回ししています。
- 糸井
- あなたは細かいことを知ってますね。
- 乗組員A
- はい。なぜそれを知っているかというと、
ぼく友人のキクチという男が
昔、あの間奏のピアノを
一生懸命コピーしておりまして、
何度も何度も練習していたのですが、
いちばん最後の速くなるところが
どーーしても、弾けない。
で、「絶対ムリ!」とか言い出すから、
「ムリなわけないだろ」とか「練習しろ」とか、
勝手なことを言ってたんですが、
あとでそれが早回しだったことがわかって、
ああ、キクチに悪いことをしたなと。
- 乗組員C
- あはははは。
- 糸井
- そうか、最後のところね(笑)。
- 乗組員B
- ♪チャンチャラランチャン‥‥
ツチャラチャツチャラチャ‥‥のところ?
- 乗組員A
- いや、そのあとの、
♪ツチャラチャツチャラチャ
チャンチャラランチャ
ベロロロロロ、のところ。
- 糸井
- ♪ベロロロロロのところね。
ははぁ、あれはたしかに速い。
- 乗組員A
- はい。
♪ベロロロロロのところはムリなんです。
キクチは正しかった。
- 糸井
- そういうことでいうと、
この曲は、タカハラくんという友だちが
よくギターで弾いてました。
けっこう難しいコードなんだけど、
まじめで、努力を惜しまずに
練習する人だったので、
ちゃんと弾けるようになるんですよね。
ぼくよりギターを始めるのは遅かったと思うけど、
どんどん上手になっていって。
『In My Life』や
『Here, There and Everywhere』とか
あのへんの素敵な曲は、
タカハラ君の思い出とともにありますね。
- 乗組員B
- あ、その「タカハラくん」は、
糸井さんが昔、本を見ながら催眠術をかけたら
ものすごく簡単にかかってしまったという、
あの「タカハラくん」ですか?
- 糸井
- そうそうそう、よく知ってますね(笑)。
- 乗組員B
- エピソードがつながりました。
まじめな方だったんですね、タカハラくん。
- 糸井
- そのタカハラくんには
もうひとつ強烈なエピソードがあって‥‥
‥‥‥‥‥‥いや。
これは、やめておきましょう。
- 乗組員B
- ぉぉおおおお!
- 乗組員A
- 飲みこんだ、飲みこみましたね(笑)。
- 乗組員B
- よほどのエピソードなのでしょう。
- 糸井
- ビートルズは、
いろんな記憶を呼び起こします‥‥。
まあ、あれですね、それというのも、
ビートルズの曲がいかに生活の中で流れていたか、
ということの表れですよね。
- 乗組員C
- ああ、なるほど。
- 糸井
- で、この『In My Life』は
『Rubber Soul』という中期のアルバムに
収められている曲なんですが、このころになると、
「ビートルズっていいよね」っていうことを
大人も認めるようになっていました。
だから、『Michelle』とか『Yesterday』を
オーケストラが演奏したりとか、
そういうこともふつうになっていた。
ロックバンドというよりは、
ちゃんと作曲家として認められたという感じで。
- 乗組員B
- へーー。
- 糸井
- いい話だろう?
- 乗組員A
- はい。いい話が、途切れることなく。
- 乗組員C
- それでは、最後に
『Blackbird』をお願いします。
- 糸井
- うん。この曲もいいよね。
ポールの弾き語りですよね。
- 乗組員A
- はい。二枚組の大作、
通称『White Album』の中の1曲です。
- 糸井
- ええとね、
リアルタイムで聴いていたときの気分でいえば、
正直、『White Album』のころになると
1曲ずつへの思い入れの比重が減るんですよ。
- 乗組員A
- あ、そうなんですね。
- 糸井
- うん。それがいまごろになって、
ちょっと残念だなって思っちゃうくらい。
たとえば、『Help!』のころだったら、
ビートルズの新曲が出るたびに、
もう、からからに喉が渇いた人が
ごくごく水を飲み干すように
何度も何度も聴いたわけです。
ところが、『White Album』に入ってる曲は、
好きな曲も多いんだけど、
まあ、ご飯が食べられるようになってから、
ちょっとおそばを一杯
食べているような感じなんだよね。
- 乗組員B
- はーー、これはまたリアルなコメントです。
- 乗組員A
- 同感です。
- 糸井
- 『Blackbird』、いい曲だと思います。
でも、案外、ぼくは冷静に聴いてますね。
それまでの歌が、
たとえば絵を描いたものだとすると
『Blackbird』ぐらいになると
リトグラフになるというか、そんな感じがします。
それはもう、しょうがないんだよ。
「あの時代の曲を聴きたいなぁ」と
思い浮かべるのはやっぱり
『Revolver』の手前ぐらいまでのほうが
ぼくは多くなっちゃうんだよ。
「ああ、この曲を持って逃げたい!」
みたいな曲はさ。
ライブラリーができあがってる状態で
ビートルズを聴いてる人たちにとっては
ぜんぶが平等なんだろうけど。
- 乗組員A
- はい、『White Album』はかなり好きです。
- 乗組員B
- 好きな曲、多いですね。
- 糸井
- うん。そういう人たちにとっては
『Blackbird』が人気なのはよくわかります。
ああ、そういえば『White Album』も
『Abbey Road』を借りてた女の子から
借りたんだったな。
- 乗組員C
- あ、また遠い目になってる。
- 乗組員A
- ビートルズの話をすると、
思い出が紐解かれていくんですね。
- 乗組員C
- ちなみに、糸井さんが
いちばん好きな曲はなんですか?
- 糸井
- うーん、それは、よく訊かれるし、
自分でもよく人に訊いたりするんだけど‥‥
その都度、違うこと言ってるかもね。
- 乗組員A
- ぼくは糸井さんがどこかで
その質問に答えたときのことを憶えてますよ。
- 糸井
- そのときは、なんて言ってた?
『Don't Let Me Down』かな?
- 乗組員A
- はい、『Don't Let Me Down』でした。
- 糸井
- ああ、『Don't Let Me Down』。
なんで好きかっていうと、
まず、ジョンがかっこいいからですよ。
- 乗組員C
- シンプルな理由(笑)。
- 乗組員A
- ポールとのハモりもかっこいいし、
ジョージのギターもいい。
- 糸井
- リンゴのドラムもいいよー。
みんないいんだよね、あの曲は。
あと、すごく地味な曲だけど大好きなのは、
『I Should Have Known Better』だね。
「‥‥こんないい歌、あるんだろうか?」
って当時思ったんだよ。
- 乗組員B
- わあ、いいなぁ(笑)。
- 乗組員A
- 『A Hard Day's Night』の2曲目です。
- 糸井
- 映画の中だと、汽車で移動しながら
みんなでトランプしているときの曲なんですよ。
だから、そういう、みんなで
わいわいやってるようなイメージもあってね。
音楽の「楽」の字を曲にしたみたいな。
あと、『I Should Have Known Better』
っていうタイトルも、
英語がよくわかんないながらに
ちょっと「もってまわった」言い方が
ビートルズっぽいなと思ったんだよ。
「I should have known better
with a girl like you」って、直訳的には、
「ぼくはキミのことをもうちょっと
知っておくべきだった」っていうことでしょ?
あんなたのしそうな曲に
そういうひねった表現を乗せてるのが、
ビートルズのセンスだよなって思ったんです。
そのころぼくは‥‥16歳か(笑)。
- 乗組員C
- うわぁ(笑)。
- 糸井
- そのころからいままで、
ずっと同じ曲を好きでいるなんて、
ほんとうに想像もつかなかったよね。
そして曲を聴くと、当時のことが
はっきり思い出されるからなぁ。
- 乗組員B
- アルバムを借りてた彼女のこととか。
- 糸井
- なあ? いまだに
しょんぼりしちゃうもんなぁ?
- 一同
- (笑)
- 糸井
- つまり、音楽っていうのはいつも
そのときの環境とともにあるってことですよ。
1枚の写真を見るように、
記憶の中から音楽が、
音楽の中から記憶が現れるわけです。
その典型が、ビートルズなんですよ。
- 乗組員A
- そうですね。そんなビートルズが
ご覧のように手帳カバーになりました。
- 糸井
- うん。だから、この手帳カバーは‥‥。
- 乗組員C
- 手帳カバーは?
- 糸井
- 本当に、すごく楽しいんじゃない?
個人的にも、どうしようかなって思ってるんだよ。
今年は「MOTHER」のカバーを
使ってるんだけど、
来年はビートルズを使っちゃいそうだなぁ。
でも、4種類ともいいしなあ。
だからいま、ちょっと困ってるんですよね(笑)。
(おわります)
※手帳カバーは10月1日午前11時より販売します。
2017-09-29-FRI
ほぼ日手帳2018の
The Beatlesカバー発売を記念して
10月5日(木)19時より、一夜限りの
トーク&ライブイベントを開催します。
ゲストに迎えるのは、
現存する日本最古のロックバンド
「ムーンライダーズ」の鈴木慶一さん。
ゲーム「MOTHER」の音楽を手がけ、
ほぼ日でも何度も登場していただいていますが、
今回、久しぶりに「ビートルズ」をテーマに
糸井とおしゃべりにやってきます。
そして今回は、ビートルズ気分を盛り上げるべく
六本木のライブハウス
「ABBEY ROAD」を貸し切りに!
実はここは、毎晩のように
ビートルズのトリビュートバンドによる
生演奏が聴ける、
ビートルズ専門のライブハウスなんです。
トークの合間には、ビートルズナンバーの生演奏を
たっぷりとおたのしみいただきます。
着席スタイルなので、食事やドリンクを楽しみながら
ゆったりとお過ごしください。
演奏するのは、「ザ・パロッツ」のみなさんです。
彼らは、イギリスのリバプールで開催されている
世界最大のビートルズフェスティバルに出場したり、
来日中のポール・マッカートニーから
プライベートパーティーに招待され、
本人と共演したこともある実力派バンド。
何の曲を演奏してくれるのかは
当日のおたのしみに!
ビートルズファンの方はもちろん、
「ひさしぶりにライブでも行ってみようか」という方や
「ビートルズのことは、あまり知らなくて」という方も、
みんなでいっしょに、
「ビートルズ・ナイト!」をたのしみましょう。
※申込み受付は終了しました。
●出演
鈴木慶一(ムーンライダーズ)
ザ・パロッツ
糸井重里
●日時
2017年10月5日(木)
18時開場
19時開演(21時終演予定、22時閉店)
●会場
ABBEY ROAD(アビーロード)六本木
東京都港区六本木4-11-5 六本木ビル アネックスB1F
・東京メトロ日比谷線・都営大江戸線「六本木駅」
(6番出口・7番出口)より徒歩3分
・東京メトロ千代田線「乃木坂駅」
(3番出口)より徒歩8分
●席数
80席(全席指定)
※6歳未満の方はご入場いただけません。
※全席指定
(お席はお選びいただけません。
2名様以上でお申込みの方もできるだけ
お近くでご覧いただけるようにいたします)
※会場内は禁煙です
●価格
6,000円(税込み)
※このほか、当日は会場にておひとり様2品
(1ドリンクと1フード、または2ドリンク)の
ご注文をお願いいたします。
ご飲食代の総計に15%のサービス料がかかります。
●販売方法
抽選販売
※おひとり様最大4枚まで申し込みが可能です。
●抽選販売受付期間
2017年9月12日(火)午前11時〜9月14日(木)午前11時
●支払い方法
当日、会場受付にて
現金またはクレジットカード(Visa、Mastercardのみ)で
お支払いください。
※領収書が必要な方はお申し出ください。
●その他
当日はカメラマンが対談、ライブの様子を撮影いたします。
「ほぼ日」はじめ他メディアに掲載の可能性がありますので
あらかじめご了承ください。
●お申込み~抽選~当日までの流れは
以下となります。
※申込み受付は終了しました。