海苔の目利き、築地・林屋海苔店の相沢裕一さんに、感想をうかがってきました。
相沢裕一さんは、創業70年を超える築地の老舗
林屋海苔店」の三代目です。
見た目だけではなく、味で選ぶ、その海苔選びの確かさは
いろいろな料理店からも信頼があつく、
確かな目利きのできる問屋さん」として、
とても人気があるかたなんです。
そして、もちろん「食通」でもあります。)
2008年から「ほぼ日」で扱っている「海大臣」も、
相沢さんが厳選した海苔のなかから、
仕入れをしているんですよ。

その相沢さんが、
おらがトマト」を気に入って
たくさん購入してくださったばかりか、
周囲にもすすめてくださっているのだと知りました。
相沢さんに気に入っていただけたなんて、
とってもうれしい!
さっそく、築地の場内にあるお店におじゃまして
お話をうかがってきましたよ。
写真1
ーー
こんにちは!
おらがトマト」をご購入いただいたそうで、
どうもありがとうございます。
相沢
いやぁ、とんでもない。
こちらこそ、いつもありがとうございます。
ーー
今日はあらためてご感想をうかがいにきました。
あの、さっそくですけど、ひとくちいかがですか?
写真2
相沢
あ、いただいちゃっていいんですか。
なんか取材だって言われると緊張しちゃいますね。
ゆっくりと飲んで)
‥‥あぁ、やっぱりいいねぇ。
写真3
ーー
ありがとうございます。
相沢さんはどういうきっかけで
このトマトジュースを買ってくださったんですか?
相沢
最初に販売されたのは、一昨年ですよね。
海大臣」の仕事で御社にうかがったときに
1本いただいたんです。
それを家の冷蔵庫に入れておいたら、
家内が飲んじゃったんですよ。
ーー
ぜんぶですか?
相沢
そうなんですよ。僕の分は残ってなくて!
ーー
(笑)笑ってしまってすみません、
でも奥さまの気持ち、わかります。
相沢
そもそもね、あんまり僕はトマトジュースを
飲まないほうだったから、仕方ないんですけど、
いただきものだから、感想を伝えたいでしょ。
‥‥で、どうだった?」と家内に訊いたら、
おいしかったわよ! すばらしくおいしかった!」
って。それでくやしくなっちゃってね、
次に販売されたら
ぜったいまた買ってみようと思っていたんです。
写真4
ーー
ありがとうございます!
相沢
で、昨年の12月に販売がはじまったのを見て
注文させていただいたんですよ。
その時僕ははじめて飲んだんですけど、
これはすごいな! と。
これ、トマトだけなんですよね?
ーー
はい。食塩も無添加です。
相沢
トマト以外なにも入っていないのに、
こんなにあまく、おいしくなるというのは、
いかに農家の方が丁寧につくられているか。
うちも海苔で商売をしていますが
いつもおいしいもの、いいものを
届けたいと思っているんですよ。
そういう意味でも共感しました。
写真5
ーー
相沢さんは、そんなにトマトジュースを
飲まれるほうじゃなかったって
おっしゃってましたけれど。
相沢
僕は、基本的には、
トマトジュースって嫌いなんです。
ーー
えっ!
相沢
飲めないことはないんだけど、
苦手で、積極的には飲んでなかった。
ーー
そうだったんですか。
相沢
まぁ、二日酔いの朝は飲むかな。
トマトジュースでも飲めば復活できるかな?
と思って、薬みたいに飲むって感じで‥‥。
ーー
酔い覚ましとして。
相沢
でもねえ、このトマトジュースは、
苦手とか嫌だとか、そういう感情を
全部ぬぐいさってくれましたね。
それどころか、
すごく好きな飲みものになりましたよ。
写真6
ーー
それは、すごくうれしい言葉です。
相沢
大晦日の夜に、うちにお客さんを招いて
宴会をしたんですよ。
こどもの友達のお母さんが来ていて、
まさしくトマトジュースが嫌いっていうんで、
うちの家内が「ちょっとこれ飲んでみてよ」って
すすめてました。それでおそるおそる飲んだら驚いて、
えっ。これトマトジュース!?」って。
ね、これは、もう別物ですよ。
トマトジュースだけど、トマトジュースじゃないよね。
ーー
以前試飲イベントを行なったんですけど、
トマト自体が嫌いという方も、
このトマトジュースはおいしい、
と言ってくださいました。
そこは私たちも自信を持っておすすめしてるんです。
相沢
すごくあまいんだけど、
変なあまさじゃなくて、自然なあまさですよね。
飲んだ人が
これ、ほんとにトマトだけ?」って言うから
書いてあるとおりだよ」って説明してます。
まるでウチの商品のように(笑)。
写真7
ーー
笑)ありがとうございます。
相沢さんのところの海苔も、
これ、なにか入れてない?」って
訊かれるおいしさじゃないですか。
相沢
いやぁ(笑)。
やっぱりトマト自体がおいしいんですか。
ーー
北海道の余市に取材に行ったのですが、
ジュースに加工する前のトマト自体が
フルーツのようにあまいんですよ。
相沢
それはやっぱり土地がいいんですか?
ーー
はい。このトマトは永田農法という
特別な農法で栽培しているんですが、
その創始者の永田照喜治先生が
最もトマトの栽培に適した土地」と
おっしゃった畑でつくられています。
相沢
でも土地がよければ、みんながみんな
おいしいトマトをつくれるってわけじゃないよね。
写真8
ーー
はい、環境がすばらしいのはもちろんなんですが、
作り手ご一家の努力も、やっぱりものすごいんです。
相沢
そうだろうなぁ!
ーー
永田農法では水分を極力控えることが重要なのですが、
カラカラに縮みあがったトマトの葉を毎日観察して、
ギリギリ枯れないところを見極めるなど、
きびしく、かつ、
とてもこまやかな育て方をしているんです。
相沢
やっぱりねえ。海苔もいっしょですよ。
作り手の本気の情熱があるからできるんですよ。
同じ海、同じ海況のなかで、
いろんな生産者がつくっているわけだけれど、
そもそも「タネがいい」「海がいい」だけじゃ
おいしい海苔はできませんから。
ーー
そうなんですか!
相沢
同じ海でも生産者によって海苔の味はちがうんです。
なかには一日、数回海に出て、網の様子を見て、
こまめに上げ下げして‥‥
っていう努力をなさるかたもいるんですよ。
ーー
海と野、場所はちがいますが、
海苔もトマトも同じような「作物」なんですね。
ところで、相沢さん、このトマトジュースは
なにか加工したり料理に使われたりはしますか?
相沢
ああ! じつは、僕、酒飲みなので、
カクテルにしてみたいなあ、って、
思ってはいるんです。
ーー
レッドアイ」とか「ブラッディマリー」とか。
相沢
でも、まだやってません。
できないんだよねぇ。
もったいなくてできないんです。
だってそのままでおいしいんだから。
どうしたって、このまま飲んじゃうねえ。
写真9
ーー
どうもありがとうございます。
あっ‥‥相沢さん、お客さまがずいぶんお待ちです。
そろそろ失礼しますね、
お忙しいところ、
どうもありがとうございました。
相沢
いやあ、こちらこそ、どうもごちそうさまでした!

このあとも相沢さんは
海苔を買いにきた常連のお客さまに
このトマトジュース知ってる? おいしいんだよ」と
次々とすすめてくださいました。
こういうお客さんとの密なやりとりも、
 築地ならではで、すてきです。)

相沢さん、どうもありがとうございました!

2015-01-22-THU

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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN    illustration : Sayaka Hano, Kyoko Tsuda(logo-mark)