[ほぼ日酒店 YOI] ハイビスカス酵母でつくった、はじめましての泡盛「hanakara」  [ほぼ日酒店 YOI] ハイビスカス酵母でつくった、はじめましての泡盛「hanakara」






02. 神村酒造の中里迅志さんのこと。
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那覇市から車で1時間ほど。ここは沖縄本土の中部、
いちばん細いくびれの部分にある、
うるま市の神村(かみむら)酒造です。



もとは造園会社の木々の栽培用地だったという
広い敷地に入ると、南国らしい青空に、
おおきなアカギの木の鮮やかな緑と、
蔵の白い建物が照り映えています。



出迎えてくださったのは、
今回の「hanakara」をつくってくださった
神村酒造の中里迅志(なかざと・はやし)さんと
妻の陽子さん。
まずはお二人のことからお話をうかがいました。
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夫婦そろって那覇市の生まれです。



といっても陽子さんは、中心部の首里のほう。
(迅志さんは奥様のことを“陽子さん”と呼びます。)
僕は市のはずれの真嘉比(まかび)という町です。



高校は首里城のそばにある首里高校。
陽子さんとは同級生で、
15歳のときからお付き合いを始めました。



二人とも東京に進学し、
卒業後は僕が沖縄の銀行に就職。
陽子さんも沖縄に戻って、
当時は彼女の叔父さんが社長をしていた
神村酒造を手伝っていました。



結婚は25歳のときです。
それから神村との親戚づきあいが始まりました。



そして僕が29歳から神村酒造へ。
銀行の仕事はわりと自分に合っていたと思いますが、
なにより神村のお酒のことを好きでしたし、
夫婦2人で頑張るほうが、
圧倒的に幸せだと思ったんです。



それから20年、泡盛をつくり、
泡盛のおいしさを伝える仕事をやってきました。
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もともとは那覇市の首里城の近くにあった神村酒造ですが、1999年に「気持ちよく泡盛づくりができる環境を探して」、うるま市の石原高原の麓(ふもと)にあたるこの場所へ移ってきたのだそうです。
“泡盛のおいしさを伝える仕事”って、
どういうことかというと――。



泡盛って「最初に説明がいるお酒」なんです。
飲んだことのない人が圧倒的に多いですから、
「沖縄のキツいお酒なんでしょ」
というイメージだけはあって。



まずは「どう飲めばおいしいか」
ちょっとお話させてもらうだけで、
その後の反応がぜんぜん違うんですよ。



ですからこういったご時世になる前は、
1年の3分の1は県外に出て
酒屋さんや飲食店さん、
そのお客さんたちのところを回っていました。



もともと人と話すのが好き、
ということもありますが、
なんというかこう、
泡盛を誤解されたまま飲まれなくない、
という気持ちがあるのかもしれません。
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神村酒造では、蔵見学にきた方には、泡盛の試飲も行っています。いくつか飲んでみると、それぞれの個性に違いがあって驚きますよ。
3人の子供に手がかからなくなってからは、
陽子さんと一緒にお客さんのところへ
行く機会が増えました。



「いつまでも仲がいいね」って
よく言われます。ありがたいです。
でも陽子さんのおかげです。



神村家の真面目な性格を継いでいるのか、
彼女は実直で職人気質なんです。
誰に対してもきちんと向き合って
話をするからだと思うんですが、
お客さんにすごく好かれるんですよ。



たまに百貨店の催しに
二人で立つことがありますが、楽しいですよ。
それぞれがフォローし合って、
いろんなお客さんと泡盛の話ができますから。



変な話ですが、
泡盛を飲んだことのない人のところに、
自分と陽子さんで訪ねて回りたいくらいだ、
と思ったりします。



そうすれば泡盛の面白いところ、
おいしさを全部お伝えできるのに。



「それでだめなら仕方ない」。
そう思えるんじゃないかと。



だから、
『泡盛なんて今まで
ちゃんと飲んだことがない』
という人に向けて、
「これを飲んでも『やっぱりダメ』
といわれるなら仕方ない」。
そんな泡盛がつくれたらいいなと、
ずっと思っていたんですよ。
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「神村酒造」という泡盛蔵のこと。
1882年(明治15年)、
那覇市内の首里城にちかい
繁多川という場所で創業。



つくられた泡盛は、
ボトルにラベルも張られないまま
地域の人に飲まれていた時期もあり、
その頃は「神村のお酒」と
呼ばれていたそうです。



泡盛の最終工程となる蒸留では
大量のお湯がでるため、
蒸留をする日は近隣の人たちが
蔵へお風呂に入りに
来ていたとか。



沖縄戦後、
焼け野原になったため
泡盛はゼロからのスタート。
代わりに飲まれたのが、
アメリカのビールや
ウイスキーでした。
そんな中、神村酒造は
泡盛を昔ながらの甕(かめ)ではなく、
ウイスキー樽で熟成させる手法で
「暖流」という銘柄を
生み出したのだそうです。



現在の泡盛ファンには「暖流」や、
伝統的な泡盛「守禮」で
知られる蔵ですが、
そのほかに季節ごとの泡盛なども
積極的につくっています。



神村酒造

https://kamimura-shuzo.co.jp/
写真
(つづきます)