もともとは、王さまのお酒です。
今でこそ
「沖縄の人たちがにぎやかに飲むお酒」
というイメージがありますが、
もともと泡盛は首里の王様や、
国を挙げて歓待するような
大切なお客さましか飲めない
とくべつなお酒でした。
かつて沖縄を治めていた琉球王国は、
昔から交易が盛んで、
国を挙げておもてなしをする
機会も多かったのでしょう。
中国や韓国といった
アジア諸地域の国賓はもちろん、
イギリスの海軍将校で
冒険作家のバジル・ホールや、
江戸に向かう前に立ち寄ったペリーなど、
国内外のさまざまな文献に
泡盛で祝杯を上げた記録が残っています。
現在も泡盛に関する古い資料が比較的多く残っているのは、海外の文献に載っているためだそうです。いまも昔も、楽しかったことは記録に残しておきたいものなのでしょうね。
本来は少しずつ口にふくむお酒です。
そのうちのひとつ、
ペリー一行が記した『日本遠征記』に
「親指の先ほどの
小さなお猪口で乾杯をした」
という記述があります。
このように専用の酒器が
あることからもわかりますが、
泡盛は香りのいい貴重な蒸留酒で、
今のビールのようにガバガバと飲む
お酒ではありませんでした。
食事を終えたあとに、
小さな酒器に入れてゆっくりと
香りを開かせながら、
少量を口に含むようにして飲む、
というのが泡盛本来の楽しみ方です。
現代では、
特に熟成年数が若い泡盛は
ロック、水割り、炭酸割りなど
さまざまな飲み方ができる
お酒になっています。
シュワっとした炭酸割りの泡盛を
ゴクゴク、という飲み方もいいですし、
10年以上熟成された泡盛古酒なら
時間をかけて香りを開かせ
少しずつ味わうとまた違う
おいしさに出会えると思いますよ。
熟成した泡盛の古酒をたのしむ「ちぶぐぁ~」という酒器です。昔は本当に爪の先ほどの大きさだったんですよ。
いわゆる、コクのあるお酒です。
同じ蒸留酒である
焼酎との違いともいえますが、
泡盛は味に「コク」があります。
これは泡盛の原料や
蒸留のやり方によってうまれる特徴で、
香りや旨味の成分となる
高級脂肪酸が多いために
感じる味わいです。
この「コク」は泡盛好きにとって
たまらない魅力である一方で、
はじめて飲む人は意外にギャップを感じる
ポイントかもしれません。
暖かい沖縄で飲まれるお酒だからと、
冷たい清涼感を期待されているところに、
「ホクッ」とした、
どちらかというと暖かい
飲み心地を感じるからです。
そこからじわじわと
うま味や甘みや酸味など、
銘柄それぞれの個性ともいえる
様々な味が広がっていくのですが、
最初のひとくちで、
イメージとのギャップに
びっくりしてしまう人もいるでしょう。
そういう意味でも、
「泡盛はコクがある飲み物だ」
ということは、先に知っておいて
いただくといいですね。
お米の風味を残す「単式蒸留」というやり方でつくられる泡盛は、高級脂肪酸のほか、さまざまな成分が含まれて泡盛らしいコクを生み出します。